11話
「くぬっ、くぬっ、くぬっ、くぬっ」
『KO!!ユー、ルーズ!コンティニュー?』
「まだやんのか?」
「もっかい!」
「はぁ、りょ」
筐体のコインを入れる場所へ投入。
これで12回目のコンティニューだ。飽きた。
「くぬっ、くぬっ、くぬっ、くぬっ」
「おーい真子ー。別のやろーよー」
「くぬっ、くぬっ、くぬっ、くぬっ」
「お前女子としてどうかと思う声出すな」
「うっさい!くぬっ!くぬっ!くぬっ!」
『KO!!ユー、ルーズ!コンティニュー?」
「もっかい!」
「嫌だ。他のやるぞ」
「うっさい!もっかい!もっかい!」
こいつぇ………マジメンドくせぇ……。
今日の昼飯浮気はいつにも増してかなり頭にきてるらしく、ゲーセンに着いてからずっと格ゲーでボコボコにされていた。
何回か知らん奴が対戦したがって変わったりしたが、こいつだけは台を絶対動かない。強すぎ。
「春、一回変わってよ」
「お、とうとうキモオタ対決か。勝ったら俺の彼女の乳揉ましてやんよ」
「バカ!最低!浮気!」
「俺も嫌われちゃうじゃん。もっと普通の要望聞いてほしいよ」
「女紹介しろって?向かいにいんだろ」
「……………………ぐすっ」
「真子!勝ったらアキバデートだ!ガンバレ!」
「二言は無しだよ。2人きりだからね」
「…………………はい」
ブラフかよ。今までで1番ガチじゃん。目が完全に勝負師の目になってるよ。
だが、迎え撃つのはキモオタ世界代表、猛笑だ。
こいつはゲームだけじゃなしに、二次元に関する事は基本手加減、妥協は一切無い。
それに戦った感触としては猛の方が1枚ほど上手と見た。まぁ安パイだな。
『KO!!ユー、ルーズ!コンティニュー?』
「う、嘘だろ………」
「お、おい、猛、手加減してた?」
「い、いや、全く、全然」
「それじゃ、約束通り2人きりでアキバデートだから。金曜の放課後だから」
こいつ鬼かよ……。ゲーム上級者の猛が二戦連続パーフェクトで負けたんだが。
「真子強ぇだろ。世界大会に出る手前まで行ったからな」
「それ先に言ってくんね?」
「立花君、返事は?」
「放課後じゃなくてゴールデンウィークでいいだろ。行きたいとこ周れねぇしイベントもやるんだろ?」
「い、いいの?」
「何がよくねぇんだよ。結局行くんだろ?」
「………ふ、ふひひ、春君とデート……2人きり…ふひっ、ラブラブデート……」
………………早まったな。
「春、家には帰らないの?秋さん心配してなかった?」
「あ?ゴールデンウィーク中家に泊まるってよ。だから帰らん」
「タチバナクン、ダレ?」
「気持ち悪りぃからやめろ、母さんだよ。お前も家来い。会いたいって言ってたから」
「は、ははは、は?」
何バグってんだよ。どっから疑問系が出てくんだよ。
「ま、真子ちゃん、チャンスだよっ」
「ここで立花の浮気癖をバラしちまえば流れを持っていけるぞ!」
「うーん、どうかなー。秋さん、春の事溺愛してるから逆に今嫌われてるかもよ?」
「え?……………え?」
「そこは会ってからのお楽しみ。とりあえず移動すっぞ。かーなーり目立ってる」
津田氏の異常なゲームテクを見て集まった観客が周り囲んでんだよな。話してる内容めっちゃ恥ずかしいからな。
一度ゲーセンから出て、近場のファミレスに入って腹ごしらえをする事に。
女子はスイーツで野郎はガッツリ飯。
「ところで足立さんは?今日は一緒じゃないの?」
「美優は休みの日じゃないと遊べないんだよ。あいつ、下の兄弟の面倒見てるからさ」
「へー、そうなんだ。俺も下に兄弟いるけど面倒見たりとかは無いなー」
「小山君弟さんがいたんだね。弟さんも小山君みたいにカッコいいのかな?」
「ところがどっこい。顔は美形だが、猛とは方向性が違うんだなー」
「どんなんだよ。写メとかねぇの?」
「あるよ。うーんと、これ」
猛がケータイのフォルダから俺含めて3人で撮った写メを皆に向けて見せた。多分去年のやつだな。
「…………ち、ちっちゃい」
「なんか、小山君より立花君に似てるような…」
「………………か、かわいい」
「え?」
「なんでもない。殺すぞ」
何も言ってないんですがね。これはおもしろい。
「名前は覚えてるか知らんけど正志っていうんだよ。ちっちゃいのは今も変わらないから本人に言うとキレるからな」
「昔から俺じゃなくて春にすごく懐いてたんだよね。おかげで口がスゴく悪いんだ」
「ミニチュア春君、……………良い」
「だ、ダメだ!この子をこんな最低のクズみたいにしちゃ!」
「あ、悠真ちゃん、落ち着いて、ね?」
何を思ったか、急に猛のケータイをむしり取り、自分のぺぺぺったんこくらいの胸板に押し付けて荒れ始めた。顔真っ赤。
「あれれー?ユーマちゃん、もしかしてー」
「な、なな、なんだよ」
「ショタコン?」
「ちが、…………う」
反論弱ぇー。そして恥ずかしがってる表情、グッド。
