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Episode 7: 2818年3月 ハルと修羅

ページ下部に読者アンケートを掲載しました。完結後に新訳版を執筆するにあたり、読者の皆さんのご意見を聞いて反映していきます!

 世界は空っぽなものであり、空っぽなものが世界である。


 桜の花は散り、その後には姿形を残さない。


 その無常こそが桜の美しさである。


 時間から切り取られた写真の中に、桜の本当の美しさは存在しない。


 時が移ろえば、その写真の中の桜はみにくいと言われることもあるだろう。


 全ては自己組織化する因果の為せるわざである。


 時の因果の外から無常を見つめた刹那せつな、そこに真実の眼は開かれる。


 無情なる桜は、そこにある。




 黒く淀んでいたコロニーの天蓋てんがいが、徐々に明るんできた。筋になった雲が炎の色に染まる。地平線の奥は、巨大な白熱電球で照らされているかのように白く輝いている。


 それは暗い夜の幕開けというよりも、宇宙から火球が落下しているかのようだった。


 その空の中に黒い点が見えたかと思うと、その影はあっという間に大きくなってフロートカーの形になった。


 自動運転のフロートカーが、速度を落として路上にゆっくりと降りてくる。無事に着陸すると、自動的にハッチ式のドアが開いた。


 ボックスタイプの少し広めの車内には、座席が三列二組で並んでいた。そこに学芸課のココ、ジム、ハル、イオン、そしてペトラと朝倉が、疲れた様子で乗り込む。操作席のココがボタンを押すと、扉はゆっくりと閉じた。


「近くの真空列車チューブの駅でいいんだよね?」


「えぇ」


 行き先を入力するココの問いに、ペトラは一言だけ答えると、あとは窓の外を眺めていた。


 目的地を認識したフロートカーは、ロンドン展示地区の地面から浮き上がり、そして加速を始めた。




 ダンタリアンが姿を消した後、彼らはダンタリアンを追いかけることはしなかった。ハルが負傷していたし、全員の顔には疲労の色が見えていた。


 だからダンタリアンの追跡は他の人員に任せて、彼らは一旦オフィスに戻り、休息を取ることにしたのだった。


 フロートカーを待っている間に、ココはペトラと朝倉に学芸課のオフィスへ来るように誘ったのだが、やんわりと断られてしまった。彼らなりの事情があることは分かっていたから、ココも深く詮索せんさくしなかった。


 ハルは、一番後ろの座席にジムと並んで座っていた。ジムは一人、セレーネの操作に没頭している。ハルは、あっという間に通り過ぎていく外の景色を見つめることにした。


 アネモネが生きていた。しかも彼女は、過激派テロ組織に殺されたのではなく、テロリストのリーダーだった。


 この事実を頭では理解していても、ハルはまだそれを飲み込めずにいた。


 ハルは、自分の行動には責任を持ってきたはずだった。少なくとも、軽率と呼ばれるような行為はしていなかったと思う。


 アネモネを失った後は、自らの死に場所を求めて戦場を亡霊のように彷徨った。


 やがて偶然の連続により、ミューズにダンタリアンがいると聞いたハルは、迷いの末に学芸員になることを決めた。ダンタリアンを見つけ出し、アネモネのかたきを取ろうと誓ったからだ。


 アネモネの犠牲は仕方の無いことだったと割り切ることを、ハルはしなかった。むしろハルは、自らに十字架を課してきた。


 その頑固な生き方が、今、彼を苦しめていた。


 アネモネがダンタリアンであるなら、ハルがアネモネを失って以来してきたことの意味がなくなってしまうのである。


 ハルの頭の中では、その場しのぎの言い訳と自分の生き方への嫌悪感が、壮大なファンファーレを鳴らしている。


 アネモネがテロリストだったなんて知らなかったのだから仕方の無いことだ。


 そんな言い訳をつければ、この事実を無理やり飲み込んでしまうこともできるだろう。


 しかし、すぐに自身の心に問いかけることになる。なぜ気付くことができなかったのか、と。


 自己嫌悪が波のように押し寄せて、思い返したくもない過去の記憶を吐き出してしまうのは目に見えていた。それをまた押し込もうとしても、また吐き出すだろう。


 たとえそれが剣山で、のどや内蔵が血だらけになったとしても、もはやそれは止められない。ハルは自分の体がヘドロのような深い闇の中へ沈み込み、心臓が押し潰れそうになるのを感じた。さっきアンドロイドから受けた傷の痛みの方が、よっぽどマシだった。


