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昏冥の空に青い鳥  作者: 音無 なの
第1部 第1章『色付く世界』
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プロローグの〈〈瑠璃視点〉〉

さぁ!!

ギャルゲー、乙女ゲーが始まる2年生になりましたよ!!

全寮制系の学園モノでたまに見る『お引っ越し』を済ませたあたしは、原作だと悠希(あれからあたしも呼び捨てする仲になりました♪)が居た男子寮長室へ向かう。


まずは春菜姉さんに許可を貰わないとね♪


ってあれは…うげ…赤坂勇悟…;


小さい身体を活かして素早く隠れたあたしは、物陰からクズを観察する。

どうやら、原作通り美夏(※こちらも呼び捨てで呼び合う仲になりました)の手伝いに来たみたいね。

確かこの後は…



「きゃーっ!?」


「すみませーん!?///」


(おー…原作通りモブ男子Aが着替え中の部屋に突撃した。)


「きゃっ!?何すんのよ!?」


「わりぃ手が滑ったwww」


(モブ男子B、どさくさに紛れてお尻を触る。

んじゃ次は…)


「こらっ!!#

男子は邪魔をしに来たのかしら!?#

赤坂!!寮長なら管理をしっかりなさいっ!!#」


(春菜姉さん登場~か~ら~の~?)


「あっ、先輩!!;

すみませ―うおっ!?」


「きゃっ!?

・・・あ~か~さ~か~?#」


「Σうぇっ!?じじっ!!事故ですよ 事 故 !!;」


(とか言いつつだらしない顔ね…クズめ…。)


「問答無用よ!!」


「ぶふっ!?」


「www」

(ぷっw殴られてやんのwwざまぁwww

早く悠希に知らせよう♪)



うーん…あたしも性格変わってきたかな…?

さて、あたしは基本的に特待生として相応しい行動しかしてないし、堂々と春菜姉さんに許可もらおう。



「春菜姉さん。」


「大体貴方はね―あら、瑠璃じゃない。」


「えっ!?瑠璃!?」



あたしの登場に反応するクズ。

あたしはもう悠希の彼女だってのにまだ諦めてないの?

と言うかコイツ、頭の中では絶対にあたしと悠希が恋仲なのを無かった事にしてるわね…しかも今、あたしを名前で呼んだ!?

まさかこいつ…妄想の中であたしを…?

気持ち悪い…無視しよう…。



「悠希に、あたし特製のお茶飲ませに行きたいから、許可頂戴。」


「良いわよ、私の部屋にある名簿に名前と目的を書いてからなら。

まぁ、貴方なら変な事はしないでしょうけど、一応規則だから。」


「ありがとう、姉さん。」


「あっ、青井さん!!お茶にするなら俺も――


「貴方はここで私の話を聞きなさい!」


「それより青井さんが悠希の奴にイヤらしい事をされ―――


「あ・か・さ・か ?#

特待生でそれに相応しい優等生っぷりを見せるあの黒崎が、貴方みたいな下劣な事をする訳無いでしょう!!#

話を逸らそうとしないの!!#」


「ハイ、スミマセン。」




そーだそーだ!!

あんたなんかと違って悠希は優しいんだぞー!!#


全く…早く悠希に会いに行こう!!

今の時間だと…きっと悠希は苦しんでるはず…

彼女になった『瑠璃(あたし)』が悠希を癒さないと♪


寮長室の扉を開けると、予想通り悠希が無表情で漫画を読んでいた!

うんうん♪あたしのお茶飲ませて~リラックスっ♪



「…お~、予想通りここに居たぁ~。」


「って瑠璃!?何で居るんだよ!?」


あたしが話しかけると、ビックリしながらも嬉しそうな表情(かお)になる悠希。

良かった…ギャルゲーが始まっても、あたしはちゃんと、悠希の彼女、なんだよね?



「何でって言われてもねぇ~…あたしがあんたの隣に居たいから…としか~。」



これは本心。

あたし自身も大好きな悠希の側に居たい!!

悠希はそんなあたしに微笑みかけてくれる…///



「そっか…まぁ折角来たんだから座れよ。」


「じゃ~遠慮なくぅ~♪」



読んでいた漫画を置いて腕を広げた悠希の膝の上に座ると、あたしをぎゅっと抱きしめてくれる。

だけど…彼を見上げると予想通りクズに苦しめられている顔をしている…



「ん~?

