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世界樹の上に村を作ってみませんか  作者: 氷純
第二章  村生活の始まり
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第二話  魔虫狩り

 公民館二階の角にある自室で休んでいると、リシェイが訪ねてきた。


「募集していた移住希望者二十人が到着したわ」

「早かったな」


 公民館の完成直前にヨーインズリーへ手紙を出したのだが、ここからヨーインズリーまでの距離はおおよそ七日か八日は掛かる。逆算すると、連絡を受けてすぐに出発したとしか思えない早さだ。


「公民館の建設が始まった時に一度手紙を出しておいたから、準備は整えていたみたいね」

「そういう事か。ひとまずみんなを部屋に案内して。部屋は十五で足りたよな?」

「何人かは夫婦だったり兄弟だったりで、部屋は二つ余ってるわ。メルミーがもう部屋に案内し始めてる。アマネは私と一緒に宴会場にイスと机を出すのを手伝って」

「そっか、そっちも必要なのか」


 一階の共用倉庫へリシェイと共に足を運ぶ。

 机の両端を持って、二人で宴会場に運び込む。机だけであと五往復は必要だろう。椅子は後回しかな。

 自分の荷物を部屋に持って行く途中の移住者とエントランスホールで鉢合わせして挨拶したりしつつ、宴会場へ机を運ぶ。


「アマネ、これから移住者用の住居作りを始めるでしょう?」

「そのつもりだよ。でも、個人個人に話を聞いて、納得のいくものを作っていくつもりだから時間がかかるだろうね」

「それなら、早い段階で村の産業を興した方がいいと思うの。雨露をしのぐだけならこの公民館でも足りているし、住居作りと並行して動けないかしら?」

「来た早々に働いてもらうのは申し訳ないけど、資金が少ないから仕方がないか」


 甲斐性無しの俺を恨んでくれ。

 机を持って、共有倉庫から宴会場への廊下を進む。


「産業と言っても、当面は農業で自給自足を可能にするところからかな。トウムは当然として、一番成長が早い野菜でも半年後、秋ごろの収穫になる。外へ出荷するとなれば三年は欲しい」


 孤児院やヨーインズリーの虚の図書館で経験と知識があるといっても、初めての場所で一から始めるのだ。畑作りに際して地球のように根っこがどうたらという悩みはないのが救いだけど、勝手が違えば効率が悪くなる。

 当面の目標は自給自足と考えるべきだろう。


「……やっぱり、資金的に少し厳しいのよ」


 リシェイが声を落としてそう呟く。

 公民館は比較的安く上がったし、村人の住居にしても建てる余裕はある。


「余裕がないって感じか?」

「このままだと三年で資金が尽きるわ」

「三年か。農業を始めて上手くいっても三年で出荷できるかは未知数だからな」


 三年後に農業で採算を合わせようとは考えない方がいいくらいか。

 俺が建橋家として外に働きに出れば、半年ほどで村人全員が切り詰めて数年食べていけるだけの稼ぎにはなるが、それは村というより扶養施設だろう。俺が建橋家として外に働きに出るのは最終手段だ。


「……三人増やしていいか?」

「考えがあるの?」

「いまを凌ぐだけの手だけど、この辺りの魔虫を狩る。バードイータースパイダーがいれば二匹くらいで高級建材に加工して、てっとり早く資金を稼げるはずだ」


 割とどこにでもいる魔虫だし、この辺りでも見たことがある。ほとんど開発もしていない場所だから、討伐されずに大きくなった個体もいるだろう。

 俺が魔虫狩人をやっている間に知り合った連中が三人いれば、公民館の護衛も含めて安全に狩ることのできる相手だ。


「どれくらいの稼ぎになるかしら?」

「巣は大きさにもよるから考えない事にして、本体だけで玉貨が三枚。加工まで全部やることが前提だけどな」

「玉貨三枚、二体で六枚ね。ブランチイーターが鉄貨百枚だから、三十倍の利益? 酷い格差ね」

「ブランチイーターは緊急性が高い場合だと玉貨での討伐になるけどな。草食性であまり人を襲う魔虫でもないから、普段はあまりお金にならないんだよ」


 俺が村を出るきっかけになったのもブランチイーターによる世界樹の枝の食害だった。ああいった手合いに対処するため、村には狩人がいるし、じっちゃんのような魔虫狩人が住んでいる場合もある。

 もしも俺が住んでいたレムック村がブランチイーターの討伐を他所の魔虫狩人ギルドに依頼していたら、玉貨二枚以上での討伐になっていただろう。それくらい、あの被害は大きかった。

