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昏冥の空に青い鳥  作者: 音無 なの
第2部 第2章『海と祭りと恋花火』
41/48

第28話〈〈悠希視点⇔瑠璃視点〉〉

今回は視点変更が、二回入ります!!

そして…『青井瑠璃』が『青井瑠璃』だった頃のお話が入ります。

虐め表現&胸糞展開注意です。

―準備体操も終えた俺は、瑠璃と一緒に海に向かって走って飛び込んだ!!



「うぉ~っ!!冷てー!!」

「つめたぁ~い!!にゃはははは!!」



まぁ、まだ膝までしかない浅瀬だ、当然、水飛沫が上がるだけで終わった。

それから更に(瑠璃が)泳げる程度の深さまで来た。



「う~ん…綺麗な海だにゃ~…。」


「だな。さて、ここから何するよ?」


「う~…?は~にゃ~ん…



瑠璃はカナヅチでは無いしな…でも、基礎体力が違うから競泳は無しだろうし…

…つーか瑠璃の奴、端からノンビリするつもりだったのか、話し半分に四肢を弛緩させて仰向けに浮いてやがる…器用だなオイ、俺はそれあんまし出来ないからちょっとうらやましい。

それはともかく、海中に広がった銀髪がキラキラと光を反射して綺麗だな…


そう思いながら瑠璃を見詰めていたら、近くに居たカップル(?)から何か話し声が聞こえてきた。

うーん…盗み聞き…じゃないよな、うん。たまたま聞いただけだ、たまたま。



「そう言えばS学園の学園祭、もう行く相手は決まってたか?」


「ん~?私は貴方と行きたいに決まってるでしょ。」


「んじゃ行こうか!明日も楽しみだ!!」




ほう…?

夏休みに学園祭…そいつは興味深い。

一般人も参加可能なら、俺と瑠璃は明日、そこへ行くのもありだな。

なら…



「なぁ瑠璃。」


「んぅ~?」


「明日はS学園の学園祭に行かないか?」


「んぅ…S学園…ねぇ…………って、え゛?;」



…おや?;

何だ今の変な声は…?;

いや、瑠璃が変な声あげるのは稀に良くある事だが(←失礼)。

その瑠璃は、浮くのを止めて立ち上がると、ひきつった笑顔を浮かべた。



「あの~ゆぅちん…?;」


「どうした瑠璃。」


「S学園って…あのS学園…?;」


「いや…そう言われても俺はS学園を知らないしなぁ…


「…じゃあ何でS学園に…?;」


「たまたま近くに居た人達が話していたのを聞いてな、こんな時期に学園祭をやる学園何て珍しいから興味がわいた。」


「おぉう……………



ん…?

何か、さっきから瑠璃の反応が芳しくないな…

もしや、S学園に会いたくない人が居るとか…?



「なぁ瑠璃…S学園に嫌な思い出でもあるのか…?

嫌なら無理していかなくても良いんだぞ…?」


「うん、そうなんだぁ…ごめんねぇゆぅちん…。」


「そっか…分かった、気にするな。

じゃあ普通に街をまわろう。」


「うん。」



…なーんか様子がおかしいなぁ…?

と言うか、この街の話題になるとおかしくなる…

もしや、この街に来たのは失敗だったか…?;

決めたのは先生とは言え…何か、罪悪感が…とにかく…



「ま、今は海を楽しもうぜ~♪」


「ふにゃっ!?…わぁ~たかぁ~い♪」



俺はわざとらしくおどけた口調で瑠璃を持ち上げ、肩車した。

それに対して瑠璃がはしゃぎ声を上げて笑ったから、そのまま話を流した…流してしまった…

まさか…その事が後に、瑠璃を苦しませるとは…その時の俺には知るよしも無かった………









その日の夜。

たっぷり遊んで心地よい疲労感に包まれた俺と瑠璃は、部屋に備え付けの風呂に入っていた…

やっぱりシャワーで海水を洗い流したって言ってもちゃんと風呂に入らないと気持ち悪いしな。

にしてもこの宿、各部屋に備え付けの露天風呂…しかも温泉があるとか豪華すぎんだろ…;



「ふにゅ~…温泉は良いですねぇ…身体から疲れが溶け出していく様です…


「そうだな…部屋に備え付けなのが良いよなぁ…瑠璃と一緒にゆっくり入れるし…



まぁ、今回の面子なら『女風呂覗こうぜ』なアホなノリにはならないだろうから、男湯でもゆっくり楽しめただろうけど。

つーか女風呂覗きたがんのはいっつも勇悟…なんだよなぁ…


まぁ…それはそれだ。

瑠璃と一緒だと彼女を膝の上に乗せれるから落ち着くんだよな…

普段から二人で風呂に入ってるから、それが当たり前なんだし…

風呂だと不思議と欲情しないし…



「…はは…よく考えなくても俺っていっつも瑠璃と一緒じゃねーか…


「ん~…?

