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最低男子と最高女子  作者: 猫背
4/65

4話

「春、春、どうしよ、俺どうすればいいんだよ。なぁ、春、聞いてる?」

「うるせぇ!何で休みの朝っぱらからお前の脱童貞計画聞かなきゃならねぇんだよ!」

「そんなこと言って無いだろ!お願いだから一緒に考えてくれよ!」

「ラブホは逆に近いとこの方が見つからない説」

「だから違う!」

マジうるせぇ。なんで朝8時にお持ち帰り大作戦ねらなきゃならねぇんだよ。


ラインを交換させて連絡取らせてたら、今度の休みに皆で遊ぼっ。って流れになったらしい。うざい。

このイケメンクソリア充は女の子と遊ぶのが久々過ぎて、何故か俺にアドバイスさせるという大丈夫?な行動を取り始めている。帰れ。


予定だけは聞いてみようと思い色々聞き出したら、こいつ1人、女の子が4人というかなりメンドくさい編成になっているらしい。

3人はウチのクラスの自慢のお嬢さんとオッパイ、そしてボディガードちゃんだ。

後の1人は別のクラスのお友達だとかで面識ないとか。


「それで、俺どうすればいいのさ」

「流石に4人相手はキツイな」

「やっぱり男1人だと浮いちゃうよね?」

「1人1発って考えても最低4発ぶっかけはしんどいよな。やっぱイケメンは辛いな」

「もういいって!そんな関係じゃないから!そうじゃなくて、どうすればいいんだよ!」

そもそも計算おかしくね?とかツッコム余裕も無いのかよ。もっとイケるよ!とか言ってくれたらおもしれぇのに。


「どこ行くとか決まってねぇのかよ。もうマジでラブホでいいんじゃね?」

「行かないよ!えっと、予定は特には無いけど、新しいケーキバイキングのお店?とかがあるらしいんだけど、そこに行くっていうの以外は何も」

猛の存在意義。勝手に女子会やっとけよ感ハンパねぇんですけど。


「ケーキアホほど食うんだろ?ならその後の腹ごなしでもすりゃいいだろ」

「なるほど!春ならどこがいいと思う?」

「少しは自分で考えろバカ。絶対ラブホって言うのわかってて聞くなよ」

「もう下ネタ言うのも飽きたかなって思ったからさ」

とりあえず腹パン。どこに頭使ってんだよ。


「お前の行きたいとことかねぇのかよ。ノーパン喫茶とかストリップとか」

「行きたく無いよ!それ春だけだろ!」

「お前バカか。俺は見たいんじゃなくてヤリたいんだよ。行くわけねぇだろ」

「それ絶対学校で言わないでね。平野さんに殴られるよ」

「お前風に言うとご褒美か。それはやだな」

「そんな趣味も無い!」

メンドくさい。俺にどうしろと。


「とにかく、なんかアイディアくれよ。俺本気で困ってるんだからな」

「だからお前の行きたい場所誘ってみろよ。皆なら一緒に行ってくれんだろ」

イケメン力をここで使わなくていつ使うんだよ。

「いや、でも」

「なんだよ。アキバしか思いつかねぇのかよ」

「うっ、そ、そうだよ。仕方ないじゃんか」

「それでもいいだろ。嫌がる奴らならそんなの本当の友達じゃねぇだろ」

「春は絶対嫌だっていつも言うじゃんか」

「クソオタクのお前のつまらねぇ話聞いてるとイライラするからな。勝手に興奮してバカみたいに喋り倒して1人で盛り上がってるお前見ると蹴りたくなる」

「ご、ごめんって。もうしないよ」

それもう100回聞いた。何回言ってもやめないし、たまにアニメのセリフで返してくる感じムカつく上にあれ?知らない?って顔。何回殴った事か。


「最悪行きたいとこ無いーとか聞け。無ければ解散終了」

「えー、それ、いいの?」

「ならゲーセン行け」

「でもゲーム好きじゃなかったら?」

「ならカラオケ」

「ま、また引かれちゃうよ……」

「遊園地」

「近くに無いしそんなにお金も持ってないよ」

「ボウリング」

「俺自信無いよ…。それに皆ボウリング好きかな」

「チッ、ダーツ」

「人数多いから出来なくない?やった事ないし」

「スポッチャ」

「それなら良いかも!でも、そもそもスポーツしたく無かったらどうしよう」