 ハルは、窓の向こうの雲が何色であるかに意識を集中させて、他のことを考えないようにした。


 あの雲はオレンジ。


 あの雲はダークグレー。


 あの雲はピンク。


 そうしているうちに、ハルはウトウトしてきた。雲の色が目の前で渦を巻いて混じり合い、溶け合い、まるで絵の具で染まった霧の中を漂っているかのようだった。


 形のない綿のようなそれを手で触ろうとしても、煙のように消えてしまう。その手すらも霧の中へ埋まって見えなくなってしまった。


(変な夢だな)


 頭がぼんやりとしたままどのくらい時が経っただろうか。


 ふと気が付くと、目の前に広がる曖昧あいまいな映像がおぼろげに形を取り始めていた。


 それは大きな部屋のようだった。


 ハルは部屋の真ん中に立っている。


 周りを見回すと、人のような形をしたものが見えてきた。霧が少しずつ晴れていき、そこに初老の男が見えた。その顔に、ハルは見覚えがあった。


 フランシス・スウィフト。ミューズ評議会議長であり、またソニアとイオンの父でもある。


 すると議長は、何かに驚いたように立ち上がった。傍らにもう一人の影が見える。


 その影に目を凝らそうとしたが、顔ははっきりと分からない。


 しかし確かに、その影は日本刀を構えて議長へと斬りつけた。


 舞い散る椿の花びらのように血飛沫ちしぶきが上がる。


 刀を握る長髪の男は、口元に不敵な笑みを浮かべた。


 ハルには分かった。


 この男が、人を殺すことを何とも思っていないたぐいの人間だということに。


 同時にハルの背筋を寒気が襲った。


 かつての自分も、人を殺す時にはこんな顔をしていたのだろうか、と。


 すると途端に、周りの景色は遠のくように白い雲の中に消えていった。


 煙の海を漂いながら、ハルは天を仰いだ。


 ゆっくりと左眼を閉じる。


 これまでの自分は、なぜこんなことにさえ気付けなかったのだろう。


 自分の心の中に潜んでいる修羅しゅらを、ハルは初めて恐れていた。


 透視できる義眼があるというのに、自分の心さえも正しく捉えることはできていなかったのだ。


 そうしている間にも、目の前の雲は山の稜線りょうせんの形になり、次いで飛び立つかりの群れになった。


 眼下には、白い光を反射する河が悠々と流れている。


 川原の丸い小石はダイヤのように輝いている。


 きっとそれらは天に散らばる星々なのだろう。


 河は、あい色の天球を横切って天の川となった。


 世界はこんなにも広大で、自分はこんなにもちっぽけで。


 銀河の深い海の中に、溶けていってしまいそうだった。


 その時、ハルの魂を呼ぶ少女の声が聞こえた気がした。


 耳を澄ますと、かすかにその言葉が聞き取れた。


”たす……けて……。助けて……”


