プロローグ(第5話)
拝啓。瑠 璃 が 居 な く な っ た 後 の 保 健 室 は 暇 で す 。
瑠璃から聞いた話、何故か俺は転んで怪我をした事になっていた。
瑠璃自身は後で桜庭寮長や緑川さん、秋穂には言ったらしいが。
何せ証拠不十分だ。
俺と瑠璃が直接『勇悟が犯人だ』って言っても揉み消されるそうだしな…
瑠璃が言うには、『そうゆう事』になってしまっているらしいし…
「クソッ…勇悟の奴、まさか実力行使に出るとはな…。」
親友ポジションだと思っていたが、どうやら俺は悪役ポジションだったみたいだ。
勇悟(主人公)からみたら、自分の狙っていた娘を横からかっさらった悪役…なんだろうからな。
実 際 は 逆 だ が 。
「ハァ…
(入学式の挨拶…瑠璃と一緒にしたかったなぁ…。)
しかも今の瑠璃は昨日とうってかわって無表情、
特待生の一人が保健室行きで、相方が居ないもう一人はなんだか憂鬱そうだとか、1年生達が動揺してなきゃ良いが…
「…ただいまぁ。」
そう思っていたら、登校したと思っていた瑠璃が部屋に戻ってきた。
「って瑠璃!?;」
「…んっ?どったのゆぅちん。」
「お前…入学式の挨拶は…?」
「・・・ゆぅちんが心配で早退したぁ~。
先生には許可貰ってるよ〜ん。」
「…良いのかよ?
特待生がそんなのでさ。」
そう言いつつも俺を優先してくれたのが嬉しくて口角が上がっちまってるが。
「…良いの良いの♪
今のあたしには無理だってさぁ〜
心のケアが必要だって保健医の白雪先生が言ってたぁ〜。」
「あの白雪先生か…。」
白雪凍夜先生。
確か白雪真冬の親戚…だったな。
男女皆に等しく優しいと評判の良い先生だ。
「…だからね…?
……あたしはゆぅちん側に居る。」
「…ありがとな。」
『側に居る』、瑠璃はそう言い、手を優しく握ってくれた。
「…ゆぅちん。
あたしはアイツが許せない…。」
「ああ、アイツはもう完全にクズだ。
引き返せない所、超えてはいけない一線を超えた。
欲しい物(者)の為なら、“親友”を怪我させる程のクズだ。」
「……それは悠希が、アイツを拒絶したせいもあると思うけどなぁ?
ただアイツはやり過ぎだから許せねぇなぁ。」
…そう言えば昨日、晩飯の時に『お前なんか親友どころか友達じゃねぇ!!』宣言したんだった。
あぁ…だからアイツも…アイツなりの遠慮を止めたってか…?
ハッ…寧ろやっと本性を現したかクズ野郎、と言った所だが。
「…さて、それはそれとして、俺はこれからどうするかねぇ…。」
―――不幸中の幸いだったのは、大した怪我じゃなかったから午前中には復帰出来た事だ。
とにかく、この程度なら勉強に遅れはでない。
一安心だな…
さて、始業式は出れなかったが、瑠璃から同じクラスになったと聞いていたので瑠璃と待ち合わせして改めて登校する。
今はその保健室から教室までの道を二人で歩いていた。
「はぁ…何とかなってマジで良かったな…。」
「そうだにゃ~♪」
あれから、瑠璃はやたらと楽しそうな雰囲気になった。
と言うのも、桜庭寮長と白雪先生が、『青井さんの心的外傷が治るまでは特待生同士で支え合って』と気を使って暫くの間は特待生特権の特例で瑠璃を俺と同室にしてくれたからだ。
この学園、何気に特待生には特権が多いな。
…俺は、たかだか怪我位で大袈裟な…と辞退しようとしたんだが…瑠璃がうるうるした目で見てきたのと、桜庭寮長が『保健医から許可は出てるんだし、怪我した時位役得と思え、優等生♪』と言ってくれたのでありがたく従わせてもらった。
そうそう、関係無いけど、瑠璃曰く、桜庭寮長と白雪先生は許嫁同士で仲が良かったらしい。
…勇悟の“変な気配”に邪魔さえされなければ。
だけど勇悟の情けない姿を見続けて桜庭寮長が正気に戻ったから感謝します、だとか。
どうやら桜庭寮長、俺が勇悟を蹴散らしたのを見ていて、それが止めとなり正気に戻った後、許嫁の白雪先生と手を組んで裏からその件をもみ消したとか。
白雪さんも瑠璃から俺を怪我させた事を聞いて正気に戻ったらしい。
それにしても桜庭寮長、俺達と同様に特待生で優等生のクセにやる事案外えげつないな…;
結論。
勇 悟 の ハ ー レ ム 崩 壊 。
ざまぁねぇな。
まぁ、因果応報…って奴だ。
去年は勇悟の取り巻きだった美少女達は、今や瑠璃の女友達として瑠璃や、必然的に瑠璃の側に居る俺と話す事の方が多い位だ。
緑川に関しては立夏と話しているのをよく見かける。
なんだろうな…俺の、灰色になるはずだった学園生活は、去年の今頃に瑠璃と出会って、友達になって恋をして…そうやって瑠璃と関わる程に鮮やかな色彩を放つ生活に変わりつつある。
瑠璃の親友としてなら、緑川さん達ともわだかまりなく話す事が出来る…
瑠璃は…本当に不思議な奴だ。
そんな瑠璃との学園公認の同棲生活は、勇悟に関わる件以外はとても楽しいものになると、俺は確信している。
「…瑠璃。」
「ん~?どったのゆぅちん。」
「お前に出逢えて、本当に良かったよ。」
「ん~ふ~ふ~♪それは~お互い様ぁ~。
あたしも~あんたに~出逢えて~よかったぜ~♪」
(前世でずっと救いたかった貴方に出逢えたのだから…“私”は…“あたし”になれてとても幸せなんだよ…悠希っ♪)
ある意味これで1つのスタート!!
…色々な意味での“新生活”が始まります!!)




