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昏冥の空に青い鳥  作者: 音無 なの
第2部 第2章『海と祭りと恋花火』
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第29話

翌日、何時もの時間に目が覚めた俺は、隣で眠る瑠璃を見て小さく笑ってからそっと起き上がった。

…胸には、『瑠璃を絶対に守り抜く』って決意を秘めて。





―今日は、お祭り(センソウ)の日だ。





昏迷の空に青い鳥

第29話

『過去は変わらない―』










宿の朝食を皆で食べた俺と瑠璃は、皆に潮浜学園の文化祭に行くと告げて出掛けた。

今日の服装は、俺は白いシャツにベージュのズボン靴は初日に引き続き黒地に青の線が入ったスニーカー。

瑠璃は背中に羽がプリントされたスカイブルーの半袖にそれより更に薄いブルーのプリーツスカート、靴はデフォルメされてラメの入った星が付いたサンダルだ。


浴衣は…『いざってときに動けないと困る』から止めたらしい。

まぁ…今日は自ら敵地に飛び込むようなものだしな。



「…じゃあ、案内は頼むぞ瑠璃。」


「まっかせろ~♪ゆぅちんは、手を離さないでね…?」


「オウ。」




道中何事も無く学園にたどり着いた俺達は、門を潜り抜けて内部へと突入した…!




「ホゥ…?

まぁ、当然だけど普通の文化祭だな。」


「まぁそうだよにゃ~。潮浜学園は祭り好きな普通校だし~。」


「そっか…ま、進学校とは言えあすなろも祭り好きな学園だから規模は負けてねぇけどな!!」


「ふふっ、そうだにゃ~♪

まぁ、“奴等”に遭遇するとは限らね~し、先ずは気楽に楽しも~ぜ~?」


「だな!!出会ったら出会ったでその時だ!!」



俺達はしばらく出店や出し物を巡り、文化祭を楽しんだ…

その最中、瑠璃に不躾な視線を向けてくる女を数人、見付けた。

赤のサイドテール、青のロング、黄色のツインテ、緑のセミロング。

恐らくコイツ等が瑠璃の言っていた四人だろう。


それぞれバラバラの場所に居たが、全員瑠璃に気付いていた様だし。


さて、向こうから接触してくるなら俺も迎え撃つが…

俺が一緒だから来ないか…?

そう考えていたら、瑠璃が固い声をあげて繋いだ手を引っ張ってきた…



「ねぇゆぅちん。」


「ん?なんだ瑠璃。」


「奴が…来たみたい…


「…えっ?」



瑠璃に促されて視線を向けた先には、一組のカップル(?)が居た。

一見パッとしない感じのフツメン生徒の隣には、髪色がピンクで頭が沸いてそうな美少女生徒。

・・・・・kneg(コレナンテエロゲ)…?


一昔前のゲームみたいだなオイ。


ってかこの学園がオカシイのか…?;

変な髪色の奴等は皆パッと見美少女っぽかったし…



「…あれが、あたしの初恋。」


「…そっか。」



その男子生徒は、瑠璃には気付いていないらしく、隣に居る女子生徒と幸せそうに笑っている。

それを見た瑠璃は―



「・・・そうだにゃ~…あたしにとっても過去の男…なんだもんなぁ~・・・



呆れた様な苦笑いしてそれを見送り、スッキリした表情(かお)で俺に抱きついた。



「うん♪

やっぱしあたし、ゆぅちんが一緒で良かった♪

アイツ見てもな~んとも思わなかったしさ~♪」



そう言った瑠璃は、本当に幸せそうに笑うから…

嘘じゃあ無いみたいだ。

ま、俺にとっての如月 (※悠希の幼馴染み)ポジションなんだろうなアイツは。

だから俺も瑠璃の頭を撫でて答えよう。



「そっか、じゃあアイツには何もしないんだな?」


「ま~にゃ~…アイツに関しては~あたしが一方的に期待していただけだし~?

それに…本当に悪いのは、あのピンクの子以外の四人だし…



…まぁ、確かにあの男は無能なだけで瑠璃に手を出した訳じゃあ無いだろうが…でもなぁ…

俺としては納得できないかも…ま、仕方無い。

瑠璃が良いと言ってるんだからな。


特に用も無いらしいのでその男子生徒から離れた俺達は、さっきから何かと突き刺さる視線が後を追って来ているのを感じつつ、人気の無い場所へと来た。

もちろんわざとだ。

すると案の定、赤髪、青髪、緑髪、黄髪が現れた。

全員が全員、瑠璃を親の敵とばかりに睨み付けている…俺は無視されているらしい。



「久し振りですね、青井さん。」


「キミさー逃げたクセに何ノコノコと戻って来てんの?


「…貴女はまだ、諦めてないの…?」


「アンタなんなのよ!!目障りだわ!!さっさと消えなさい!!」


「・・・。」



口々に勝手な事を言うクソ女共。

本当にクソ共だな、瑠璃を俯かせやがって…!!

そんな奴等をどうしてやろうかと黒い笑みを浮かべると、顔を上げた瑠璃は凄くイイ笑顔だった。

そりゃあもう物凄くイイ笑顔だった!!;

えっ!?どうゆうこと!?;


そして、瑠璃は笑顔のまま口を開き―――



「くふっ♪貴女達は相も変わらず可哀想な人達ですよねーっ♪」


「oh...