 リシェイは頭の中で帳簿を開いて確認し、頷いた。


「その三人が普段は農業もできるというなら、問題ないと思うわ。ただ、部屋が足りなくなるのだけど」


 現在、この公民館には十八の客室が存在し、内三つを俺とリシェイ、メルミーの三人が使用している。今日来た移住者二十名が十三部屋を使用するため、残りの部屋は二つ。確かに、三人の魔虫狩人が来るなら部屋が足りなくなる。

 まぁ、部屋はそこまで狭い物でもないし、野宿も平気でする魔虫狩人にとっては三人で一部屋でも天国だけど。


「――アマネさえよかったら、私がアマネの部屋に行ってもいいわよ?」

「いや、大丈夫。一階の警備員室を使ってもらおう。移住者も来たから、警備員室をいつまでも空っぽにしておくわけにもいかないしね」

「……そうね」


 机をすべて運び終えた段階になって、メルミーが二階から降りて来た。移住者の荷運びで大きなものだけ手伝っていたようで、少し汗をかいている。


「そっちは椅子を運べば終わりかな?」

「あぁ、宴会場にこれから椅子を二十脚運び込む。手伝ってくれ」

「言われずとも手伝うよー。メルミーさんが働き者だってことをみんなに広く知らしめて、ご近所で奥様方が噂話しちゃうくらい頑張るよ」

「ご近所の奥様方も当面はこの公民館に住むんだけどな」

「すぐ隣でいい噂話をしてくれたら、ますます働き者になるってもんだよ! メルミーさんは褒めれば褒めるほど伸びる子だからね」

「メルミーは本当に働き者でいい子だねぇ」

「あからさますぎる!?」


 お気に召さなかったようだ。

 それでも、メルミーはきちんと椅子運びを手伝ってくれる。


「そうだ。魔虫狩りをするから外から三人、魔虫狩人を呼ぼうと思う」

「部屋が足りなくなるね。これを口実に、わたしが、このメルミーさんがアマネ君の部屋に乱入して部屋を明け渡そう。そうしよう」


 勝手に盛り上がっているメルミーにリシェイが呆れ声を掛ける。


「最後まで聞きなさい。警備員室の穴埋めにも入ってもらうから、メルミーが部屋を明け渡す必要はないの。そう言えば、これで公民館がいっぱいになるのね。外からのお客様、大工さんや商人さんが来たらどうするの?」

「個人客なら俺の部屋に入ってもらって、団体客なら宴会場で雑魚寝かな。申し訳ないけど」

「……個人客の場合、アマネはどこで寝るの?」

「宴会場か、外でテントじゃないかな」


 たまにはテントもいいと思う。移住者も来てくれたし、何人かで語らいながら夜空を見て、テントで雑魚寝とか最高に青春していい感じだと思う。


「――それなら、私の部屋」

「――なら、わたしの部屋」


 リシェイとメルミーが同時に言いかけて、視線を交わした。


「……後にしましょう」

「そうだね。いま忙しいもんね」


 二人して部屋を明け渡すつもりならどちらかの部屋に女の子二人、ルームシェア感覚で住めばいいだろうに。

 まぁ、当人たちの問題だから俺は口を挟まないでおくけどさ。



 魔虫狩人三人がやってきたのは、農地の確保が終わった丁度その日だった。


「もう畑があるのか。アマネは相変わらず仕事が早え」


 ズボンのポケットに手を入れ、弓と矢筒を担いだ大男ができたばかりの畑を見回して言う。俺の魔虫狩人時代の知り合いで、何度か一緒に仕事もしたことがあるビロースだ。


「土入れは明日か?」


 この世界での畑は木枠に土を詰めて花壇のようにしてから作物を植える形を取る。土は世界樹の葉を腐らせて作った物が一般的だが、この腐葉土だけで育つ植物は存在しない。

 そのため、他の村や町などが幾度となく作物を植えてきた土を買ってきて、腐葉土と混ぜ合わせる必要がある。これら元になる土は数年かけて作り出す物であり貴重なため、高値で取引されている。

 今回はリシェイや移住者の出身孤児院や、俺の故郷レムック村から安く買わせていただいたが、この裏技を使えるのは今回限りだろう。あとは俺たちが自分で作って行くのだ。それが、この村の共有財産にもなる。

