5話
バイキング終了前に全員で服屋に直行。
移動前に店の便所でセーフ組の上着を渡し、汚した服を洗わせた。
インナーまでべっちゃりした津田は、俺のパーカーを着せてチャック全閉。
オッパイでチャックが壊れるんじゃねえかってくらい押し出してるんですけど。エロいけど勘弁して。つうかサイズデカイのになんでそうなる。
サッキーは猛のジャケット、ミュウちゃんはユーマちゃんの。なんで皆パツパツなの?ユーマちゃん泣かないで。
猛にテキトーに買わせてきたカバンに、濡れた服を入れて買い物をしていたのだが、3人共長い。
「見てミュウ、これ可愛いよ?絶対ミュウに似合うと思うんだ」
「うぅ、それ、ちょっと、好きじゃない」
「えぇー?小山君も似合うと思うよね?」
「う、うん。すごく可愛いよ」
「なっ!?ちょ、や、やめろよ」
「うぅ〜可愛いぃ。ミュウ可愛いよぅ」
サッキー大丈夫か?かなり壊れかけですが。
「ほら真子、これなんか良いんじゃないか?」
「……………」
「おい?真子?」
「うぇ!?な、何?」
「いや、これ。どうだって」
「え、えっとー、は、春君はどう思う?」
「名前で呼ぶな」
「あ、ご、ごめんね」
「何真子に謝らせてんだよ。元はと言えばお前のせいだろ」
「違う。猛だ」
「どっから小山が出るんだよ」
悪いことは全部あいつが引き寄せてんだよ。幸薄そうな顔してんだろ。
「お、おい、悠真!咲なんとかしてくれ!」
「え?はいはい、今行くよ。立花、真子をちゃんと見とけな。後、変なこと言ったらぶっ飛ばす」
「やるのはセーフね?了解。痛ぇ!」
グーパンで返事するのな。新しい。
2人きりで選ぶ事になったのだが、津田がさっきから全く服を見てない。ずっと俺のパーカーをもじもじ触ったり袖を口元に当てて何かしてる。食うなよ。
「おい、早く選べよ」
「あ、ご、ごめんね。あの、春君は、あ、立花君は、どういうのが好き?かな」
「全裸」
「………えーっと、風邪引いちゃうよね」
そうじゃなくね?
「んじゃあれ、最近流行った。あの、あれ、セーターの」
「あー、えっと、背中パッカーンのやつ?」
「何混ぜてんだよ。まぁそれ。横乳見える感じ最高だよな」
「あはは、……スケベ」
男はみんなそうだろ。猛みたいなムッツリよかマシだろ。睨むな、興奮すんだろ。
「ならそこのコートでいいだろ」
「うーん、今日はちょっと冷えるけど、少ししたら暖かくなりそうだから、もうちょっと薄めの方がいいかな」
「なら中脱いで着ればちょうどいいだろ」
「嫌。変態」
腕で隠してるとこ悪いけど、変態のパーカーだからな。後でドチャクソくんかくんかしてやる。
「ねぇ、これどう?」
と言って白のシャツを体に合わせて見せてきた。
「にあうにあうー」
「えー?そう?」
なんで聞いたんだよ。
「ならこれは?」
今度はデニムのシャツ。美人は何でもいけるな。
「にあうにあうー」
「へー」
いや何戻してんだよ。聞くなよ。
「んじゃあ、これっ」
今度はチュニック。いやなんで。
「にあうにあうー」
「ふーん。こういうの好きなんだ」
「いや、お前着たら乳具合が素晴らしそうだなと思って」
「うわ、サイテー」
つうかなんでわかったんだよ。ニヤニヤしながら言うな腹立つ。
「おーい真子ー、決まったかー」
「んー?とりあえず春君のパーカーでいいかな」
「いや返せよ。ふざけんな、風邪引くだろ」
「じゃあ私のカーディガン着ていいよ」
「ビショビショだしサイズ合わねえだろ。オカズにしかならねぇよ」
「汚したら弁償」
「お前自分で汚してたろ」
「むむ、あれは春君が悪い」
「ざけんな。つうか名前で呼ぶな。乳揉むぞ」
「だ、だめ!バカ!アホ!」
調子こいてた癖に急に引いたな。めっちゃガードしてるし。……………いや、マジで?
