幼少期 -世界について把握しなければー Ⅵ
さてと、後は日用品と食料………多少は良いか。
服は最低限必要だな。
食料は狩り出りゃいい。
なんつっても家の飯はすげー不味い。
味付け?なんだそれ?ってレベルで不味い。
美味いと感じるのがサラダとか、そのままで美味い物が出た時だけ。
この世界、食文化が無い。
パンはある。んでも硬くてボソボソ。
出てくる野菜煮込んだだけのスープに浸して食うけど、スープが美味いわけじゃない。
もしかしてファイター家系が脳筋で食い物に頓着無いだけかもしれねぇけど。
だから食い物は最低限でいい。
スキル書は魔術関係だけは全部読み切らないと取得に至らなかった。
だから、覚えるのに一苦労。
魔術なんて…と怒られて読ませてもらえなくなるから。
家を出るときに持って出て行くことに決めた。
盗み?上等!とかって感じで持って行ってやる。
どうせライグレンツォで魔術スキル本読む奴いないだろうしな。
って事で、家を出るために俺は家の傍にある初心者用の森にコッソリ来ている。
小さい魔物を足蹴りで屠り、薬草を採取してイベントリに貯蔵し、食べれるものを確保していく。
適当な石を石で削り、粗いダガーつって作ったり…
ダガーなんかをゲットするために、5才になって少し訓練受けてから家を出ることにした。
訓練場には5才からしか立ち入れない。
そして訓練のための道具は訓練場を通らないと行けないため、盗むこともできない←盗賊か。
生きていくためには必要だ。
実家から盗んだっていいだろ。ぐらいで考えてる。
普通はダメだけどな?んでも実家だからな。
家族はなんとなく屑だって思ってるからな。
家族に関してだが、この世界の俺にも兄が居た。
ライゼルという、俺より50才ぐらい年上。
もう俺の親でもいーだろ。ぐらいの気持ちで居る。兄とは思ってねぇ。
「ケンゼル、図書室に入り浸っているそうだな」
「歴史の勉強しています。」
「ほー…庭で体動かすのも必須だぞっライグレンツォの名を落とすなよ!」
とか、食事中に言ってくるウザイ奴。
もう一人、叔父である、ファゼルってやつ…
コイツが今のファイター神柱らしい。
「ケンゼル、訓練見るか?」
「はい」
誘われて興味持ったからついて行ったけど、なんだその動き?と呆れかえった。
コイツ弱い。
「どうだ、凄いだろう?」
とかってニヤニヤしてるから、適当に褒めておいた。
「ケンゼル、自主的な鍛錬をしておけ」
父親は口を開けばそう言ってくる。
俺の事見てもねぇだろ?俺が森に行ってるのも知らないだろ。
この家は強さが絶対。
まだ俺は5才になってないから対象外らしいけど、強さの序列を付けているのがこの家の在り方らしい。
ついでに父親は今400才超え、母親は200才ぐらい。
200才差wwとか笑っただけだ。
この世界じゃ普通にある事らしい。
んでもって貴族は女を娶る数で強さや富の象徴らしい。
今の魔神は20人ぐらい娶ってんだってさ。
ファゼルはまだ若いってのと、婚約者と結婚したばっからしい。
次の妾を誰にするか選び中なんだとさ。
貴族ともなれば結婚相手作るのは普通。
つっても俺次男だから見合い的なのは無し。ラッキー。
俺女嫌い。
俺が好きな女はただ一人
俺の相方のミヤ。通称 獄炎のミヤ
ミヤが赤ちゃんの時からの出会い。俺は当時3才。
ミヤが赤ちゃんの時から12年ぐらい一緒に暮らしていた。
本当の妹じゃないと知った時から俺はミヤを恋愛対象に見ていた。
それでも俺は好きな子イジメる的な事やらかし続けてた。
ミヤが俺等兄弟のせいでイジメに遭って、離れることを選んだ…
物凄く後悔した。
なんで素直にならなかったんだ。
なんで守り続けなかったんだ。
なんで好きだって伝えなかったんだ。
後悔し続けた6年間。
再開したのはアイレスの中。
相方探しの町で、魔術系のスキルで綺麗な花火を舞うように使っているその姿に人生二度目の一目惚れ。
一度目は兄貴曰く赤ん坊のミヤ見つけた時。
『あ、コイツ惚れてるな…って思ったよ?図星だろ?』
とか大きくなってから笑われた。
その一目惚れの子相手に話してたら幼馴染のその子だって知って、気分有頂天舞い上がった。
相方になってほしいって言えば即答でOK貰えて更に喜んだ。
兄貴に報告して嬉しいって話ばっかし続けて…兄貴が苦笑いしてたな。
ドラゴンナイト。
どんなゲームでもこの名前で遊び続けていた。
リアルの名前もじっての名前。
でも、ミヤは…
「龍族と戦うのに…ドラゴンは…変?」
と可愛らしく顔を傾けた。
ソッコーで名前変えた。
俺の前世の本名は 剣崎 龍。
ミヤの本名は 宮條 咲
ミヤと同じように、苗字1文字、俺はケンと改名。
転生して、ケンゼル…となって、たかだか4年。
それでも俺は、ケンゼルじゃない、ケンだ。って心で否定を続けた。
俺は前世同様、ケンとして生きよう。
女云々で思い出したのはミヤの事ばかりだった。
後は記憶を消去出来たらどんなにいい事か…
今世では、ストーカーとか誘拐とか逆露出狂とか、この世界ではありませんように。
俺は切実に祈った。
ケンは本人認めてませんが前世では兄共々超絶イケメンです。
変態ホイホイです。