「知るかボケ!どんだけ出しても一緒じゃねえか!自分で考えろ!」

「ご、ごめんなさい…」

何の心配してんだこのバカ。めっちゃ疲れる。


「そんなに気にしてんなら聞いてみろ。今、すぐに、やれ!」

「はい!………なんて聞けばいいかな?」

「俺とセックスしたい人ーって」

「聞くかバカ!そんな事言ったら嫌われるよ!」

「うるせぇ、私服ないから皆で選んでくれない?って送れ」

「え?あ、うん。…………送ったよ」

「はい終了。後は向こうが勝手に盛り上がるでしょ」

「そうかな?大丈夫?あ、返事来た。……おお!皆で買い物行こうだって!」

さすがイケメン。俺が言ったら雑誌の写真送られて終わりだぞ。良くてな。


「あ、春も行かない?だって。津田さんが」

「ユーマちゃんはなんて?」

「いや、特には何も」

「聞いてみろ」

「わかった。………………遺書書いてから来いって」

書けば許すユーマちゃんカワイイ。優しさが溢れてるな。胸には詰まってないけど。


「それじゃあ春も準備しないと」

「いや行かないから。最低1人ヤラせてくれるなら是非とも行くけど」

「でももう行くって言っちゃったよ。皆楽しみだって」

「絶対誰も言ってないだろ。社交辞令も限度あるからな?」

「いや、ほら」

猛のライン画面を見ると、確かに書いてある。

絶対嘘だしユーマちゃんに至っては意味違うだろうな。まぁ逆にってやつかな。


「いつもみたいな格好はするなよ。学校の友達、それも女の子と出掛けるんだからな。オシャレしてよ」

「今がベスト」

「なんで寝巻きがベストなんだよ。その頭もちゃんとしろよ。リアルで王国客員剣士の髪型は普通に引かれるからな」

「俺が唯一好きなキャラだぞ。真似して何が悪い」

「髪で片方完全に見えてないし、春がやるとだらし無く見える。二次元だからこそカッコいいんだぞ」

「うわダル。メンドくさい」

「いいから、ほら。準備しろ」

うぜー。何急に張り切ってんだよ。さっきまでクソほど悩んでたくせしやがって。


仕方なく準備。頭は髪を上に上げてヘアピンで留めてオールバックっぽくする。

下はジーパン、上はまだ少し寒いので厚めのパーカー。クロックスを履こうとしたらお小言が入りスニーカー。メンドくさい。


まだ集合まで1時間も前に現地入り。こいつどんだけ楽しみにしてんだよ。

しかも待ち合わせ場所なんで駅前なんだよ。

学校のが圧倒的に近いだろ。俺が。


「お兄さん達、誰か待ってるんですか?」

「ヒマだったらお話しませんか?」

……………出た。萎えー。

「は、春、聞かれてるよ?」

お前もだろバカ。恥ずかしいからソワソワすんなよ。


「ごめんねお嬢さん方。人待ってるからまた今度ね」

「えー?本当に?」

「ね、だったら番号交換しよ?」

「あーごめんねー。俺今ケータイ壊れてるから無理だわ。そこのは電池切れてる」

「え?でも「いやー!残念だなー!」う、うん、そうだね」

何出そうとしてんだよ。俺見て察しろよ。


「ならラインのID教えるね?後で連絡してね?」

「はいこれ、私らの番号とIDだから。連絡してね?絶対だから!」

「はーいありがとーさよならー」

受け取ったメモにケータイの番号とIDが書かれてる。いつ書いたんだよ。ハートマークうぜぇ。

はいぐしゃぐしゃポーイ。

「うわ、春、ポイ捨てするなよ」

「んじゃやるよ」

「いや、遠慮するよ」

嫌ならもっとハッキリしろや。何ケータイ出してんだよ。


この後も何遍も女の子に声かけられた。何回もテキトーに断ってるだろが。何で話かけてくんだよこいつら。

毎回テンパってる猛にも腹立ってきて萎えた。

少しは助けろ。


「あ、あの、小山君、遅くなってごめんね?」

「あれ?立花君は?」

「小山、この人誰?」

「………………」

待つこと1時間。時間ぴったりじゃないですか。

女子組は予想通り……では無く、知らない1人が全然イメージしてるような奴じゃなかった。


まず津田。カーディガンに膝くらいのスカート。足寒くない?