「おい、着けてねぇのか?」
「………な、何が」
「触って確かめるぞ」
「着けてない!バカ!寄るな変態!」
「はぁ、先に買えよ」
「…………その、無くて」
「…………あー、んー、ユーマ!ユーマ来い!」
「え?何?なんだよ急に。どうした?」
「買い物一旦終了。女子だけで次の場所まで行ってくれ」
「は?なんで?」
「後でこいつに聞け。無けりゃ金出すから」
「は?え?なんだよ?」
「いいから、ほら、サイフ。金は好きにしていいけど他のは無くすなよ」
「え?え?ちょ、え?」
いいから早よせいや!何をワタワタしてんだよ。
サッキーとミュウちゃんも緊急招集し、買い物に向かわせる事に成功。疲れた。
猛のバカはホッとした顔してやがる。乳揉んでこい。
「ねぇ春。なんで皆と別れて買い物してるの?一緒に選んだ方が良くない?ほら、女の子に好まれるファッションとかわかるでしょ?」
「んなもん知らん。好きなもん着りゃいいだろ。後、別行動の理由は津田に聞け」
「え?わかった。でも俺の格好変じゃないかな?大丈夫?」
何で今更確認してんだよ。今は2人してTシャツ何だから大丈夫じゃねぇだろ。寒いよ。
暫く待ってると猛に電話が入り、駅前で合流する事になった。寒いのに移動させんな。
駅前に行くと、待たせていたようだ。
そそくさと合流したのだが、おかしい。
サッキーは可愛らしいポンチョ。
ミュウちゃんは黒のスカジャン。もちろん背中に龍。
津田、何でまだ俺のパーカー着てんだよ。
「お前ら何してたんだよ。それ返せ」
「ふんっ、これっ、代わり!」
なんか態度悪い。しかも買い物袋投げつけてきやがった。ストレス。
「何だよこれ。……………何でどピンクのパーカーなんだよ」
「スケベ春にはお似合いでしょ!ふん!」
いや何だよ。サッキーは普通に猛に返してんぞ。
「おい、立花、ちょっち来い」
「あ?何だよ」
ユーマちゃんに誘導されちょい皆から離れて、サイフを渡された。普通に返せよ。
「まず、お前どんだけ金入れてんだよ。怖いわ」
「それは別にいいだろ」
「それをポンと渡して使えって言われると怖いっつの。使えないし」
「何気にしてんだよ。後で返してもらうに決まってんだろ」
何で自分の彼女でもない奴に出してやんなきゃいけねぇんだよ
「お、おう、そうだよな。んで、次に、サイフの中にあった写真の人誰だよ」
「あ?母さんだよ。それが何だよ」
「………………本当か?つうか何で母親の写真入れてんだよ」
「マザコンなんだよ。文句あんのか?」
「いや、別に」
あからさまにバカにしてね?最近マザコンはモテるらしいんだぞ!
「まぁいいや、さむさむ」
「……マジで着るのかよ」
「仕方ねぇだろ。お前のお友達の痴女ちゃんが俺の返さねえんだから」
好きでどピンク着るように見えんのかよ。やめてよもう!
「んで、どうすんだ。帰ってもいい?」
「帰れスケベ!」
「おい、真子。ちょっと」
「……何」
ユーマがそそくさと津田のとこに行き何か喋ってる。マザコンで何が悪い。
「おいデコ助。お前何かしたのか」
「ん?強いて言うなら、ミュウちゃんの谷間見てる事くらいかな。うぐぇ」
「殴るぞ」
いやだって見えるから。ミュウちゃんタッパ小せえから下見るじゃん?乳見えるじゃん?拝むじゃん?
「一応聞くけどどっちで怒ったの?」
「両方」
「んじゃ美優ならいいのな。後、ロリ巨乳の美優ちゃんが悪痛ぇ!」
「殺すぞ」
「全部本当じゃん。何が悪いんだよ」
「デカくない」
「タッパはな」
「どっちもだ」
「サッキー基準で言うとじゃん。でもそれだと世界中チッパイだからな?ユーマなんかマイナスだろ」
「………ごめん」
「何謝ってんだよ!」
おっと聞こえてたか。サッキーにまでジト目で見られたよ。かわええ。
「もういいか?俺は帰るぞ」
「まぁまぁ、もうちょっと遊ぼうよ。春の行きたいとこなら………ごめんやっぱ無し」
「え?えっと、私は良いと思うよ?立花君行きたい所ある?」
「えー、つっても行きたく無さそうな奴が………なんだよ」
「い、いや?別に?なんでもないよ?」
「おい津田。文句あるなら言えよ?俺は山ほどある」
「だ、だが断る!」
なんでやねん。
「んじゃ行きますか」
「どこ行くんだよ。本当に昨日言ってたとこじゃないよな?」
「昨日なんて言ってたんだよ」
「ノーパン喫茶とストリップ」
「お前本気で捕まるぞ」
「冗談で言ってたな決まってるだろ」
「んじゃどこだ。変なとこだったらそのデコかち割るからな」
「アキバ」
「デコ出せ」
「ミュウちゃんよ、周り見てみな。反対してんのお嬢さんだけやで」
「は!?マジかよ!?」
猛は絶対何も言わねぇって知ってたが、ユーマちゃんが何も言わないのは意外。
「はぁ、マジでか」
「なしたん」
「よく来てるから。付き添いで」
そう言って津田に視線を投げかける。
おっと、猛の同類ですか。萎え。
「よっしゃ行こー!」
え?そのテンション?サッキーは?萎えてる。
ユーマ、萎えてる。ミュウちゃん、萎えてる。
…………これはまずったね。