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最低男子と最高女子  作者: 猫背
7/65

7話

「春、起きてる?」

「寝てる」

「起きてるじゃん。ほら、いつまでもダラダラしてないで起きなよ」

「うっせぇな。やる事ねぇんだから何しててもいいだろが」

「もう少しで皆来るよ?恥ずかしくない?」

「何が」

「上着ろって」

「見せてんだよ」

「また殴られるぞ」

またはやめろ。普通に痛いからな。


『ピンポーン』

「ほら、来たよ。早く上着なって」

「はいはい。いいから出てこい。待ってんぞ」

「わかったよ、絶対着とけよ」

どんだけ着せたがりなんだよ。俺の体見て惚れたりしないだろ。


「お邪魔します」

「よう立花、ちゃんと反省してるか?」

「デコ助、土産持ってきたぞ」

「はいサンキュー。津田は?帰った?」

「いや、玄関前で何故か止まってる」

メンドくせえ。出待ちしてんなよ。


猛が呼んでも入るか迷ってよたよたしてるらしいから仕方なく呼びに行かされた。行かされただよ?


「おい津田」

「ぬわっ!は、春君!?」

その女子らしからぬ声抑えろよ。怖いよ。

「とっとと入れ。嫌なら邪魔だから帰れ」

「い、いえ!お邪魔します!」

「いや邪魔すんなら帰れよ」

「違う!入る!」

キャラがわからん。普通にキモい。


「えー、とりあえず立花。今どんな状況なんだ」

「停学1週間」

「………お、おう」

「ガチのドン引きやめろ。乳揉みしだ………ごめん」

「うざい。って事は来週来んのか?」

「月曜からでいいってよ。執行猶予扱いらしいけど」

「そいつはめでたいな」

それは良い意味だよな?後者の事言ってたらクソほどディスってやる。


先日のアキバでのゴタゴタのせいで1週間停学とかマジ萎えぽよー。

しかも絡んできた奴ら、まさかの同じ学校の三年で、そいつらは1カ月停学という甘いのか厳しいのかわからん状態。


俺はぶん殴ったけど状況見るに、って事で甘い措置を取ってくれたらしい。担任に感謝。三十路前に1回男紹介してあげよう。


停学初日から学校でめっちゃ話題になり、俺は瞬く間にど変態の不良扱いされる事になったらしい。


そこで腹立つのが、一緒に行ったメンバーが俺を更生させつつ仲良くなってあげてる、って噂が立ち、猛と津田の人気が更にぶち上げられたとの情報を入手。もちろん猛は殴った。


