エピローグ(第4.5話)
若干の鬱展開と話の急展開です。
―――――翌日。
何時も通り目を覚ました俺は―ってあれ?
身体が何時もより重い…
「うー…;」
「むにゅ…ゆぅち~ん…
「…あっ、そっか。」
瑠璃が泊まりに来てたんだった。
その瑠璃は、俺の上で幸せそうに寝息をたてている。
「…そっちは…だめだぁ~…
「っ!?」
瑠璃が苦しそうな顔に…!?;
「オイ!!瑠璃!?」
「だめぇぇぇっ!?
そっちは落ちちゃうよぉぉぉっ!!」
俺が語気を強めて呼び掛けると、瑠璃は叫びながら勢いよく起き上がる。
俺は暴れる瑠璃を抱きしめて押さえ付けた!!
「それは夢だ!落ち着け!!」
「あたしなんかの代わ―…あれ…悠…希…?」
「おい…大丈夫かよ…?;」
「…悠希、あんた、生きてるよね…?
階段から…落ちてないよね…?」
「は?何寝惚けてんだよ…?;」
「…よかったぁぁぁぁ~…!」
目が覚めた(?)瑠璃は俺に抱きついて感触を確かめる様にペタペタと色々触ってくる…
が、興奮する要素がない。
何せ瑠璃は死にそうな表情で『大丈夫だよね』…『こっちが、現実』…『あたしはあたしだから』とか呟いてるし…本当に、どんな夢を見ていたんだか…
しばらくして、何時もの調子が戻ってきたのかにこにこしていた。
「わ~るいねぇ~…何か~ゆぅちんが~あたしを~庇って~死ぬ夢を~見ちまったからさ~…
「ふぅん…まぁ本当に何かあったら瑠璃だけは絶対に――
「ゆぅちんも一緒に生き残らなきゃダメ。」
「…まるで、俺かお前が死ぬのが前提みたいな物言いだな。」
「…。」
「分かった分かった。
無表情になんな…;
お前を残して死なねーよ…;」
「・・・んっ。」
何か、瑠璃の中ではこの先死に別れる事になってねーか!?;
ったく…夢位で大袈裟な…;
とにかく、お互いに着替える為に瑠璃は昨日着ていた服を持って自分の部屋に戻っていった。
勿論、外泊許可証はあるから堂々と。
さて、俺も着替えて準備しよう。
身支度が終わってしばらく待っていたら―
「キャァァァァッ!!」
「瑠璃の悲鳴!?」
部屋を飛び出した俺は声のした方へ走った!!
すると―
「放せ~!!#」
「ユゥゥゥゴォォォッ!!#」
「ハッ。」
「グガッ!?」
クズ野郎が性懲りもなく瑠璃を拐おうとしていやがった…
だが、殴りかかった俺は勇悟に腹を蹴り飛ばされ、あっさり返り討ちにあう…
「来んのが分かってりゃあテメェみたいなガリ勉何か怖かねぇんだよ、サブキャラのクセにでしゃばるなザーコ。」
「ゲホッゲホッ…瑠璃を…どうする…つもガッ!?」
いきなりの事に咳き込みながら睨むも、今度は胸を蹴られる…一気に肺の中の空気が無くなり、視界が霞んできた…
俺を見る勇悟は、心底鬱陶しそうな顔だ。
「『瑠璃』だぁ~?
テメェ…“俺の彼女”を気安く下の名前で呼ぶんじゃねー
カシャ
「っ!?」
「…勇悟、お前は何をしているんだ。」
「なっ!?立花!?何でお前がー
「…お前は、悠希に何をしているんだ。
何故、お前が悠希の恋人である青井を抱き寄せているんだ。」
「っ!し、シド〜!ゆぅちんが!ゆぅちんがぁぁぁ……!!」
「落ち着け青井、今緑川が保険医を呼びに行ってくれているはずだ。」
「……う…ゲホッ……リッ………カ…………?」
朦朧とする意識の中、立花の落ち着いた声を最後に俺は意識を手放したーーー
「―瑠璃ッ!?つぅ…;
ここ…は…?」
「…気付いたぁ?」
「…瑠璃…?」
「…んっ?なぁにゆぅちん。」
「…誰だ…お前。」
「………えっ。
瑠璃、だ、よ…?
…まさか…彼女の顔…忘れたの…?」
「…あ、いや、うん、すまん。
悪ぃ………冗談だ……定番だろ?」
「………いや、確かにそ〜かもだけどさぁ………たちの悪ぃじょ〜だんはやめてくれねぇ〜かぁ~?」
あぁ…そうだよ、俺は、クズ野郎にボコボコにされたんだな…
だから心配そうな瑠璃を茶化してみたんだが失敗だったな………
「悠希が目を覚まさないから、あたし、悠希に沢山、沢山キスした。」
あぁ、それで俺の口はベタベタなのか…
瑠璃は小さく頬を膨らませて不満を顕にしている。
だから俺は、瑠璃をだきしめ―
「痛っう…;」
「あ、無理はダメぇ〜。今は、良いからぁ。」
―られなかった。
クソっ…強く蹴られた胸が痛い…な………
「わりぃ…カッコ悪いな…俺は…
「…仕方無いよぉ。基本スペックの方向性の違いがあるしぃ〜?」
「…まぁ、確かに勇悟の奴は“スポーツだけは万能”だからな…;」
その分知略で劣るんだけどな。
「あれ…?
なら瑠璃はどうやって助かったんだ?」
「…"偶然"、シド〜が来て助けてくれた〜。
そして、保険医の先生を呼んでくれた〜。
今居るのは、保健室ぅ。」
「あぁ…そう言えば立花の声が聞こえたな……」
「…ごめん、ね…?」
「まぁ…お前が無事で良かった…
「ゆぅちんが無事じゃないじゃん!」
「…良いんだよ、ホラ、俺は死んじゃいない。」
「…ゆぅちん…。」
あぁ、俺はダメな奴だな………
こんな時に恋人を笑顔にすることすら出来やしねぇ………
「心配かけてすまん……
「……うん。でも、ゆぅちんが居なくならなくて本当に良かった………良かった…………
「瑠璃……
「んっ…ゆぅちん……?」
俺は、瑠璃の頬に軽くキスをした。
「今はこれで許してくれないか?」
「…ん~ふ~ふ~♪許す〜♪ゆぅちんらぶぅ〜♡」
「ははっ…」
本当にごめんな、瑠璃………
因みに勇悟は『主人公チート』でお咎め無しです。
本当にご都合主義ですね。