 声のする方角を向くと、そこにはまた白い霧が広がっていてハルを包み込む。


 白い光の中で、ハルはまた煙が形を取り始めていることに気付いていた。


 そこには誰かがいた。


 黒衣に身を包んだ人物。ハルにはそれがダンタリアンだとすぐに分かった。


 その隣には、白衣の老人が座っている。ミラー博士だ。


「ダンタリアン、手筈てはずは整った。あとは君の勇気次第だ」


「勇気なんて要らないよ、ドクター。彼女は解放されるのだから」


 ミラー博士の後ろの壁際で、スミルノフが腕を組んで立っている。


「そうでしたな。ファッファッファッ!!」


 そこで自動扉が開き、長髪の男が部下を引き連れて入ってきた。


「間に合いましたか、”復活した神の子”よ」


 小石川はダンタリアンへ向かって深々とお辞儀をした。


「ようやくこの時が来たのですね」


 感慨深げな小石川を、ダンタリアンは鼻で笑った。


「こんなことで満足するなんて情けない。これから楽しい喜劇が始まるんじゃないか。歴史が手に入れば、世界は私の操り人形になるのだから」


 一本取られた小石川は、再び深く頭を下げた。


「精進いたします」


「励めよ」


 小さく手を振って別れの挨拶あいさつをしながら、ダンタリアンはあやしげに光るベッドのような装置へと歩いていった。それは宇宙船の操縦席のようにも見えた。


 その装置から伸びる配線は、その近くにそびえ立つ巨大な漆黒の筐体きょうたいに繋がっていた。その黒い表面には、銀色の文字で、こう刻印されている。


"Apollōn"


 ここはアポロン中央制御センター。惑星ミューズに展示された偉人アンドロイドの挙動や、人や物の輸送を管理する中核である。


 ダンタリアンは黒衣を脱ぎ捨てると、先程の装置の上に乗り、サイボーグ化されたその身を委ねた。ヘッドセットが自動的に、ダンタリアンの頭部をおおった。


 ミラー博士が、手元の仮想ディスプレイを操作すると、画面に"Start initializing?"の文字が浮かんだ。


「さ、転写を始めましょう」


 老人の指が、Yesのボタンに触れた。


”助けて!!……”


 少女の声が、再びハルの脳内にこだました。


 さっきよりも大きなその声を、ハルはどこかで聞いたことがあるような気がした。


 しかしその声の主は分からないまま、目の前のイメージは再び白い霧に飲み込まれていく。


 そして体がふわりと上に浮かんでいく。


 意識が現実へと戻っていくのだと、ハルには分かった。




 目を覚ましたハルがうっすらと目を開けると、フロートカーに同乗していた全員が、ハルの方を見ていた。


「大丈夫か、ハル。うなされていたぞ?」


 ジムが心配そうにハルの顔を覗き込んでいる。


「それよりも、大変です。ダンタリアンが、アポロンを乗っ取ろうとしています」


「えっ、それはどういうこと?」


 怪訝けげんそうな顔で、ココが尋ねる。


「今、変な夢を見ていました。夢ですが夢ではなくて、変に現実味があって。そこでダンタリアンがアポロンの中央制御センターを占拠して、自分の人格をアポロンへ転写しようとしているのが見えたのです。まだ始まったばかりだから、今ならまだ阻止できるかもしれません」


「ダンタリアンにそんなこと、できるのかな?」


「協力者が何人かいるようでした」


「ハルの言っていることも、あながち嘘ではないと思うよ」


 ジムは、いつになく真剣な目つきをしていた。


「さっきのロンドン展示地区で起こったことを思い出してみなよ。ダンタリアンは、アンドロイドを兵士にするだけの技術を持っている。だとしたら次の目標は、アポロンを乗っ取ることだ。そうすればダンタリアンは最強の軍隊を手に入れることができる。それを餌にすれば、協力者を集めるのは雑作ないだろうさ」


「じゃあライムシティのアポロン中央制御センターに向かいましょう。もし間違いだったとしても、何も悪いことはないからね」


 フロートカーの目的地を変更しながら、ココはペトラと朝倉に視線を向けた。


「貴方たちは、どうする?」


 ペトラの答えは早かった。


「行くしかないでしょう、そんなことを聞いたら」


 朝倉もうなずいている。


「ちょっと待って。それなら僕は、近くの真空列車チューブの駅に置いて行ってください」


 その声はジムのものだった。不思議そうな顔のココに、ジムは微笑む。


「やっておいた方がいいことがあるのでね」


「はいはい」


 ココの指先が素早くしなやかに動き、進路方向にある駅を目的地に追加した。


 その間に、ハルはさりげなくイオンを見遣みやった。彼女は緊張に口をつぐんだまま、急展開する現実についていこうと、必死に頭を働かせているようだった。


 先程見えた、イオンの父親が襲われたイメージのことを、ハルは言わないでおいた。このイメージが事実か分からないし、生死がも定かではない。伝えたところで彼女の心を乱すだけだ、とハルは判断した。