「更に面白い設定が、不良マンガに憧れて調子乗ってるっていうやつ。女子にすげぇクスクス笑われてるぞ、お前」

「へー、んじゃ笑ったやつは全員三角木馬の刑だな。もちろん動画はネットの海に流す」

「そんなだから嫌われてんだぞ。小山のフォローがあって、何とかハブられる一歩手前ってとこだぞ」

「別にいいっつの。俺にはサッキーという唯一無二の友がいるからな」

「う、うん、そうだね…」

そこで嫌な顔をする正直なところが素晴らしいと俺は思ってる。


「もう1つの残念な噂は、小山と真子が付き合ってるんじゃねえか疑惑。学校では否定したんだけどな」

「別にいいじゃん。何の問題があんだよ」

「大アリです!私は彼氏いませんから!いませんから!」

「1回でわかるっつの。でもカモフラとしては便利だろ」

「え?………確かに」

「流石春、保身に関しては冴えてるよね」

「当たり前だろ。伊達に毎日ヤリ逃げしても大丈夫なプラン考えてるわけじゃねぇからな」

「お前クズだな」

「美優だったらちゃんと孕ませるよ?」

「逃げないって言えよ。刺されるぞ?」

「俺は刺す専門なんですけど」

「聞いてない」

誰が男がいいなんて言うんだよ。猛と一緒にすんな。


「…………春君と美優は、その、付き合ってるの?」

「初対面でこんなクズと付き合うほど欲求不満じゃない」

「俺はもうセフレだと思ってるよ?」

「本気で言ってたらお前を殺さなくちゃいけなくなるんだが」

「なんでだよ。一発ヤリたい時に俺を呼べるんだよ?ウィンうげっ!」

「ウィンは私の分だけでいいわ」

口で言えば伝わるから。足で伝わるのは痛みのみですよ。


「んじゃミュウちゃんの好みはどんなん?」

「何興味持ってんだよ」

「3人のは知ってるから。サッキーは優しいやつ、ユーマは洗濯板が好きなや痛!津田はセックス上手いやつ。痛!痛ぇよ!」

「嫌いなタイプは平気で女の子に下ネタを言う変態です!」

「んじゃどんなんが好きなんだよ」

「教えません気持ち悪い」

どうせ趣味が合うとか見た目で選ばないとかだろ?もしくは体の相性……なんで睨むんだよ。


「そういえば春は足立さんとどこ行ってたんだよ。結構探したんだぞ?」

「野暮な事聞くなよ」

「動画見てわかんだろ。ゲーセンで暇潰してたんだよ」

「早くてごめんね?痛ぇ!なんでてめぇに蹴られなきゃなんねぇんだよ」

「うるさい。美優に謝って」

「はぁ?ミュウちゃん、しゃせーん」

「最低」

「なんでだよ。謝ってんだろ」

「それ本気で言ってる?本当最低」

なんで勝手にキレてんだよ。ダル。


「ま、まぁまぁ、立花君は冗談だよね?それに、謝るとしたら皆でだとも思うんだ。夢中になりすぎた真子ちゃんと小山君にも問題があると思うし、はぐれてからちゃんと連絡しなかった私達も悪かったよね?」

流石女神サッキー。マジで嫁に来て欲しい。


「うん。その通りだと思う。皆、ごめんね。つい楽しくなっちゃって、つい」

「…………ごめんなさい」

「ごめん」

「悪かったな」

「俺悪いか?」

「春は色々悪い」

「えー、チッ、はぁ、さーせーん」

「おい立花、マジで今は冗談やめろ」

「はいはい、ちゃんと面倒見てなくてすいませんでしたー。今度からはリードつけますー」

「悪かったわね!勝手にはしゃいで歩き周ってはぐれちゃって!」

うわメンドくせえ。うざいスイッチ入った系?


「同じ趣味の友達と会えたからって調子乗ってすいませんでした!周り見えなくなるくらい熱中してすいませんでした!私のせいではぐれてすいませんでした!私のせいなのに逆ギレしてすいませんでした!全部!全部全部全部全部!私のせいです!すいませんでした!これでいいんでしょ!」

「うるさい」

「ちょ、春、バカ」

「最低!!も、もう………うぅ……し、知らないからぁ!!」

「真子!待てって!」

「真子ちゃん!え、えと、あ、後で連絡するから!」

完全にキレまくって飛び出した津田を追うように2人が追いかける。

2人はなんでいんの?


「春、流石にひどいと思うよ」

「デコ助、謝った方がいいぞ」

「今度な。まぁ、話聞かないだろうから次とか無さそうだけど」

「お前ぶっ飛んでるな」

「昔からこう。本当に春はわけわからないよ」

「そこにシビれる憧れるってやつだろ」

「いや普通に引く」

でしょうね。泣きながら走り去る女の子を見てるだけだからな。でもメンドいじゃん。


この日から停学明けまで誰も来なかった。

猛すらも来ないし、連絡すらも無し。

月曜は朝も来なかったので、1人で登校する事になった。めっちゃ楽。





「あ、おはよう春」

「は?誰?」

「1週間で友達の顔忘れるなよ。 あと、ちゃんと謝った?」

「どうやって?」

「………………オッケー。全部わかった。来たら謝りなよ」

いや、あと10分でホームルームじゃん。無理だろ。


結局ギリギリで登校して来た津田一行とは会話など出来ず、授業を受けた。

三限の数学はクソほどつまらなかったので居眠り学習する事にしていたら、1つ前にいる猛から手紙を渡された。なんだ?