折角あたしが来たってのに~ゆぅちん顔が恐いぜ~?

もっとりら~っくすしな~!

ほぃ、あたしとくせ~の茶でも飲め~!」


「…すまん。ありがとう。」



あたしが淹れてきた特製ブレンドの紅茶を飲んだ悠希が表情を和らげた所で、何とか笑わせる為に話を振る。



「そ~そ~さっき~あかちんが女子寮にきてたじぇ~?」


「知ってる。

(お前からその話をふるって事は)何かおもしれー事でもあったか?」


「男子のボーソーでてんやわんや~。」


「ホゥ…?暴走。」


「意気込んだ男子が~女子の部屋に~突撃~。」


「あぁうん、大体その後の展開が読めるわ。

桜庭先輩コースだろ。」


「ん~ざっつら~い♪

さくらんに~取り押さえられて~奴も~一緒におせっきょ~♪」


「「勇悟ざまぁ~♪」」



うんうん♪

クズが酷い目(自業自得)に遭う話の時は良い笑顔するわよね本当に!

っと…気持ち悪い気配が…予想より大分早い…まさか、チート使った?

本当にクズは…あたしの事になると見境なしね、気持ち悪い…!#



「悪いねぇ~ゆぅちん、めんどーな事になる前にあたしゃ一旦退くなぁ~?」


「おう。」



廊下でばったり遭遇、何て最悪な事故を防ぐ為にあたしは窓から出て悠希の部屋へ向かう事にした。

…仮にも優等生で通ってるあたしのこんな姿は、誰にも見付からない様にしないとね…。


隠密行動していたら少しばかり時間がかかってしまった…でも悠希の部屋に辿り着いた♪

えっ?何で場所が分かるんだって?

廊下で部屋割り見てから寮長室に来たからだよ?


悠希の部屋は2階?

いやぁ~そこはホラ、“あたしの身体”って身軽だからさぁ~♪


…まぁ、前世は根暗だったと言っても、瑠璃が元々やんちゃな所があったし…で、今の“あたし”も無口と根暗が共振して消え去って、ひょうきん者で何気にやんちゃな性格、だからねぇ…。

悠希達と一緒にはっちゃけられる位に。


そう言えば、今更だけど服装の説明をしてなかったわね!


男子はトップの冬服が緑色のブレザーに赤いネクタイ、夏服はワイシャツに赤いネクタイ、ボトムスは灰色のズボン


女子はトップの冬服が灰色のブレザーに赤いリボンタイ、夏服はワイシャツに赤いリボンタイ、ボトムスは緑色でギンガムチェック柄のスカート(ミニ~ロングまで好きな長さを選べる、あたしは膝丈の物)


靴は革靴、靴下は派手でなければ割りとなんでもOKらしいわ。


女子は上からカーディガン等を羽織るのも認められている。

(学園からベージュ色のカーディガンが支給されるけど、派手でなければ他の色も可。)


その他アクセサリーも派手でなければ割りとなんでもOK。

※派手にならなければ指輪、腕輪、ネックレス、チョーカーも可


まぁ、逆に公式許可があると案外誰もアクセサリーを着けなかったりするんだよね~…

あたしは原作よろしく首にチョーカー(雫形の青い飾り石付き、悠希がクリスマスプレゼントにくれた)を着けて白衣着てるけど、たまに伊達眼鏡も。


悠希もお揃いのチョーカーを着けている。


これでも許容範囲内なんだから服装に関しては結構自由な学園だわ。



「邪魔するぜ~ぃ。」


「おう、さっきぶりだな瑠璃。」


「んふふ~そ~だにゃ~。」


「お前もやるか?」


「お~?藍色の欠片ねぇ~やるやるぅ~♪」




おぅ…悠希も2階の窓から入って来たのにツッコミ無しだねぇ…あたしに慣れてきた?