 俺は公民館を指差す。ここからでは見えないが、L字型の建物に囲まれた裏手では村人総出による土づくり作業が行われている。


「いまは土を混ぜてるところだ。明日に土を入れて、水やって、それで植えるのは明後日か明々後日だな」

「そうか。そいつは悪い知らせだ」

「悪い知らせ?」


 大男、ビロースの言葉に首をかしげる。

 ビロースは深刻な表情で頷いた。


「来る途中、ビーアントを見かけた。数は八匹、肉団子を持っていたから、しばらくこの辺りで活動するはずだ。ここが襲われないうちに駆除した方がいい」

「ビーアントか」


 ビーアントは翅を持つクロアリに似た、体長一メートルほどの魔虫だ。非常に好戦的で、ほとんどの場合、三から五匹の群れを作って行動し、獲物を殺して肉団子にした後で巣に持ち帰る習性がある。

 好戦的で群れをつくるという時点で危険な魔虫ではあるが、すでに対処法が存在しており狩ること自体は容易だ。一番恐ろしいのは村などを直接襲われる場合である。

 ビーアントとの戦いは先手必勝。この言葉は、人とビーアントのどちらにとっても当てはまる言葉である。


「みんなに事情を説明して、明日には狩ってしまおう。初土入れは見届けたかったなぁ」

「気を落とすなよ。ビーアントは甲材になる。見つけた以上はさっくり殺して金に換えちまえばいい」

「そうするよ」


 反響しやすい甲材としてイベント会場などに使用されるのがビーアントの甲材だ。それなりの金にはなる。



 翌日、ビーアント狩りに出発した。

 俺の不在中に公民館を襲われても困るため、ビロースと一緒に来た魔虫狩人の二人には公民館の護衛に付いてもらい、俺とビロースの二人での狩りだ。


「本当に大丈夫なの?」


 俺とビロースの二人でビーアント八匹か、それ以上を狩ることになると話したためか、リシェイが心配そうに訊ねてくる。


「少数精鋭だよ。ビーアントを狩るなら二、三人の方が逆に動きやすい」

「危なくなったら、無理せず帰ってきてね」


 メルミーにも心配されてしまった。

 ビロースが横で俺を見てニヤニヤ笑ってるのが少しむかつく。

 畑への土入れを始めるという村人と一緒に出て行ったリシェイとメルミーはちょくちょく心配そうに俺を振り返っていた。

 そんなに難しい狩りではないのだけど、これは切り傷一つ作って帰れないな。


「愛されてるねぇ、色男」

「村を作って一カ月もしないうちに村長戦死じゃ困るからだよ。さぁ、無駄口叩いてないで狩りに行こう」

「へいへい、村長様の仰せのままに」


 クックックと笑うビロースの横っ腹に肘を入れてやる。まるでダメージがないようだ。


「へなちょこだな。ちゃんと鍛えてるのかよ、村長」

「ビロースが硬すぎるんだ。ビーアントと組み手ができるんじゃないか?」

「それはさすがに噛み殺されるって」


 軽口を叩きながら公民館を後にして、三時間ほど早足で歩く。

 公民館を背に南へ。幹の方角に向かう形だ。

 元々この辺りは枝が太く視界もかなり良好だが、魔虫の姿は見えない。


「ビーアントが周辺の魔虫を狩ってるのか?」

「村長、公民館の建築中はしばらくこの辺りで過ごしてたんだろ。何か見てないのか?」


 ビロースに言われて、ここしばらくの事を思い出す。

 基本的には公民館の建築予定地周辺から動いていないけど、資材を運んできた商人から話を聞く機会が何度かあった。


「バードイータースパイダーの目撃証言は何回かあったけど、ビーアントに関しての話はなかった。不審死している魔虫の話も聞かない」

「なら、ビーアント以外の理由があるのかも知んねぇな。短期間で周辺の魔虫を狩りつくすとは思えねぇ」


 他の理由、か。

 魔虫狩人が狩り場にしていたという話でもなかったし、なんだろう。

 魔虫はその巨大さもあって、肉食の魔虫以外に天敵らしい天敵もいない。せいぜいが人間くらいだろう。

 肉食の魔虫はそう多くない。


「お、村長、あれ見ろ」


 ビロースが指差した先に主不在のバードイータースパイダーの巣があった。

 半径五メートルほどだろうか。


「小さ目だな」

「世界樹の北側だからな。気流がぶつかって雪や雨も多いと聞くし、魔虫も小ぶりなんだろう」

