閑話~紫藤立夏の秘密~〈〈立夏視点〉〉
今回は短いです…
…俺には誰にも言っていない、秘密がある。
それは、大切な存在となった美夏や秋穂…
友人である悠希達…
皆にも言っていない事だ。
それは―
…この世界は、俺の為に創られた…
普通なら“鼻で笑うレベルの作り話”で終わるだろう。
だが、俺には前世の記憶がある…と言うか、この世界を作ったのは、俺の父親だ。
と言うのも、俺は元々病弱で、まともな生活…ましてや学生生活なんか出来やしなかった。
そんな俺の為に、ゲーム会社に勤めている父と母は恋愛ゲーム、『COLOR*SEASONS』を作ったのだ。
…その中の一人に、『紫藤 立夏』…俺を入れて。
『紫藤立夏』は見た目も中身も俺そっくりだった。
ただ、サブキャラだから作中では大して活躍しなかったが…それで充分だった。
そして…俺は…父と母のゲーム会社兼、研究所で死んだ。
父と母に感謝しながら。
そして気付けば、俺はそのCOLOR*SEASONSの世界に居た。
目覚めたのは自宅…記憶にある…自宅だ。
そして、机の上には…手紙があった。
『立夏へ。
この世界は、私達が作ったゲームが元になった世界だ。
私達は、偶然…本当に偶然、この世界を創れる事を知った。
『紫藤立夏』を作ると、この世界にも『紫藤立夏』が創られて、私達は嬉しかった。
…最愛なる息子よ。
この世界でなら、お前は自由に生きれるだろう。
この世界でなら、お前は自由に青春も過ごせるし、恋愛も出来るだろう…だが、決して『“Site”を使って洗脳する』等と…人の道は外れるな。
お前の兄は、この世界に行く権利…瀕死のお前にも使った《ダイブ装置》と“Site”を無理矢理奪った。
だから私は、《権利》の簡易型…意識をコピー・ペーストする装置を使って、偶然、お前の居た病院に運ばれてきた少女…いや…前から、その病院の精神科に通っていて、もしもその意思があれば『青井瑠璃』へ意識をコピー・ペーストしようと目を付けていた少女を、無断ながら予定通り行かせた。
本来ならば、本人の意思を尊重したかったのだが…彼女も瀕死の重症で時間が無かったのだ。
なので、そちらで少女…『小鳥遊 梓』さんに出会ったら、それとなく手助けしてやってほしい。
だが、頼む…こんな話をしておいて虫が良すぎるだろうが。
お前は、私の罪を気にせず、お前の幸せを掴んでくれ…
父と母より』
それで理解した。
俺は、二人に深く愛されていたと、そして、第2の人生を与えてくれたのだと。
そして、同時に落胆した…
俺と違って、健康なくせに…自由に動けたくせに…ゲームの世界に逃げた兄に…
まぁ…本人はゲームの世界に逃げたつもりだろうが…
俺は、ここが現実の世界だと理解している。
父さんが懸念していた『小鳥遊さん』は『青井瑠璃』としての人生を謳歌している。
だから、大丈夫だよ、父さん、母さん。
俺は、この世界で、自分なりの幸せを見付けるからさ。
―くん!」
―さん!!」
「…?
あぁ、すまない。
どうしたんだ、美夏、秋穂…
「あの…大丈夫ですか…?
りっくん…いきなりぼーっとしだしたので…
「…そうか…心配かけてすまない。
疲れがたまっていたのかもな…
「えっ…?大丈夫なの兄さん…?
なら、ホテルでゆっくりしていた方が…
「いや、俺は美夏や秋穂と居れば…それで大丈夫なんだ。
だから、平気さ…。」
「そう…ですか…?」
「無理はしないでよ?
兄さん…わたしは兄さんが倒れるなんて、嫌だよ…?」
「ああ。」
父さん、母さん。
俺は、今、幸せだ。
この世界でも、俺を愛してくれる『家族』を、『友人』を、見付けたよ。
だから…俺は失う訳にはいかない…
『赤坂勇悟』に、二人を、皆を、奪われる訳にはいかないんだ。
『小鳥遊梓』…
彼女は『青井瑠璃』に転生しているのを知っていたとは言え、あからさまに両親の作った『青井瑠璃』からかけ離れているな…。
やたらと俺を美夏とくっ付けようとしてきたし。
無論、感謝はしてるが。
『緑川美夏』…
彼女は俺の理想とする女性だ…現実となった今でも変わらない優しい彼女は愛おしい存在だ。
『赤坂秋穂』…
ゲームだとかなり子供っぽい奴だったが、現実となった今では強かな女性だ…
だが寧ろ、その方が生き生きしていて好ましい。
そして、『黒崎悠希』…
彼はゲームから大分変わったと思う。
今の悠希からは、原作の様な陰は感じられない。
大切な者を守る、男の表情だ。
やはり、大切な者が居れば、人は変われるのだろうな…
俺は、そんな世界でこれからも生きていく…
大切な人達に囲まれながら…
※Site…所謂『超能力』的なモノ、ソレ限り無く近いナニカ。
事実は『世界を書き換える力』、瑠璃のエルランも『Site』により手に入れた能力であるが、本人に自覚が無いので瑠璃のSiteは実質未発現能力。
遂に登場しました!!
勇悟の能力の正体…
因みに、立夏もエルラン能力者、という事になります。
何のアルカナかはお楽しみに………?