「そんなユーマちゃんにとあるミッションを与えたいと思います」
「浮気」
「全然違うから。ユーマちゃんがそこまでマサの事を考えているなら、是非任せたいことがあってな」
なんでも俺がセクハラすると思うな。デカイ恩を売れそうな時だってヤル気出すっつの。
「春、何するんだよ」
「内容は簡単。ユーマちゃんに、マサの面倒を見てもらおうと思ってな」
「な、何!?どう言う事だよ!詳しく!」
く、食いつきすげぇな。目が怖い。
「それって、来年朝凪に入るって言ってる事に関係ある?」
「は、早いんだね。まだ学校始まったばっかりなのに」
「サッキーはそう思うかも知れないけど、俺たちにとってはギリギリのラインなんだよ」
「正志は春に憧れて悪さばっかりしてるんだ。授業は居眠りばっかりだし、女の子には悪態ばっかりだし、友達も作らないし」
「春君もそんな感じだったの?」
「もっと酷かったよ。市内で知らない人はいないくらい怖がられてたよ」
「た、立花君何したの?また卑猥な事?」
「オッパイ狩りしてた」
「春君胸よりお尻好きだよね?なん「そんで!ユーマちゃんにお願いしたいのは!」ふへへへ」
その顔やめろ!2人もだからな!猛はパンチ。
「正志の勉強とか生活習慣の改善担当大臣、みたいな感じかな」
「え?でも、弟さんは千葉の学校なんだよね?どうするの?」
「そこは考え中。今のとこ電話とかチャットとかやってもらって、長期休暇に集中特訓的な感じにしようと思ってた」
「元々春がやる予定だったんだ。だから機材とかは準備出来てるから、出来ればお願いしたいかな。春全然やる気無いから」
「え、いや、でも、わ、私面識無いし、それに迷惑とか思われそうだし」
こいつメンドくせぇ。何乙女になっとんねん。
「そこで、ユーマちゃんには、ある設定を付けます。嫌ならそこで終了だけど」
「へ?な、なんだよ」
「ユーマちゃんは俺の大切な友達って設定「断る」えー?いいのかなー?」
「………なんでだよ」
「マサは、俺の友達は自分にとって兄貴より大切な人間だと思ってるところがある。俺の母さんにもめっちゃ懐いてるし」
「つ、つまり、お前の友達の振りをすれば」
「マサはユーマちゃんが大好きになります」
「な、なんだって!?」
「ゆ、悠真、声大っきいよ」
「悠真ちゃん、落ち着いて、深呼吸、深呼吸」
はいチェック。もう詰みは目の前だな。
「マサはユーマちゃんと初めて話す時、こう言うだろう。初めまして!ユーマさんですね?俺、ユーマさん大好き!ってな」
「乗った」
「え、えー」
「春君、本当に?」
「まず間違い無い。全て任せておけ」
後でそう言えって言っときゃいいだけだからな。
まぁバレたら命の保証が無いだろうが。
「それじゃあ後で色々話し合おうね。ゴールデンウィークに正志がこっちに来るから、その時に一回会っ「行きます!」う、うん、お願い」
圧がすごい。そんなに少年好きなのか。引くな。
「ところでサッキーはどんなんが好きなのさ」
「んぇ!?え、えと、その、あの」
「は、春!いきなり何言ってんだよ!」
「いや、俺ワンチャンあるかなーって」
「浮気」
「デート1日延長で」
「なん………だと………」
「どっちに驚いてんの?」
「ひ、否定しない方、じゃない方」
わかりにくいんだよ。お前には喜びを表現するシーンが思い出せないのか。
「確かに、咲は今まで浮いた話無かったもんな」
「ユーマちゃん戻ってきたか」
「ああ。これから1年、忙しくなるからな。気合い入れないとな」
「お、おう」
まだおいしくいただけるって決まったわけじゃないよ?って言っときたいけど怖いからやめとく。
目がイッてるんですもの。
「わ、私は、たまたま機会が、そ、それより、小山君はどうかな!?」
「え!?お、俺は、その、たまたま機会が、無くて」
「猛は女の子見るとオッキが止まらない病だからな」
「勝手に変な病気にすんな!」
「あぁ、Hカップ以上じゃないと女の子として見れないんだっけ」
「違うよ!そんなに胸ばっかり見てないよ!」
「あ?んじゃ、処女じゃないとたたないんだっけか」
「俺にそんな趣味無いから!それ全部春だろ!」
「え?春君お尻の方が「俺は美優ちゃんのオッパイが好きなんだ」へー、ふーん、そーですか」
真子ちゃんには後でベロチューの刑です。
「そんじゃ、サッキーはどんなのが好きなのさ」
「え、えと、その、や、優しい人……かな」
「俺、初めては優しくするけど」
「立花君はお友達として好きですよ?」
「あ、はい。んじゃ猛は?」
「は、春!」
「え!?え、えと、えと、あの、あの」
「ふむ、あ、俺真子とデートの用事だったー」
「うん、なので、私達はこれで。また明日ね」
「え!?真子ちゃん!?」
「私も帰って正志君の為の準備してくるな。後で連絡するな?んじゃ」
「え!?ひ、平野さんも!?」
後は若いお二人でごゆっくり。
ゴム持ってるかな?ラインしといてやろ。




