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昏冥の空に青い鳥  作者: 音無 なの
第1部 第1章『色付く世界』
6/48

プロローグに至るまで 後編〈〈瑠璃視点〉〉

後編です。

――――――あたしが悠希くんと恋人になってから数日が経って、文化祭当日がやってきた!!

前世では文化祭にろくな思い出も無かったし、ある意味これが初文化祭!!

ウェイトレスを頑張って…悠希くんと出し物巡りをして…皆…全力で楽しもう…!

なんと言っても、ずっと彼女になりたかった悠希くんと、やっと恋人同士になれたんだから!!

その悠希くんもウェイターの格好をしている…凄くいいっ♪原作では物語開始前の出来事だから、悠希くんのウェイター姿のスチル何て無かったしね♪



「似合ってるよ!悠希くん♪」


「おう、瑠璃もウェイトレス姿、可愛いぞ。

…誘拐されないか心配だ…;」


「あたしはのハートは、既にあんたに盗まれちゃってるけどねーっ!」


「ばっ!!///

お前…そんな恥ずかしい事、よく言えるな…///」


「あははっ♪

さぁ!!がんばろー!!」



結果を言えば大成功!!

メインの紅茶も、“あたし”が得意な健康茶の売れ行きも好調で、忙しくても充実した時間を過ごせた!!

それに…悠希くんが、あたしの事を心配して目を光らせてくれてたのが…凄く嬉しかった♪

やっぱり悠希くんの、『一度懐に入った人には優しい』っての、変わんないよね♪


そして…お昼の賑わいを乗りきって午前中のシフトは終了した、午後に入った今からは他のクラスメイト達と交代してフリー!

だけど…悠希くんとなら、このままウェイトレスをしてても良いかも…?



『お疲れ様ーっ!!』


「おつかれさん、瑠璃。」


「悠希くんもお疲れ様。」


「じゃあ行こうか。」


「服は?」


「このままで行こう、俺達の店の宣伝になるし。

―っとそうだ、はぐれない様に腕を組もうぜ。」


「あっ…


「よし、行こう。

グズグズしてたら勇悟が来ちゃうからな。」


「ん~ふ~ふ~♪

それも~そうだにゃ~♪」



悠希くんがあたしがはぐれてしまわない様にって差し出してくれた腕に、あたしは自分の腕をまわして組み、あたし達の出店巡りはスタートした♪




「へぇ…射的か。」


「あっ!あたしそれ得意だよ♪」


「マジかよ…;

射的何て夏祭りとか位でしかやる機会無いだろ?;」


「ふっふ~ん♪まぁ見てなって~!」



“あたし”のこの地味な特技、夏休み中に美夏ちゃんや真冬ちゃん達とお祭りに行った時に発見したんだけどね…

いや…まぁ前世でも地味に得意だったけど。

“この小さな身体”でも健在だったのは意外…

とにかくテンション上がってきた!!



「1回やりまーす!!」


「どうも~じゃあこれ、銃とコルクね。

やり方は分かるかい?

と言うか、ちゃんと弾を込めれる??」


「大丈夫でーす!!」


「そう?なんなら手伝うけど??」


「あたし、こう見えても高校生よー?」


「はは、そいつは失礼したね!!頑張って!!」


「イエッサー!!」


「テンションたけぇなオイ…;」


「あっ、悠希じゃん!!

何?今の子、悠希の親戚の妹さん?」


「いや、俺のクラスメイトで彼女。」


「マジで!?;

小学生じゃないのか!?;」



ん?何かひじょ~に失礼な会話してないかしら?

まぁ良いわ、それより射的射的~♪



「いや、仮に小学生だったとして、今日は生徒のみの日なんだから居たらおかしいだろ。

っとそれより、ここは竜児のクラスの店だったのか。」


「おうっ!やっぱり祭と言えば射的だしな~♪」


「…そうゆうものか…?;

まぁお前の家、毎年祭の出し物で射的屋してるしな…;」



ん~♪

全弾命中♪

あっ、お姉さん!!もう1回!!

ってあれ…?

呆然としてどうしたのかしら…?

まぁいっか♪

お金は置いとくよお姉さん!!



「そうだよ!!

それより、彼女ならちゃんと見てた方が――――ってうおっ!?;」


「ん?どうし――――いやマジでどうしてそうなった。」


「えっ?全弾命中させただけよ??」


「いや待て、的 全 滅 か よ !!のび〇かお前は!!;」


「あはは~!