サッキーはセーターとロングスカート。オッパイすげえな。

次にユーマちゃん。上はジャケットで下はジーパン。モデル体型だからめっちゃ似合ってる。

最後か大問題。初めて見た子は、ゴリゴリのヤンキーちゃんだった。

金髪ショートの髪、かなり気合入ってる眉、登り龍が背中にいるスカジャン、ジーパン、ついでにメンチ。………うん、ヤンキー。これは作戦変更ですね。


「初めまして。猛の友達の正志です」

全力爽やか笑顔!これで勝つる!

「え?あ、初めまして。大野咲です」

ノータッチで挨拶してくれるサッキー大好き。

「………津田真子です」

…………テンション低くね?めっちゃ警戒されてるんですけど。

「平野悠真、よろしく」

当たりが優しい。なんか物足りない自分がいてしまう。

「足立美優」

「ミュウ、ちゃんと挨拶しないと」

「ちょ、その呼び方外ですんなよ!」

なるほど、わかった。可愛い。


「えっと、咲ちゃん、真子ちゃん、悠真…さん?と、美優ちゃん、だね?よろしく」

「は、はい」

「………あの、春君は?来るって聞いたけど。この人誰?」

知らない間に俺と仲良くなってんなよ。名前で呼ぶな。あと態度。

「おい真子、知らない奴にそんな態度失礼だぞ。小山の友達なんだからちゃんと挨拶しな。美優もだぞ」

ユーマちゃん………立派になって……。普通にいい子やん。


「あの、お、おい」

「どうした?猛。緊張してんのか?まぁ、皆可愛いからしょうがないよな。俺もすごくドキドキしてるよ」

「いや、そうじゃなくて…」

「へぇー、とても女の子に慣れてそうだと思ったんですけど」

当たり強ぇな。親の仇にでも見えてんのか?

「あはは、そんな事ないよ。これでも頑張って取り繕ってるんだよ」

そりゃもう必死。サッキーと同じくらいちっちゃいとはいえヤンキーまっしぐらのミュウちゃんに目を付けられたら怖いじゃん。


「ふーん。顔はいいし、小山君といれば女の子いっぱい捕まえれるとか思っていそうだなーって思ってたんですけど。違います?」

「あ、あはは、手厳しいね」

なんでそんなイライラしてんの?重い日?

「おーい真子、何言っても立花来ないぞ。男1人じゃ気まずいから連れてきたんだろ。しょうがないだろ」

「いや、その、そうじゃなく……」

やめろバカ。今俺をマークしてんの津田1人なんだぞ。このままいけば安全なんだぞ。


「あ、あの、とりあえず移動しませんか?バイキング結構人並んじゃうらしいので…」

「そうだね。それじゃあ、皆行こう」

「…………はぁ」

「真子、いっぱいケーキあるから、機嫌直せよ」

「咲、行こ」

皆バラバラだなぁ。来なきゃよかった。


女子について歩いて移動していると猛が寄ってきた。なんで女子に混じらねぇんだよ。ケツくらい触ってこい。

「……この後どうすんだよ」

「このままだろ。バラすなよ」

「……普通に言えばいいだろ?」

「ミュウちゃん見たろ?あの子とユーマちゃんが2人で俺にマークしたらメンドくさいだろ」

「いつもの変なのやめれば?」

「元からああだろ」

「………はぁ、バレても知らないからね」

その時はお前にやらされた程に決まってるだろ。


女子のふつくしい御足を眺めながらついて歩き5分程した所に店があった。

サッキーの言った通りまぁまぁ人がいるが中には入れるようだ。ラッキーらしい。


店内に入り、案内された席につき説明を聞くと、時間は1時間。お残しは許しまへんでースタイル。

残すと罰金が発生するとの事。


「それではごゆっくりどうぞ」

「よっしゃ!食うぞ!」

「おー」

「そだね」

「あんま食い過ぎんなよ」

ヤバい。ユーマちゃん以外全然テンション上がってないんですけど。真子ちゃんお顔固いよ?