どうしましたぁ~ゆぅち~ん?」


「いや…瑠璃といつも一緒だと思っただけだよ。」


「んぅ~?あたし、邪魔ですか~?」


「いや全く。」


「そう…ですか…?」


「邪魔ならこうしてねぇだろ??」


「ん…でもゆぅちんってけっこー隠し事多いですしね~…


「うゎひでぇ。

彼氏を信用できねぇの?」


「くふふっ♪冗談ですよ♪

あたし達は遠慮無し、ですからね。邪魔なら邪魔って言いますし?」


「・・・おう。」



遠慮無し…?遠慮無しねぇ…?

そう…なんだよなぁ…

俺達は遠慮無し…“だった”…はずなんだよ…

いつの間にか、こんなに遠慮し合ってるじゃねぇかよ…!!

ふと、そう思った俺は瑠璃に訊いてみる事にした。



「なぁ瑠璃、そう言えば何で昼間、S学園に行くのを嫌がったんだ?」


「・・・・・えっ?」



まさか、俺がその話を掘り返すと思っていなかったのか、急に固まる瑠璃。

そんな瑠璃に対して俺は更に踏み込んだ。踏み込んでしまった。


・・・それが、()()()だとは気付かずに。



「もしかして…対人関係で何かあったんじゃないのか…?

確か、瑠璃はあすなろに通う前はこの街に居たんだろ…?」


「あ…え…?うん…そ…だね…。」


「…もしかして…“容姿を理由に何か言われていた”――――

「止めて、黒崎悠希。」

―――えっ…?」



瞬間、瑠璃からは普段の呑気で飄々とした声からは想像もつかない、冷たい声が上がった。

目には明らかな怯えと憎悪。

どう見ても危険な空気を孕んでいた…



「・・・この街は、私にとって悪い意味で特別なんです。

貴方を除けば…唯一私に好きって言ってくれた…そんな男の子に裏切られた。

そして、私よりおかしな容姿の人達が特別扱いされている…そんな街なんですから…。」



そう言った瑠璃は、自分の身体を抱き締めて震えていた。

何時もは綺麗な蒼の瞳は、今は酷く濁って見え、憎悪の涙を流し、小さな身体には明確な殺意。

まるで、瑠璃が別人に見えた。


そんな瑠璃を…俺は――――



(?)瑠璃side(?)



“青井瑠璃”の記憶が甦る…

“小鳥遊梓”の記憶が重なる…



周りの奴等…青髪や赤髪の可笑しな奴等が…優しさの仮面を被った緑髪や…無邪気を気取った金髪が“私”をバカにする…

貴女達の方が有り得ない髪色じゃない…!

貴女達の方が有り得ない瞳の色じゃない…!


なのに…なのに…!何で私をバカにする!?


プラチナブロンドがそんなに可笑しいか!?

瑠璃色の瞳がそんなに可笑しいか!?

白すぎる肌が…そんなに…可笑しいか…!!



地味な見た目がそんなに悪い!?

お下げ眼鏡の何が悪い!!

あたしを…あたしをバカにするな…!

あたしは…あたしだ…!!!あたしだって…人間だ…!!



「…くふ…くふふふふ…そうですね。

では行きましょう、悠希。」


「………えっ…?ど…どこに…?」


「決まっているじゃないですかぁ~。

潮浜学園高等部の学園祭に、ですよぉ~?」



ここは潮浜市。

“私”が生まれ、育ち、バカにされ続けた因果の街。


おじいちゃんのいる街へ逃げた…“弱い私”の記憶の街…


だから、戦いましょう。

今回の敵は…“弱い私”、ですね。



そこで、私は1つ思い出しました…



そう…あれは、中学生の時の事…

校舎裏に呼び出された私は、赤髪と青髪と緑髪と金髪に囲まれていた…



「…キミってさ、ズルいよね。」


開口一番に、赤髪がそう言って睨み付けてくる…


「…えっ…?

ズルイ…?何が…??」


「そんな髪で彼の気をひいて、優越感にでも浸っているのかしら?」



訳が分からずに訊き返した私に、金髪が私の髪を無造作に掴んで引っ張ってくる…



「痛っ…止めて…髪って…これは生まれつき…で…


「そうですね。生まれつきですよね。

なら、彼に近づかないで下さいよ。」



抵抗しようとする私に、緑髪が何時もの優しい表情(かお)を張り付けて詰め寄ってくる…



「…なん…で…?