 窓の外の太陽で白む青空へと視線を移す。すでにフロートカーは、近くの駅へ向かって下降を始めていた。


 ジムはセレーネの画面を閉じながら呟く。


「嫌な予感しかしないな。セレーネを介した通信が、ライムシティでは断絶してる」


「じゃあハルの見た夢は……」


 ジムは着陸したフロートカーから降りながら 表情をくもらせたイオンの額を指で弾いた。


「君も学芸課にいるなら覚えておきなよ。『歴史を動かすのは偉人ではなく、いつもただの凡人なのである』」


「誰の言葉?」


「僕だよ……と言いたいところだけど、ここはエドワード・ローレンツに譲っておくことにしよう」


「エドワード・ローレンツ?……って誰?」


 眉間みけんにしわを寄せたイオンの表情を見て、ジムは無邪気に笑う。フロートカーのハッチ式のドアが閉じる間際に、ジムは答えを教えてやった。


「バタフライ効果だよ」


 ドアロックがかかるとともに再浮上するフロートーカーの中で、手を振って見送るジムを見下ろしながら、イオンは悪態をついた。


「ちくしょー、バタフライ効果ってなんぞー!」


 やりきれずに騒ぐイオンを、ココがなだめた。


「まぁまぁ、落ち着いて。バタフライ効果っていうのは、一羽のちょうの羽ばたきで起きた風が、遠く離れた場所の嵐を起こすような現象のことだよ」


「そんなのありえないじゃん」


「確かに確率は低いけどね。でもこれから私たちがやろうとしていることは、言ってみれば嵐を起こすようなものなのさ。私たちには蝶の羽ばたきみたいなことしかできないかもしれないけど、もしかしたら奇跡が起こせるかもしれない。あいつはそう言いたかったんじゃないかな?」


「……アイツがそんな高尚なことを?」


 イオンとココは目を見合わせた。


「さぁ、どうだろう。ただのでまかせだったかもね」


 緊張感の漂っていた車内は、一気に笑いに包まれた。最後の決戦の地へと向かいながら。




 ライムシティにそびえ立つ摩天楼群。その一つの屋上に、アデルとノトロブがたたずんでいる。


 地上では、ミラー博士の技術によって乗っ取られたアンドロイド達が、破壊の限りを尽くしていた。逃げ惑う市民が、容赦なく襲われていく。


 それをアデルは、無言で見つめている。


「あのウサギ君はやってくると思うかね、アデル」


 ノトロブの問いかけに、アデルは空を仰ぎながら答えた。


「来るわ、必ず」


「そうだな、アデルの計算に狂いはない。来てくれなければ、面白くないからな」


 喜びを噛みしめるように、ノトロブの口角が上がった。




 銃声の鳴り響くオフィス街に、ハル達は降り立っていた。ライムシティに辿り着いた彼らを待ち受けていたのは、武装した大量のアンドロイドだった。


 ハルが先頭に立って他の四人を先導した。花壇や壁を盾にして銃弾の雨を避けながら、アポロン中央制御センターへと近付いていった。


 後方の守りはペトラと朝倉が務めていた。ココとイオンは銃の扱いに慣れていないため、戦力としては心許こころもとなかった。


 ペトラと朝倉は、安全な物陰にちょうど二人きりになったところで一息ついた。


「これ、守りきれる? アデルは楽勝だ、とか言ってたけどさ」


「どうでしょう。運次第ってところですかね」


「ていうか、本当にアデルの予言通りになると思う?」


「ダンタリアンを倒すには、アポロンへ人格が転写された後にハルが倒すしかない。アデルはそう断言していましたが、どうなることやら。ここに来て、怖気おじけづきました?」