とりあえずその辺のケーキを皿に盛って席に戻って食う。

甘い物は食い物の中でもかなり上位の好きなものだから地味に喜んでるわい氏。


「正志君は甘い物好きなんですか?」

サ、サッキー………君は女神か?今の俺に話しかけるとか相当の強者じゃないと出来ないぞ?

隣のお嬢さんの顔見てみ?もはや半ギレ。

「ええ、最近で言う、スイーツ男子?って感じですね」

「変なの」

「おい真子、もう少しオブラートに包めよ」

ディスは変えなくていいと。ユーマちゃんも同意見なのね。


「あはは、真子ちゃんは甘い物好き?」

「…………まぁ」

「そっか、じゃあ隣町の限定プリンとか食べた事ある?」

「………ありますけど」

「あれすごく美味しいよね。1人2つまでって全然足りないよね。そういえば駅の所のクレープ屋は行った?あそこの1番人気のチョコバナナめっちゃ美味しいかったよ」

「………へぇー」

完全にシャットアウトやん。学校で声かけてる男子ですらやんわりかわしてるやん。なんでやん。


「………お前、どこの学校?」

…………初めて話かけてきたと思ったら身辺調査かよ。しかもピンチ。

「あれ?俺も同じ朝凪だよ?美優ちゃんとは違うクラスだから気づかれてなかったかー」

「何組」

「俺は二組だよ。美優ちゃんは?」

「二組」

「………………チッ」

まさか7分の1で当たるとは。萎えた。

ちなみに俺と他のは四組。


「……………あ、あのー?」

「なんだよサッキー。早く食わねぇとユーマちゃんが全部食っちまうぞ」

「は?いや、食うかバカ!ってお前、立花?か?マジで?」

「うん、ごめんね?黙ってて。春が言うなって」

「俺のせいにすんな。結果言わないお前が悪い」

「その言い様完全に立花だな」

それ褒めてるよね。ユーマちゃん優しい。


「んで、なんでミュウちゃんはそんな事聞いたのかね」

「その呼び方やめろ。殺すぞ」

「うぃー。ミュウちゃんは「てめぇ聞いてんのか!?」お客様、お静かに。迷惑」

「お前のせいだろ。美優もこんなのに本気で相手すんな。疲れるぞ」

「…………チッ」

「ねぇミュウちゃーん。なんでかなー?ねーねーねーねーねーねーねーねーねーねー」

「春うるさいよ」

ミュウちゃん全然反応しねぇな。マジで嫌われたな。ショック。


「………………た、立花、君?」

フリーズしてた津田がやっと動き出した。再起動成功ですね。

「なんだ。俺見たってケーキ減らねぇぞ」

「いや、え?あれ?今日来ない?あれ?なんで?正志って人じゃ?」

「正志は猛の弟」

「1こ下なんだ」

「へ、へぇー、そ、そうなんだ、へぇー」

「…………なんだよ」

「…………あ、あの、いつもあぁじゃなくてね?今日は、その、春く、じゃなくて、立花君が、あの、違くて、その、そう!生理で!」

「おい真子!待て待て待て!それはダメだろ!」

「え?なん……え!?ちが、違う!違くて!あのあのあの、あの!」

再起動失敗してんじゃん。めっちゃバグっとる。


「お、落ち着いて、津田さん、深呼吸」

「ま、真子ちゃん、ケーキ、ケーキ食べよ?」

「ちょ、咲!服についてる!」

「うわっ、美優!コーヒーこぼれる!」

「うわ、わ、わわ!ど、どうしよ、えと、えと」

……………カオス。俺のせい?


バイキングはちゃんと食えた。お残しも無し。

その後に服を買いに行けって言っといて良かった。ユーマちゃん以外の女子が服をベチャベチャにする事件が起こったからな。


俺は悪くねぇ。悪いのはオッパイにケーキ食わせようとしたサッキーと、拭こうとしてコーヒーをぶちこぼしたミュウちゃん。勝手に荒れ狂った津田のせい。

なのにずっと睨まれてんだよなー。ひどいよね?

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