第7話
更新ペースが落ちてきました…
食堂へ来た俺達は、立夏に注文を任せて、席に座っていた。
「…ありがとな立夏、何も無かったか?」
「いや、お前はほぼ完治したとは言え怪我人だしな。寧ろお前が無事で良かった。」
「…そうゆう台詞は女子に言ってやれ…;」
「む…?」
「まぁ、それはともかくだな―
俺は勇悟が居ないのが不気味に感じる事を伝えると、幼馴染みである緑川さんが反応を返す。
「あの…その事なのですが、
最近の勇くんは…お昼になると一人でフラりと消えてしまうんです…。
私は…それが心配なんですが…訊くと、怒鳴られるので…
「「「・・・最低だな。」」」
折角幼馴染みが心配してくれているのに怒鳴るとか…余程後ろめたい事をしているのか…?
まぁ…奴は元々クズだし、今更か。
「ですが…私は…それでも勇くんが心配なんです…!」
「みかみ~。」
「…なんでしょうか、瑠璃ちゃん?」
「あたしにゃ~…幼馴染みぃ~何て~いね~から~みかみ~の~気持ちは~わかんねぇよ~?
でもなぁ~…?
そんな~酷い扱い~されてんのに~な~んで心配出来るの~?」
「…それもそうだな、そんなクズに心配する価値がまだあるとでも?」
俺達は率直な質問を緑川さんにぶつける、しかしそれに答えたのは立夏だった。
「小さい頃からずっと一緒だから…だぞ。
悠希、お前にも幼馴染みが居たんだから分かるだろう?」
「いや、全く分からねぇ。
俺の幼馴染みは薄情だったからな。」
小さい頃からずっと一緒だから、どうしたって?
俺はさっさと見捨てられたんだし、そんなに冷たくされんなら見捨てたって良いだろうに…
だからこそ、俺はこう言おう。
「俺からしたらそんな幼馴染みより、気の合う友人や恋人の方が大事だしな。」
「ああ、お前に訊いた俺が浅はかだったな、スマン。」
「Σ何かそれバカにしてねぇか!?;」
「いんや~、実際~ゆぅちんにゃ~“仲の良い幼馴染み”の~気持ちなんて~わかんねぇよ~。
あたしも~“同じ”だし~?
はくじょ~な~幼馴染みより~あたしを~愛してくれる~ゆぅちんの~方が~大事~。」
(まぁ、前世では居たけどね、幼馴染み。
あたしに『好きだよ』とか言ってたクセに、苛めの標的になった途端に根暗なあたしを見捨てて明るい元・親友とくっついたけど。
だから、リアル幼馴染み何てそんなものよ…。)
「…はぁ…私は…間違っているのでしょうか…?」
「そんな事は無い。
長い時間を過ごした二人の“絆”は、きっと裏切らない。」
「紫藤くん…。」
「「・・・確かに“お互いに想いが通じている人との絆”は信じられるけど…。」」
そう、例えば瑠璃との“絆”なら信じられるんだけどさ。
「だが、“長い時間を過ごした絆は裏切らない”ってのは嘘だな、それ。」
「でも、“長い時間を過ごした絆は裏切らない”なんて嘘っぱちよ。」
(まぁ…悠希の台詞もあんたのその台詞も原作通りなんだけどね…。)
「オイ、悠希、青井。」
立夏は俺達の言い分に批難の声をあげる、が、マジでそりゃあ嘘だろ。
“絆”程移ろいやすく壊れやすい物は無いと思う。
信じられるかどうかは別として。
何と言うか…俺は、瑠璃が瑠璃だから『信用出来た』んだし。
そこに、時間なんか関係ねぇ。
大事なのは、『自分と一緒に居続けてくれるかどうか』と、『一緒に居て楽しいかどうか』、だ。
「仕方ねぇだろ?実際、俺はその“長い時間を過ごした絆”に裏切られた人間なんだし。」
「ええ…確かに悠希くんに言われると、説得力がありますね。」
「…だがな緑川さん。
俺は“絆”そのものを否定するつもりもない。
実際、俺は瑠璃との“絆”は信じている。
ただ、大事なのは“ソレがお前自身も満たしてくれる絆かどうか”、だ。」
(…“自身を満たしてくれる絆”…ね…、今のあたしにとっても、大事で“満たしてくれる絆”は、やっぱり悠希との絆だよ…♪)
「…?