「そういう訳じゃないけどさ。ハルは怪我してるんだよ? いくらハルでも、立て続けに戦闘だなんて正気じゃないでしょ」


「そう思うなら、ハルがダンタリアンを倒すようにサポートするしかないですよ」


 朝倉は冷静に照準を合わせて引き金を引いた。朝倉のハンドガンから放たれた銃弾は、暴走するアンドロイドの頭部に命中した。


「でも不思議ですよね」


「何が?」


「あの中央制御センターにあるアポロンマシンは、アデルの抜け殻。今はアポロンの機能をアデルが管理していて、そのことは公にされていないから、ダンタリアンをおびき寄せる罠として利用する。そこまでは分かるんです」


「何か問題が?」


「中央制御センターにあるアポロンマシンがダミーである、ということをハルたちに知らせるな、とアデルが言っていたことが気になっていて」


「重要機密だからじゃないの?」


「でも……」


 射程内に入ってきたアンドロイドへ銃弾を御見舞してから、朝倉は言葉を続けた。


「ミューズの制御に関係ないんだったら、その”ただのコンピュータ”へダンタリアンの人格を転写させた時点で、ハルが壊さずともこちらの勝ちだと思うんですけどね」


「……確かに」


 やって来るアンドロイドが見当たらなくなったところで、二人は急いで次の物陰へと走っていった。


(この事件、何か裏がある……)


 ペトラはそう確信した。

お読み頂きありがとうございました。


いよいよ最終決戦へ向けて話が動いてきましたね。


今回は、タイトルを「ハルと修羅」としましたが、これは言わずもがな宮沢賢治の「春と修羅」から頂戴したものです。


ストーリーが上手く合致していて、タイトルまでピッタリだったので神がかってますね。


ちなみに今回のアバン(冒頭部分)も「春と修羅」の序を意識しています。


仏教思想、特に「空」の概念を、私なりに噛み砕いてアレンジを加えてみました。


個人的に、「空」の概念は歴史との関連性があるように感じています。


EHカーの「歴史とは何か」の中に、「歴史は主観によって語られる」というような文章がありました。


「空」の概念では、全てのものは存在する「物質」というよりも、桜の花のように咲いては散るような「現象」として捉えられています。そうした性質は「無常」という言葉で表現される訳です。


ものごとの本質は無常であっても、時が変われば時代によって価値観が違い、主観が変わるので、解釈もまた変わってしまう。


そういうことを宮沢賢治も「春と修羅」の序で語っています。


「空」という概念は、般若心経でも「色即是空 空即是色」つまり「形あるものは無であり、無であるものは形あるものである」と表現されていますが、これは科学でいうところの自己組織化に近いと私は考えています。


自己組織化とは、物質同士の関連性によってパターン的な構造が作られる現象のことです。味噌汁を放置しておくと、対流によって色の濃い柱のような構造ができてくるのもこれです。


あれは味噌汁の中に柱の構造が記憶されている訳ではなく、物質と物質の関係性によって生まれてくる構造なのです。


関係性は目に見えない無、つまり「空」でありながら、現実世界にパターンを生み出します。


それは人と人とのつながりがダイナミックな歴史を作り出すことに似ていると思うのです。


今回出てきた「バタフライ効果」も、それに近い概念ですね。




「ミューズ・クロニクル」を書き始める時にはこのような概念には辿り着いていませんでした。


でも書くことで何か答えが得られるのではないかと予想はしていました。


そして実際にそれらしい答えを見つけつつあるので、この小説を書いて良かったなと純粋に感じています。


読者の皆様にも、読んでみたら楽しかったし勉強にもなった、と思って頂けるように頑張ります。


さて、次回は「風花(仮題)」。1/28更新です。お楽しみに。


それでは。


葦沢


2018/01/14 初稿

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