Epilogue
以上が、この物語の顛末である。
読者諸氏にはお分かりだと思うが、私こそがこの物語の登場人物、ココ・レオーネだった人格である。今はアポロンとして、過去の歴史を後世に正確に語り継ぐために働いている。読者諸氏が歴史を知りたければ、忌憚なく私に尋ねて欲しい。
さて、この物語はひとまずここで終わりとなるが、彼らの歴史はまだまだ続いていく。
詳しい歴史は、また別の物語で語ることにして、ここにはその一部を後日譚として語るに留めよう。
ライムシティ騒乱の後、新議長にはソニア・スウィフトが選出された。彼女はミューズの改革に尽力することになる。
その改革の一つが、議長親衛隊の創設である。隊長にはブレット・ホーキンスが任命された。この親衛隊には、藤田、藤堂、朝倉といったアシビのメンバーも取り込まれることになった。
同時にスウィフト新議長は絶対中立宣言を行った。これによりミューズの治安が大きく改善に向かうことになる。
また日本展示地区を始めとした、失われた国家の展示地区が新設されることも決定した。絶対中立宣言を行ったことで、展示の内容について政治的な影響が排除され、公正な展示内容の評価・決定が行われるようになった。
こうした新議長の辣腕ぶりから、新議長を「地下街の魔女」と呼ぶミューズ議員たちもいたと言われている。
なお、これらの改革の裏にはスウィフト議長を秘書として支える実の姉の存在があることも忘れてはならない。
かつてユニオン軍に所属していたリリィ・ノイマン少佐は、学芸員の資格を得て、第三学芸課の課長に任命された。第三学芸課には、ジム・ブラウン、ペトラ・ヨハンソン、アデルらも配属された。
一方、ハル・ウォードンについては行方が分かっていない。
さて、こうして第十七学芸課の面々は、すっかり散り散りになってしまった。
だがしかし、新議長の取り計らいもあって、第十七学芸課の存在は残ることになった。そのメンバーは、誰あろう私である。
ミューズの見学者に対して歴史を語ることが、私の第十七学芸課としての仕事である。学芸員としての矜持が必要ということなのだろう。
それにいつでも見学者の要望に答えることが可能である。
第十七学芸課は眠らないのでね。
2018/3/25 初稿