6話
「アーキハーバラー!」
「到着だー!」
「わ、わーい」
「2人とも落ち着けよ。皆見てるって」
「………おいデコ助」
「………ごめんて」
「殺すぞ」
謝ってそれかよ。鬼ですね。
予定通り?にアキバに到着。移動中からテンションアゲアゲな2人にクソほどうんざりしてしまうオマケ一行。まさか津田がジョーカーだとは思わなかった。
「美優、俺ら抜けよっか」
「………………………有りだな」
「え?マジで?本気にするよ?」
「この状況よりマシだ。咲と悠真に全てを委ねれば何とかなるだろ」
「いいわけあるか。第一言い出しっぺを逃すわけねぇだろ」
「流石に猛1人しか面倒見れないんですけど。津田は予想外なんですけど。マジテンサゲなんですけど」
「キモいからやめろ。真子は私が見るから頑張れよ」
「ユーマちゃん優しいね。どうした?惚れた?」
「同情してるだけだよ。今以上にしんどくなるから変なこと言うな」
来たばっかでこのメンタルはヤバイよね。なんだろ。本当に申し訳ない。
ダラダラ会議をしてると、2人がバタバタ周り見ては店の広告とか店内の売りもん見てはしゃいでる。
遠目で見てっとお似合いで腹立つ。これが上流階級と下々の格差か。マジで抜けよっかな?
「真子さん!これ!今期のあのキャラのフィギュアだよ!」
「すごい!やっぱりこの会社の作るフィギュアは細かくていつもほれぼれするよぉ」
「この躍動感、細かく部分の丁寧な作り、そして何より、カワイイ!」
「猛君わかってる!カワイイ!優勝!」
何勝手にコンテストしてんだよ。審査緩すぎだろ。
「真子さん!あっちにグッズが売ってるよ!行こうよ!」
「うん!急げ!急げ!」
「あ、あ、真子ちゃん待って!」
「おい!はぐれるぞ!待てって!」
「…………デコ助、お前のせいだからな」
「…………後で好きなの食いに行こう。もちろん俺持ち」
「………弟と妹もいいか?」
「どんとこい」
なんか、ミュウちゃんと仲良くなれそう。辛い。
この後も2人のケツを追っかけては逃げられ、を繰り返し、
「…………どこ行った」
「…………はぐれたな。ダル」
という状況になってしまいましたとさ。チッ。
ミュウちゃんに連絡してもらったら4人は固まってるらしいので一安心。
ただ場所がわからないから集まりようが無い。
諦めてとりあえず徘徊するという地獄。俺は悪くねぇ。悪いのは全部猛先生だぁ。はぁ。
「デコ助、ちょっと付き合え」
「え?何、人多いから外でとかぐぇ!」
「ゲーセンだ。行くぞ」
ほとんど喋ってねぇのに殴る?ミュウちゃんもハイになってね?
ミュウちゃんに付いてゲーセンに入ると、階段をガシガシ上ってまっすぐ格ゲーまで歩いてった。
周りを見回して、すぐに某路上格闘ゲームに座り俺に手を出した。
「何?」
「金」
鬼か。ワキワキすんなよ出すから。
ワンコイン渡すと、慣れた手つきでゲームを操作し、ゲームを始めた。
結構やってるのか、コンピューター相手に一方的に攻撃を浴びせてノックアウトしてる。うめぇ。
「おいデコ助。お前相手しろよ」
「え?まぁいいけど。いいの?」
「あんだ?ヨユーだとでも言いたいのかよ?」
「いや、んー、まぁ一回やってみっか」
「おう」
ミュウちゃんの向かいに座ってコイン投入。
すぐに対戦モードに入りキャラを選択する。
ミュウちゃん明らかに玄人向けみたいなキャラ選んでるんですけど。
俺は主人公的なキャラを選ぶ。イッツ無難。
『ラウンドワン、ファイ!!』
「っしゃ行くぞコラ!」
「おうかかってこい」
『ユールーズ!コンティニュー?』
どストレート負け。2戦目パーフェクトで負けたんですけど。
「おいデコ!お前弱すぎんだろ!やったことねぇのか!?」
「いや、めっちゃ好きだよ!ただゲームは性に合わないだけ!」
「…………別んとこ行くぞ!」
ごめんね?これでも週一で練習した時期もあるんだよ。
別の階に行って他のゲームを色々やって遊んでみた。
ミュウちゃんは兄弟とゲームして遊ぶ事が多いからかなり得意らしい。
1番凄かったのはFPSだった。ハイスコア出すとは流石に思わないよね。
唯一苦手なのがクイズだったが別に頭悪いとかじゃなく、ただ難しいのが解けないってレベルだった。それでもすごいんですがね。
「デコ助、休憩」
「へい姉御!飲み物買って来やす」
「おう、コーラでいいぞ」
「へい!すぐ持って来やす!」
完全に手下感出ちゃってたので、全面に押し出すと意外と乗ってくれたから変なキャラになっちまった。だが、良い!