つい、はしゃいじゃった♪」


「ったく…;」


「Σあれっ!?;

えっ!?何このギャラリー!!;」


「テメェがそんななりで全弾命中なんて神業披露したからだろうが!!;」



何か『凄い!!』とか『可愛い!!』に混じって『何あの銀髪幼女!!』とか『ロリガンナーSUGEEEE!!』とか『銃を構える銀髪ロリウェイトレス…イイッ!!』とか聞こえるんだけど!?;



「わりぃ…;

騒がせちまったな…;」


「あっ…あぁ…;

お前の彼女…小さいのにスゲーな…;」


「ごめんゆぅちん!!逃げよう!?;」


「はいはい;じゃあな!!」


「まいどーっ!!」



人混みに紛れて逃げた(?)あたし達は、また違う店に来ていた。



「型抜きか…


「んっ?もしや悠希くん、得意??」


「まぁな…だけどこれ、文化祭だよなオイ!?;

良いのかよこんな出店ッ!!;」


「よぉ悠希!!相変わらずハイテンションだな!!」


「って!!;毎年祭で型抜きの出店してる家の荘司じゃねーか!!;

ま た こ の パ タ ー ン か !?;」


「ん~…一応、地元の『文化』には触れてる…よね…?」


「ま~ま~!!やってくんだろ?

一発、何時ものパフォーマンス見せてくれよ♪」


「俺は客寄せパンダか!?;」


「良いじゃん!!タダにしてやっからさー!!

銀髪のお嬢ちゃんも一緒にどうだい!?」


「あ、じゃあおねがいします。

やるよねッ!!悠希くん♪」


「うっ…;

そんなキラキラした目で見るな…;

ったく…分かった、やるよ…;」


「そう来なくっちゃ!んじゃこれ!!」



そう言って悠希くんの友達が渡した『型』は…



「Σって幾何学的な模様ーっ!?;」



ちょっ!?ふざけてんのこれ!?;

と言うかそんな型あるの!?;



「対悠希用の我が家オリジナルだぜ♪

お嬢ちゃん!!んじゃ、お嬢ちゃんはこれな。」


「あ…うん…;」



あたしのは普通によく見るチューリップの型だった…;



「今回も負けねぇ。」


「いや、寧ろ“アレ”、よろしくな!!」


「えっ…?“アレ”…?;」



あたしが困惑するのを他所に、悠希くんの友達は大声で呼び掛けた!!



「さぁさぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!!

今からここに居るウェイターがこの!!

幾何学模様の型をきれーに抜いて見せますよ~!」


「えっ!?;

型抜きって時間かかるよね!?;」


「いや、一瞬で決める。」


「ちょっと悠希くん!?;」




ギャラリーが集まってきた所で、悠希くんは通路側に向かって立ち、型を左手で持ち、右手を“デコピン”の構えをして添え―――

っていや待って!?;型抜きってそんなやり方だっけ!?;



「ハッ!!」


パァァァン!!


「わぉ。」



うわぁ…綺麗に抜けたー…;

何かこの展開、どっかで似たようなの見た事あるような…?;



「続いてはピアッシングだぁぁ!!」


「任せろ!!」



また別の型を受けとる…今度はさっきとは違い、若干難易度は低そうに見える。

(簡単そうだとは言ってない。)

そして、アイスピック(何であるの!?)を構えた悠希くんは―――



「はぁぁぁ!!」


「うそーん…;」



連突で型を抜いた…;

待って、何その変な特技…;



「…これで良いか?」


「バッチリだぜ♪

はい、景品!!」


「サンキュ。

じゃあ行こうか瑠璃―って、どうした?」


「あ…いやぁ~。

あたしら~大概だなぁ~ってさぁ~…;」


「…口調、素に戻ってるぞ。」


「あは…あはは~;

まぁ~…今日は~お祭りだし~もぅ~良いや~♪」













こうして二日間ある文化祭を楽しんだあたし達は、最終日の今日、ある意味ギャルゲーの定番の様にある(真面目にやってる学校に失礼)後夜祭のフォークダンスを屋上から眺めていた。

因みに、あたしは座っている悠希くんの膝の上に座っていたりする…///



「終わっちゃったな…今年の文化祭。」


「ふつ~の~出店も~あって良かったね~?」


「いや…アイツ等が特殊なだけだろ…;」


「んふふ~♪

それより~赤坂に~邪魔されなくて~良かったな~?」


「そうだな。」

(あの女の事しか考えてねぇクズの事が嫌いな男友達全員が快く協力してくれたからな…。

ホンと、勇悟は男からの人望が無ぇな。)