中を開くと、

『放課後、お話があります。津田真子』

……………ぐしゃぐしゃぽーい。

ダル。と思ってまた寝始めると今度はケータイに連絡が来た。


『待ってないと家に行きます。津田真子』

……………なんで俺のを知ってんだよ。

はいブロック。嵐は去った。






「春君、ちょっと」

「なんで昼に来るんだよ。怖いよ」

「いいから!来て!」

と俺の腕を力ずくで引っ張る、が、俺のが全然力強い。バカめ。


「うわ、変態また何かしたのかよ」「真子姫も頑張るなぁ」「あんなクズほっとけばいいのに」

「あいつ何で動かねぇんだよ。真子ちゃんが呼んでんのに。クソだな」

……………おろろ。俺の思ったよりかなり嫌われてるね。ワロタ。


これ以上聞いたらメンタルがテクノブレイクしそうだったので、とりあえず津田について移動する事に。

んで何故か屋上前の扉まで引っ張り込まれた。

屋上行けないのな。ロマンがないなぁ。


「……………あの」

「何だよ。まだ飯半分しか食ってないぞ」

「え!?嘘!?昼休み入ってすぐなのに!?」

食いつくなよ。昼飯だけに、ってバカ!……さみしいな。


「つまんでたからな。んで何だよ」

「……1週間何してたの。私に何か言う事無いの?何で何もしなかったの?」

「停学中に堂々と外出るわけねぇだろ。何か言うにもお前の連絡先なんぞ知らん。何もしないのはいつも通りだ」

「…………何とも思ってないの?」

「何がだよ。お前にか?他の奴らにか?」

「……………………私に」

「いや特に」

「何で!?」

「うおっ!」

至近距離で叫ぶなよ。最強の拒絶タイプに変貌しちゃうだろ。


「………………春君、私の事、その………どう思ってるの」

「友達の友達」

「他は?」

「オタク」

「………他」

「変なやつ」

「何それ!好きか嫌いかで答えてよ!」

「何でそうなんだよ。わけわからん」

「なん、なんで!春君、わ、私、うぅ……」

いやなんで泣くんだよ。情緒不安定やめて。


「好きだよ」

「………え?」

「だから好きだ」

「…………ぅ」

「あ?何?」

「バっ…バカっ……うぅ、うぇ、バカぁ……」

「泣くか怒るかどっちかにしてくんね?」

「うぅ………好きぃ………」

「意味わからなすぎだろ。………はぁ」

泣いて泣いてしょうがない。しかも抱きつかれてるんですけど。

仕方なく抱きしめて背中をさすってなだめた。

放課後まで。泣きすぎだろ。









「んで、どうなった」

「私達、付き合います!」

「え?」

「え?え!?」

「おおー」

「春、よかったね」

「え?」

「いやえって。春が告白したんでしょ?」

「………え?」

何でだよ。情報が乱れまくっとるやないか。


「話を整理しよう。まず、昼休みに春が謝罪と告白をして、どちらもいい結果、だよね?」

「どっちもしてないけど」

「………え?」

「………おい、真子」

「ま、真子ちゃん、好きって、言われたんだよね?」

「好きか嫌いか言えって。だから好きだって」

「それマジかよ。真子大丈夫か?」

「………………で、でもぉ」

「おいデコ助、貰ってやれよ。こんなんじゃ誰にも拾われねぇよ」

「見た目は最高なんだから何とでもなんだろ」

「なら春君が貰ってよ!大好きなオッパイだっていつでも触れるんだよ!」

「俺ミュウちゃんくらいが好きだから」

「………うぅ、美優のバカぁ」

「お前最低だな」

「よく言われる」

主に学校で。言われないと怖くなるレベルで囁かれてるよ。


「立花君、本当はどう思ってるの?他に好きな子いるの?」

「俺が思ってんのは、こいつ俺の何が気に入ってんだよキモ。あといない」

「………真子はこいつ好きなのか?かなりのクソ野朗じゃんか」

「………春君は、いつも目を見て話してくれるよ。顔とか体じゃなくて、私を見てくれてる。それに、すごく優しいし、正直顔はこの前初めて見たけど超タイプ」

「デコ助顔だけはいいからな。顔だけは」

「ミュウちゃんは全部最高。………睨むな」

ゾクゾクしちゃうでしょ!まぁしないけど。


「背も理想くらいの高さだし、声も好きだし、ツンツンしてる感じも最高だし、あと「はいオッケー」ええ!?」

そりゃ止められるよな。俺なんて言葉出ないからな。


「真子、いいところばっかりしか見てないと後で後悔するぞ」

「嫌なところ散々見たよ」

「お、おう」

そこ否定しないと終わりだろ。ユーマちゃんは友達に甘い。


「んじゃ決まりだな。デコ助よかったな。今世で唯一の彼女だぞ」

「皆は立候補しない?」

「バカか?」

「あの、ごめんなさい」

「死ね」

「やったね」

「………………えぇー」

マジかよ。こんな感じで彼女作るの?おかしくね?


「……………ちょっと2人っきりにしてよ」

「了解」「えと、また明日」「んじゃ」「春、頑張れ!」

その応援はいらないよ。帰れ。


「津田、いいのか?」

「…………名前」

「………真子、俺でいいんかー」

「え、えと、バッチコイ!」

それでいいのか。バカだろ。


「真子、俺と付き合って………くだ「喜んで!」いやまだ全部言ってないじゃん」

不安しか無い。………乳揉んだら怒るかな。

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