お嬢さんの注文通りの物を探して回ったのだが全然見つからない。
自販機売り切れってなんだよ。無けりゃ生み出せよ。
結局外に一度出て探し、自販機で買って戻る羽目に。これもフォースの導きだと思って怒りを鎮めよう。
「おいいいだろ!?どうせ来ないだろ!」
「早く遊びに行こうぜ!俺たちが満足させてやっからよ!」
………………なんでやねん。
戻るとミュウちゃんが輩みたいな兄ちゃん2人に鬼絡みされてる。マジ卍。
待たせてしまったとは思ったけど、なんでこんなわけわからんドッキリすんだよ。
めっちゃすげぇ本気だと思ってんのが、腕引っ張られてるんだけど、見た感じ半泣きくらいの顔してるんだよね。手抜きは嫌いなのね。
「すいませーん。ミュウちゃん待ったー?」
「あ?なんだお前?」
「俺たち今忙しいんだよ。見てわかるよな?」
「いや、ドッキリもういいから。ミュウちゃんそんな怒んないでよ」
「……ち、違う、ほ、ほん、本当に、やだ」
「…………い、いや、背中の登り龍が泣いてるよ?」
「うるせぇな!今俺たちがこいつと遊んでるっつってんだろ!」
「てめぇナメてんのか?あぁ!?」
………………い、今起こった事を以下略。こいつら本物?今平成も30年手前だよ?昭和に帰れ!
「あの、お兄さん達、いいかな?」
「あ?なんだコラ!」
「警察呼ぶね?」
「なんだと!?呼んだらお前から遊んでやる事になんぞ?わかってんのか!?」
「な、なんだと……お、俺はノンケだ!!」
「そうじゃねぇよ!!ボコボコにするって言ってんだよ!」
「え?あぁ、なんだご褒美か。良かったぁ」
「……お、お前マジかよ」
「え?当たり前じゃん。ミュウちゃんにはいつもお世話になってます」
「ま、マジかよ……お、おい、どうする?」
「いや、おかしいのこいつだけだろ。なんとかなんだろ」
監視カメラはなんとも無いのな。周り見てよ。もうSNSで出回ってるよ?拳くらいバズればまだいいんだけど。
「て、てめぇ、とっとと消えろ」
「いや、ミュウちゃんほっぽったらご褒美貰えないじゃん。だから勘弁してくんない?皆見てるしさ」
「んなもん知るか!」
とうとう殴りかかってきた。正当防衛大事。
だが当たる気は無いので、避けてカウンター。
バチン!といい音がし、ワンパン。
「うお!お、お前、ちょ、ま、待て!」
「待つ待つ。だから早くそいつ連れてどっか行ってくれや。早く、すぐに、行け」
「はいぃ!!」
ボコされた相方を引きずってエレベーターに駆け込んで消えてった。エレベーター上ってんだけどね。
「美優、ごめんな。これで機嫌直してよ」
「……………ぬるい」
「ごめん。売り切ればっかでさ」
「……………わかった」
見た目強気だけどやっぱり男は怖いんだな。めっちゃかわええやん。あ、ごめん、睨まないで。
ゲーセンはもう飽き飽きとの事なので、一旦合流目指して行動し始めた。
連絡を取ると、とあるオタク御用達の店にいるとの事なので、レッツラゴー。
「……………何してるの?」
「何が」
「……………なんで、美優と、手を、繋いでるのかな?」
「あー、ピロー………ウォーク?」
「何それ!!」
「してねぇし。それにウォークよりシェイクハンドじゃね?」
「ちょっと遠いけど手コキしてるとも言える」
「お前すげぇな」
「そうじゃない!!2人で何してたの!?」
「それはこっちのセリフでもあるんだけど」
「う、いや、確かに勝手に色々行ったけど、でもさ、美優はいっつも付いてきてくれてたでしょ?」
「アキバには一緒に来たことないよ。メンドそうなのは全部悠真に任せてたから」
「え!?ちょ、何それ!?」
別の問題が発覚してるじゃねぇか。厄介者扱いドンマイでーす。
「おい、立花、これなんだよ」
「……………おー、よく撮れてんなー。流石最新の機械だな」
「そうじゃねぇだろ!美優、ケガとかしてないか?」
「え?ミュウ何かあったの?立花君に何かされたの?」
そういうところは信用してないと。つうかしてたら堂々と合流しない事に気付いて。
「何があったか、ちゃんと説明するように」
「はぁ、実は、かくかくしかじか」
「そんなんでわかるわけないでしょ!」
翻訳してくれるコンニャクありきのやつだったか。メンドい。
事情を動画含めて説明するとクソほど怒られた。
なんで2人で別行動したの!?
なんで1人にしたの!?
暴力なんて最低!
ですってよ。
結局取りつく島も無く女子組と男子組で別れて解散する事になっちった。テヘペロ。
「春、喧嘩やめたんじゃないの?」
「正当防衛だろ」
「もうめちゃめちゃ拡散されてるよ?すごいピンクの目立つパーカーで」
「なら交換すれば何とかなるか。んじゃ寄こせ」
「嫌に決まってるだろ!脱いでカバンに仕舞えって」
「カバン?………あ」
女子組の服持ちっぱじゃん。下着付きとか猛のオカズ確定じゃん。