「ん~?」



あれ…何か悠希くん、考え事…と言うか…この怖い表情(かお)は、またアイツの事考えてるのかな…



「ゆぅち~ん?」


(まぁ…お陰で瑠璃と二人きりになれたんだから、皆には感謝しないとな。)



今度は小さく笑ってる…

あたしや男友達みたいな、親しい人達の事考えてそう。



「ゆ ぅ ち ん ー ?」


(とにかく今は―

「瑠―あれ?」


「とうっ!!」


「うわっ!?;

いつの間に後ろに!?;」


「あんたが~考え込んでる間に~。」


「あ…わりぃ…;」


「ま~…ゆぅちんは~気苦労~多いかんな~…あたしと~一緒の~時位は~リラックスして~ほし~ねぇ~…。」


「…ははっ、そうだな。

まぁ(膝に)座れよ。」


「はいなぁ~♪」



悠希くんが膝をポンポンと叩いて微苦笑してきたので、あたしは再び膝に座りなおした。

そして、悠希くんはあたしのお腹に手をまわして抱きしめる。



「…ありがとう、瑠璃。」


「ん~?何が~??」


「…俺の、彼女になってくれてだよ。

俺さ、勇悟と一緒に居る限り、彼女所か女友達も出来やしないって思ってたから。」


「…うん。」


「お前が、初めてなんだ。

俺と友達になっても、勇悟に惚れなかった奴は。」


「ん~…わっかんね~よな~?

な~んであんな~クズが~モテるんだぁ~?

ゆぅちんの~方が~ずっと~良い奴なのにさぁ~。」



まぁ…あのクズの場合は正に『不正(チート)行為』をしてるから、なんだけどね…



「・・・・・。」


「ゆぅちん?」



あれ…?

悠希くん、また顔が…怖くなってる…よ…?

そんな悠希くんは、低い声で呻くように呟く…



「俺は、そんなに良い奴じゃねぇよ…

瑠璃は知ってるだろう…?

俺の…このドス黒い感情を…

お前が居なけりゃ…俺はとっくに勇悟を殺してた…。」


「…あんたにゃ~できね~よ~♪」



そう、あたしがクズのチートに負けず、あんたの事をちゃんと好きでいられる間はね。

でも、悠希くんは『何言ってるんだ?』って顔をしてる。

まぁ…当然よね。




「どうゆう意味だよ。」


「あんたには~あたしが~居るからぁ~♪

あたしが~そんな事~させねぇ~!!

辛かったら~あたしに~甘えな~?

なんたって~…


「お前は俺の彼女(パートナー)、だからか?」


「ざっつら~い♪

さぁ~辛いなら~あたしに甘えな~?」


「…何か、お前には敵わなそうだ。」


「ん~ふ~ふ~ふ~ふ~♪」



…話は変わるけど、

あたしは、苛めで階段から突き落とされた…。

仕 返 し に 突 き 落 と そ う と し て 。


リーダー格の相手…()()()と…揉み合いになって、反対に、あたしが落ちたんだ。

悠希くんの真似をして、ね。

因果応報、自業自得とは、正にこの事。


『周りの誰も助けてくれないなら、自分で道を切り開くしか無いじゃない…!』

何て、悲劇のヒロインの詭弁だった。


…相手が苛めっ子だとしても、大嫌いな奴だったとしても…本当に人を殺そうとする様な奴には、きっとそんな結末しか待ってない。


そう、原作ギャルゲー版で『青井瑠璃(あたし)』のルートに進んだ時のあんたがそうだった様に…ね…。


文化祭前のあたし達と同じ位に仲良くなった…『青井瑠璃』を、赤坂勇悟(クズ)に奪われそうになった原作の悠希くんは、クズを突き落とそうとして、避けられて、屋上から落ちて死んだ。


でも、“この世界”では違うからね。

本当の意味で、もうあたしにもあんたにも勇悟(クズ)殺しは出来やしない。

守るべき相手が居るあたしやあんたには。



「じゃあ、文字通りお言葉に甘えて。

…うん、瑠璃を抱き締めてると安心する。」


「♪」

(あんたの側には、ずっとあたしが居るからね。)





次回はプロローグを瑠璃視点で行きます!!

それから本編に戻りますよー!

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