しばらくゲームをして遊んだ…けど、お腹すいてきた…



「瑠璃。」


「ん~?どしたぁ~?」


「昼飯食いに食堂にでも行くか?」


「さんせぇ~。」



ゲームをやめたあたし達は、食堂に来たんだけど…

うわぁ…クズが居る…;

美夏を置いて居なくなってよ…

あたしは視線で悠希に語りかける



[どうする?悠希。]


[正直面倒だが…見つかった時の方が面倒だな…]


[なら、突撃確認する?]


[だな、面倒だからお前も対勇悟人格にしとけ。]


[…んっ。言われなくてもそうする。]


[切り換えはえーなオイ。]

「んじゃ…行きますか…



顔に笑顔を張り付けた悠希がクズと美夏ちゃんに突撃する。



「よぉバカップル~!調子はどうよー!?」


「悠希に青井さん…まぁ…いつも通りだよ。」


「こんにちわ、黒崎さん、瑠璃ちゃん♪」


「…んっ。こんにちわ。」


「なんだなんだ~!?テンション低いぞ勇悟!

あれか?また桜庭先輩に絞られたか!!」


「ああ…俺は完全にとばっちりだけどな…


「そりゃご愁傷さまwww



なーにがとばっちりよ。

完全に知っててやったでしょこの変態。



「勇くん、いきなり先輩の胸に飛び込んだら怒られるのは当然ですよ。」


「ははっwwwまたかよ~!

そうやって乳揉むの好きだなお前ってwww」


「…えっち。」

(つーかチートで逃げんな卑怯者。)


「~っ///

不可抗力だッ!!///

あれは他の奴が―


「人のせいにしちゃだめですよ。」


(良いぞ美夏!!もっとやっちゃえ!!)


「うぅぅ…



悠希が、そんな二人の会話を尻目にあたしに視線を向けてきた。




[相変わらずのラッキースケベかよ。

瑠璃にやったらマジで殴ってやる。]


[…大丈夫よ。

その時は催涙スプレーかけるからさ。]


[例のアレか…?]


[そうよー。

因みに悠希になら、あたしは押し倒されたいな♪]


[そいつは嬉しいな。

とりあえず巻き込まれる前に離脱だ。]


[了解!]



アイコンタクト終了。



「じゃあまぁごゆっくり~!」


「えっ…?なんなら悠希達も一緒に食わないか?」


「やだ。悠希と、二人が良い。」



うわやだ、サブイボが…

気持ち悪い…

そんなあたしに気付いた美夏が追撃してくれた♪



「そうですよ、お二人の邪魔はしちゃだめですよ?」


「うっ…うぅ…;」



ありがと美夏♪

さりげなくウィンクしてきた美夏に口パクで“ありがと”と言ったあたしは、悠希と一緒にカウンターへ向かって注文を済ませて、二人から離れた席に着いた。


…ん、悠希。

クズ達の方を見てため息ついてる…



「ハァ、アイツってやっぱり主人公なんだよな…。」


「そ~だにゃ~。

それよりさ~きょ~はこの後ど~するぅ~?」



ため息つく位ならクズ何かより、あたしの事見れば良いのに…

難儀な性分よね、あんたも。



「んー…何も、薬の材料買いにいくならついてくけど?」


「じゃ~よろしくぅ~。

んふふ~楽しみだにゃ~♪」


「・・・・・何か、ギャルゲーのイベントみたいだよな、これ。

街に行ったら勇悟達に出会ったりしねぇだろうな…?」




…悠希ってギャルゲー知識があるだけで現地人なはずよね…?;

仮に転生者だとしたら、もう少し性格が違うはずだし…

まぁとりあえず―



「んふふ~♪そんなにあたしが心配か~?

そんだけ想われて~あたしゃ幸せもんだ~ねぇ~♪

ほぃ、精神安定の薬~♪」


「…俺は精神病患者か?;」


「んふふ~今のゆぅちんは~そのと~りだにゃ~♪

ほれほれ~遠慮せず飲め~!」


「いや、遠慮とかじゃねぇし…でもありがとな。」

(…瑠璃のこのテンションとか気遣いは本当に助かってるけどな。)


「ん~ふ~ふ~♪

あたしは~ゆぅちんの~彼女(パートナー)ですから~♪」



一緒に、クズがでかい顔してるこのクソゲーを変えていこうね、悠希!!






次回からは本編に戻る予定です!!

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