近付いて…来るのは…いつも、彼の方…で…


「あーあ、そこで彼のせいにしちゃうんだー?やっぱりズルいよね貴女はさ。」



私の返答に侮蔑の表情を浮かべて返す青髪…

他の奴等もそれに同調する。



「そうよ!!そうやって彼に気にしてもらえるような態度をとって誘っているくせに!!」


「ですね、だから、彼を拒絶しなさい?簡単ですよ。

一言『嫌いだから近付くな』って言えばいいんですから。」


「ついでに『ウザイ』とか言えば?

とにかく彼をキミから遠ざけてよ。

彼のせいにするなら、それ位出来るでしょ?」


「あ、因みに私達の事言ったら…どうなるか分かってるでしょ…??」



そう言って、青髪がチラリと出したのはカッターナイフ。

私は…その鋭利な刃に怯え、言われた事を実行した。


けれど、私は何処かで期待していた。

彼なら、気付いてくれるって…そんな、自分勝手な期待を…。



結果は…散々なもの…彼女達の思惑通り、私は彼から嫌われた。

私は…同時に沢山のモノを失った…

今思えば、それは初恋…だったのかな…?


だとしたら、初恋は苦いもの…どころか…私自身の性格を…性根を…ねじ曲げてしまうもの…だ…。

それ以来、私は勉学を盾に総てを拒絶するようになり、元々悪くなかった成績は学年トップにまで登り詰めた。


代わりに失われたのは…『素直さ』『勇気』『寛容さ』『伝達力』『信じる心』


私は…小さな小さな人間になった。

そんな私に追い討ちをかけて嘲笑うかのように…身体の成長もそこで止まった、私は、文字通りの小さな身体の小さな人間になった。


もしも、私にそのまま、“小鳥遊梓”が入らなかったら…きっと、寂しい人生になっていたかもしれないし、それでも、寂しい人生にならなかったかもしれない。


そんな事は分からないけど…分かっている事が1つある。



「…悠希は~、あたしを裏切らないデショ…?」


「…っ!?」



あたしが、ニッコリと嘲笑いながら振り向くと、悠希が息を飲んだ…そして…



「お前…オカシイだろ!?

どうしたんだよ!!お前をそんな表情(かお)にさせる様な奴等が…この街に居るってのかよ!?」


「きゃんっ!?

悠希ってば~ハ ゲ シ イ …♡」



私の肩を掴んで自分の方へ向けてきました…向かい合う形で見詰めてくる悠希…ドキドキしちゃいますねぇ~♡

ですが、悠希から出てきたのは怒りの言葉でした…



「…巫山戯るなよ…?

お前は、またそうやって隠すのか…?

そんなに、俺は頼れないのか…?

知っているんだぜ?勇悟の件も、先生や天音さん達と何とかしてるってのも…!」


「・・・えっ?」



なん…で…?

悠希の記憶は…“あの時”に消したはず…


『先生や天音さんと』…?


あ…そうですよね…確かに…記憶は消えていますよね…ただ、悠希が言っているのはその後の事。

『危ないから』…『悠希を喪いたくないから』…

そう言って、あたしはまた逃げていた。

なら、先生や天音さんは喪っても、良いのですか??

勝手に…異能力者は死なないなんて…思い込んでいませんか…??



「…ごめん…なさい…悠希…。」



弱い私でごめんなさい…

私は…『絶対的な味方』である貴方を喪うのを恐れている…弱い私のままなんですね…



「ごめんなさい…私は…臆病者なんです。

貴方が大切だから…貴方を喪いたくないから…遠ざけていました…ですが…」



それが、間違い。

なんですよね??


喪いたくないから遠ざけた

その結果…悠希の心まであたしから遠ざけていた…



「うん…悠希、文化祭は、絶対にあたしから離れないで下さい…。

“昔の影”から…あたしを…助けて下さい…!!」



あたしが覚悟を決め、悠希に懇願すると―――



「オウッ!!任せろ♪」



悠希は満面の笑みを浮かべて、それからあたしをギュッと抱きしめて…頭を撫でてくれました…



「…ゆぅちん…らぶ~…。」




(!)悠希side(!)

俺は、瑠璃に沢山救われた。

そんな、大好きで大切な恋人に、何か少しでも恩返しがしたかった。

それ以前に、大好きな瑠璃に悲しい表情(かお)をさせる元凶が許せなかった。

だから、今度は俺が瑠璃を救う番だ!!


顔も知らない昔の瑠璃を虐めたクズ女共…そんな奴等に、俺達は負けない。

潮浜学園文化祭…楽しい思い出に出来る様に、精一杯俺に出来る事をしよう…!





って事で次回はお祭り編…の皮を被った過去との戦い編です。


…過去、ヒロインになれなかった瑠璃(弱い私)の頑張り物語、おひとついかがですか…?

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