幼少期 -世界について把握しなければー Ⅴ
母親に、色々な事を知りたいと強請ってみた。
ポーションとは、という質問から、見てみたい、という一連までシミュレーションして、見事錬金の所へ見に行くのを取り付けた。
滅茶苦茶頭使って疲れた。
こういうの得意じゃねぇんだよ!兄貴、兄貴プリーズ!ってなる…
時々兄貴思い出すようになったけど、前世…約半年前に失踪している。
仕事で外国行って、そのまま連絡が取れなくなった兄貴…
俺の6つ上で、いつも…いつもいつもいつも…いつも…うざかった。
兄貴はいわゆる…ブラコン。
んでもって俺の相方を妹と可愛がるシスコン。
交渉事がすげー上手くて、んでもって言いくるめるのも得意。
こういう人を動かす事は兄貴にばっかさせてたな…って思い出す。
基本一緒に居たくねぇけど、こういう時だけは居て欲しいと思って思い出した…ハァ。
無いもの強請り、んでも居るとウザイ…
どっちもどっちだな…。
兄貴は会社の社長。
俺の相方には内緒にしている。
んでも知って可笑しくない状況を幾度となく繰り返しているのに…
ああホント、俺の相方は鈍感で可愛いな。
会いたいな…ミヤ。
そんなこんなでボーっと馬車に揺られて錬金精製ギルド…
侯爵家の街にある。
「お待ちしておりましたライグレンツォ様。」
見た目的に20そこそこの眼鏡の青年が出迎えてくれる。
コソっと母親にあの人何歳って聞いたら、確か470才ぐらいよ。とか言われた。
見た目若ぇええ。
俺の母親や父親も20才ソコソコの年齢に見える。
この世界、魔族…たぶん天族も、翼を授かったぐらいの年齢でほとんど見た目が止まるらしい。
少し年に見える人だと600才超えが多かった。
俺的にここらは不思議だ。
そんな不思議を考えながら、錬金精製ギルドの長に中を案内される。
案内聞いてる振りして、調合用に必要なのを再確認していく。
んでもって販売店も見せてもらう…
下級から中級までのHPポーション…ここでは体力薬って書いてある。
MPも同じ、魔力薬と書いてあって、中級までしかない。
上級でガラスケースに飾ってあった。
後は解毒薬も中級まで、SPポーション…持久薬も中級までか…
問題は値段。
ゲームの10倍はする。
やっべー高い。
これは素材となる薬草も高価?んでもってあんまり生えてねぇの?
って思ってたら、そうではないらしい。
「薬草は安いんですね…」
仕入れている薬草の値段を聞けば、ゲームと相場は一緒。
「まず、回復薬は失敗が多いのです。なので数を作ることが重要なのですが、工程がとても長い…
なので薬として出るまでに高価になるのです。」
って理由らしい。
生成するところ見せてもらった。
そら失敗するわ。
ゲーム内での精製方法と全然違った。
普通は空中錬成するところを、釜でグツグツグツグツ…温度差にムラが出来て失敗に至る…それの繰り返しだった。
もしかするとゲーム内でやっていた空中錬成は高度な技術…なんだろうな。
これは人前でやったらダメだ。
「やってみますか?」
「へ?」
「いえいえ、ここにお子さんがこられるとみんなおもちゃとして遊んでいくんですよ。」
錬金術はおもちゃ程度だったらしい。
一応遊びって事で、指示通り作る。
「おー!凄いですね!これで初級の体力薬ですよ」
「わー。」
っと、一応嬉しそうな顔しといた。
「良かったわね、ケンゼル。」
「はい」
楽しそうな子供を演じる。
一応色々な値段なんかは調べれた。
今回は収穫有り、だな。
「良ければどうぞ、こちらを」
帰りに大きなアタッシュケース。
中には錬金術の基礎セットが入っていた
「良いの?」
「はい、本日作られた体力薬のご褒美ですよ」
「ありがとう!」
よっしゃ!買う必要が無くなった、ラッキー♪
「ケンゼル、お父様の前でそれを出してはいけませんよ」
「わかっています。」
馬車に乗って、貰ったことが嫌だったんだと言わんばかりの表情と声…
俺はすぐさまイベントリに片付けた…
「…お前、空間収納をいつ覚えたの?」
「?普通は使えるのでは?使用人達も使用していましたし」
「………そう…見て、覚えたという事ね…」
疲弊している母親…
最近八つ当たりっぽいのが増えてきている。
俺が魔術系統使ったのが結構堪えてるって感じかな。
ひとまずは第一段階はクリアだ。