嘲笑する様な声を上げた。

そして、クソ女共を嘲笑う様に俺の腕に抱き付く。



「見ましたよー?陽介くんが他の女の子と仲良く文化祭を楽しんでいるのを!!

見たこと無い人ですねー?

そんなパッと出の人に獲られちゃうなんて~…貴女達は本当におバカさんですねぇ~♪くふふふふっ♪」


「っ…!そっ…そんな事は―


「無いとでも??そうですか~?

端から見てもラブラブカップルに見えましたけどね~?

おかしいですね~!?」



瑠璃の突然の変化に息を飲んだ四人、しかしすぐに我にかえった緑髪が反論しようとした。が、瑠璃はそれすらも飲み込む勢いだ。



「因みに~、あたしは貴女達から逃げた先でこ~んな素敵な男性(ヒト)に出逢えましたぁ~♪

逃げたあたしでさえ~幸せになれたんですよぉ~?

だから貴女達はぁ…そ れ 以 下 ♪

まぁ、他人を蹴落とす様な事ばかり考えている貴女達が幸せになれる訳無いでしょうけど~?」



瑠璃の口撃は止まらない…!;

いや…瑠璃の過去を詳しく知っている訳じゃあ無いが…それにしたってどんだけコイツらに怨みがあるんだよ…;

相手は皆意気消沈している、最早睨み付ける気力すら無い様だ。



「くふふっ♪

では、 さ よ う な ら 。

貴女達と会う事は、もう2度と無いと思いたいですねぇ~♪

さ、行きましょうゆぅちん!!お祭りはまだまだこれからですよーっ♪」


「あ…おぅ…?;」



えー…何この展開…;

そりゃあ今の瑠璃はかなり強かな印象だけどさ…だったら何でその時に立ち向かわなかった訳!?;

こんだけ口撃出来るならやればよかったじゃん!!;

…それとも、今の瑠璃は俺が居るから強かで在れるのか…?

当の本人はそんな事お構い無しに幸せそうにニコニコして、俺の腕に甘えている…



「なぁ瑠璃…


「ん~?なぁにゆぅちん。」


「お前…そんだけ口撃出来るなら何でその時しなかったんだ…?;」



俺の質問に、瑠璃は更に笑みを深めながら返した…



「そりゃあ~あたしは非力なおにゃのこだかんなぁ~♪

あの時はあたし一人だったからさぁ~。

でも今ならゆぅちんと一緒だしキレた相手に切りつけられる、何て心配、ねぇだろ~?

…何があっても、ゆぅちんなら守ってくれるって、あたしは信じてるから。

・・・だから、任せて良いんだよね…?悠希。」


「…そっか。」



そう言って俺を見つめる瑠璃の目は、信頼しきっている目で…だからこそ俺は、そんな瑠璃をちゃんと支えていきたいと思った。

でも―



「支えられてるのは、お互い様だな。」



そんな瑠璃に、俺も救われている、だから、俺はこれからも瑠璃の隣を歩いていこう…



「まぁ。

それはともかく、やり過ぎだろ瑠璃、あれじゃあお前、過去のアイツ等と一緒じゃねーのか?」


「んー?勘違いしないで欲しいけど~、あたしゃ優等生だとしても、綺麗なイイ子のつもりは無いよ~。

だから、『復讐は新たな復讐を産むだけ』な~んて綺麗事で片付ける気もねーからな~。」



そう言った瑠璃は、いたずらっ子な笑みだから、本気で復讐するつもりは無いみたいだ、でも復讐しないつもりも無かったみたいだが…



「でも、犯罪者になるつもりも無いよ。

あんなクダラナイ連中の為に罪を犯すなんて馬鹿らしいし~。」


「ん…まぁ…それなら良いのか…?;」



犯罪にならなきゃ良いって問題でも無い気もするけどなぁ…;


とりあえず、もう何も言わなくなった奴等に背を向けて俺達はその場を後に―



―――ゾクッ―――



「瑠璃っ!!」


「へっ?」


「ウグッ!?」


「えっ…?ゆぅ…き…?」



油断…した………



いきなり緑髪の奴がナイフを出し、素早く瑠璃を刺しに来たのを、俺は庇い、腹を刺された…



「あはは♪“運”が良いですねぇでも次はないですよ青井…さんッ!!」


「かはっ…!」


「あらぁ~?あらあらあら??彼氏さんよく動きますねぇ~?

でも、三度目は無いですよぉ~?」



緑髪の奴…!狂ってやがる…!

俺を刺しても動じず、それどころかもう一度瑠璃を刺そうとしやがった…!

何とか瑠璃を庇ってまた刺されたが…駄目だ…力が…入らねぇ…


俺はそのまま地面に倒れ伏した…




「悠希…!!悠希ぃっ!!」


「これで、終わりですよ♪」


「や…め…ろ…!」



くそ…

身体から…力が…熱が…抜けて…く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




















「ごめんな…瑠璃。

一緒にいるって約束…守れそうにねぇや…



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