どういう事です…?」
「じゃあもっと簡単に言おうか。
『緑川さんは勇悟と居て楽しいのか?』
それってさ、勇悟に依存してねぇか?」
「…あ…。」
「…。」
ふぅ…言葉にするのは難しいな…。
上手く伝わっていりゃあ良いが…。
っと…子機が鳴ってるな。
「飯が出来たみたいだ。行こうぜ立夏。」
「待て、女子だけにして良いのか。
そもそもお前は怪我人だろうが。」
「今は、そっとしておこう。
瑠璃も何か思うところがあったみたいだし。
それに俺はそこまでヤワじゃねぇ、食い物運ぶくらいは出来るって♪」
「…分かった。」
(!)瑠璃side(!)
…悠希が紫藤さんと食べ物を受け取りに行ったのを見送ったあたしは、改めて美夏に視線を向ける。
美夏は…『信じたいのに信じられない』、『なんだか、もう疲れた』、そんな表情をしている…
この、優しく甘い幼馴染みさんは…あたしみたいな根暗や、ひねくれてしまった悠希と違って、例え幼馴染みがクズでも簡単には嫌いになれなかったのかもしれない…
全く…何でクズみたいなどうしようもない人間何かの幼馴染みが、こんなにも良い娘ちゃんなのよ…。
クズ…あんたは…どれだけあたし達が望んでも巡り逢えなかった“素晴らしい幼馴染み”に恵まれてい“た”のか、気付いていないのでしょうね。
―――そして、愚かなあんたは最後まで気付け無かったのよ?
もうあんたの“青い鳥”―――
「ねぇ…瑠璃ちゃん。」
「ん~?」
「もぅ私…あの人の幼馴染みで在る事に…疲れました…。
実は…去年の文化祭の頃から、紫藤くんに私の悩みを聞いてもらっていまして…最近では、紫藤くんと話している方が…楽しいんですよ…悠希くんの…言う通りです。」
「…“絆”は~時間じゃな~い?」
「…はい。
今回…あの人に…怒鳴られて…悠希くんに『依存なんじゃないか』って言われて…はっきりしました…私は…今の私が…好きなのはきっと…紫藤くんなんですよ…。
あの人とは、ただの幼馴染みの…延長だったんです。」
―――鳥籠から逃げちゃったよ?♪
さて、仕上げっ!!
「…うん、あたしから~見ても~あんた達~に~は、恋愛感情が~一切~見られんかったんよ~。
なんか~みかみ~と~あかちんは~…手のかかる~弟に~世話を焼く姉~みたいだった~。
だからぁ~や~っとソレに~気付いた~?って~あたしは~思うよ~?」
(まぁ最初こそは美夏の方にだけは恋愛感情が含まれていたけど…文化祭以降は惰性でそうしているって感じで、
クズは最初から美夏にそうしてもらって当然って感じだったから感謝する態度を見せなかったしね…。)
「…彼氏の居る貴女に言われると、それもまた説得力がありますね…
「なぁ~みかみ~。
あんたは~あかちんに~初恋の思いで~重ねてたんでしょ~?」
「ですね…冷静になって気付きました。
あの人は、もう…私の知るあの人では無いって…
「そうだねぇ~。
だからさぁ~あたしは~あんたの新しい恋~お~えんすっから~。」
(既に始めてるけどね。
さっき紫藤さんに励まされていた美夏の表情、恋する乙女の表情になってたし♪)
あ、悠希が戻ってきた♪
(!)悠希side(!)
俺と立夏が戻ってくると、瑠璃も緑川さんもにこにこしていた。
どうやら吹っ切れたみたいだな。
立夏も気付いたらしく、緑川さんに話しかける。
「…緑川、答えが出たのか?」
「はい、私の勇くん…いえ、勇悟くんに対する想いは、『弟を心配する姉』の感情で、ここまでされたらもう…とりあえず放っておけば良いと思いました。」
「あたしが~そうアドバイスした~。」
「…青井…。」
「ん~?」
「ナイスだ瑠璃!!」
「ども~♪」
うん、立夏は口では批難するように言ってるけど、目は『よくやった』と思っているな。
まぁ…立夏は、自分に相談しに来る緑川さんの事が好きになっていたみたいだし。
だから…勇悟が邪魔だったしな。
だからよくやった瑠璃!!
俺が机に飯を置いてサムズアップをすると、
瑠璃もてへぺろしながらサムズアップを返してきた。
さて、俺も立夏と緑川さんをくっつける為に頑張るとするか。
テメェが作り出したこの状況を利用してな…!
勇悟…今度はテメェが幼馴染みを失う番だぜ?
俺は、一瞬だけ昏い笑みを浮かべ、皆と食事を始めた―――
ここから黒崎悠希の本領発揮!?
ブラックカップルの暗躍が始まる…!?