「そんなものかな」


 どうも他に理由がありそうに思えるんだけど。

 巣を見ても、この巣を作ったバードイータースパイダーが成虫となっていたかは分からない。


「幼虫が作った巣かもしれないだろ」

「まぁ、他の巣を見てみればわかるんじゃねぇの? ひとまず、実況検分といこうや」


 ビロースはそう言って巣に歩み寄り、糸の状態からいつ頃に作られた巣かを探り始める。

 ビーアントに襲われて殺されたらしく巣は半ば原形をとどめていなかった。


「ビーアントの連中、派手にやってるな」


 糸を力任せに引き千切った跡がある。糸を引き千切るだけの力を有している時点で、ビーアントの仕業で間違いないだろう。


「バードイータースパイダーが手負いのまま巣に君臨していたら良い的だったんだが、そううまくはいかないわな」


 ビロースが半壊した巣を見上げている間に、俺は周囲を警戒する。

 巣の検分を終えたビロースが足元の枝を指差した。


「この巣の壊れ方からするに、下から襲われてる」

「この付近の枝に巣があるって事?」

「そこまではわかんねぇって。だが、巣はないだろ。あったらカッテラ都市が討伐依頼を出してるはずだ。これだけ派手にやられてるんだからな」


 カッテラはこの辺りで一番近い都市の名前だ。雲下ノ層に四本、雲中ノ層に二本の枝を有する、人口一万千六百人の都市である。魔虫狩人ギルドもあるため、この辺りでの魔虫討伐ならカッテラ都市まで行って依頼を出すのが手っ取り早い。

 ビロースは公民館に来る途中カッテラ都市を通ってきたため、ギルドの依頼書も確認したという。俺が魔虫を狩って資金に加えたいと手紙に書いていた事から、目撃情報だけでも押さえておこうと考えていたそうだ。

 まさか自分が第一の目撃者になるとは考えていなかった、とビロースは昨夜笑っていた。


「もう少し探してみっか――」

「それには及ばないみたいだ」


 歩き出そうとしたビロースの服を掴み、下の枝を指差す。

 俺たちの居る枝から俯角三十度、距離四キロほどの枝に黒いモノが集まっているのが見える。

 ビロースは俺が指差す方を見て、弓を下ろす。


「矢は届くが、当たるだけで刺さりそうもないな。どうするよ?」

「数は九匹くらいだろ。二人いればやれる。鏑矢は?」

「俺がやる。アマネの方が速射も得意だろ」

「それじゃあ、挑発も任せて」


 俺も弓を下ろし、木の矢を番えて弦を引く。

 角度を調整して放てば、ビーアントが玉になっている黒い塊に直撃した。

 四キロメートル先の枝で、ビーアントが動きを止めて俺たちを見る。

 次の瞬間、ビーアントが一斉にその透明な羽をはばたかせた。ビーという耳障りな音が俺たちにも届いてくる。

 俺はビーアントをおびき出すべく後ろに走り、鉄の鏃が付いたトドメ用の矢を二本取り出す。一本を右手に、一本を口に加え、さらに追加の三本を取り出して左手に持った。

 ビーアントが四キロメートルもの長さを飛んできて、俺たちの居る枝に到着する。

 ビーアントは枝に足を下ろすと、羽を動かして威嚇しながら仲間が降り立つの待っていた。こいつらは空中戦ができないのだ。

 全部で九匹のビーアントが枝に降り立った瞬間、ビロースが俺の隣で鏑矢を番え、ビーアントの真上を飛ぶように放った。

 ヒューと甲高い音がする。

 鏑矢がビーアントの直上を通った瞬間、ビーアントは脚をもつれさせ、頭を左右に振り出す。

 ビーアントの甲殻は堅く、音を響かせやすい性質がある。そのため、ある種の鏑矢の音で甲殻が共振してしまい混乱に陥るのだ。

 この弱点により、俺達魔虫狩人はビーアントとの戦闘を有利に進めることができる。

 俺は五百メートルほど先にいるビーアント達に狙いを定め、鉄の鏃が付いた矢を次々と放つ。

 俺が放った矢はことごとくビーアントの頭を貫き、殺していく。


「うっは、さすがはアマネ、なんちゅう速射と命中率だよ」


 ビロースが隣で口笛を吹く中、俺は準備していた五本の矢を放ち終え、新たに三本の矢を矢筒から取り出す。


「ビロースも手伝えって。あいつらもそろそろ混乱から回復するはずだ」

「なら向かって左端をやっちまうか」


 ビロースが鉄の矢を出して狙いを定める間に、俺は二本を放つ。

 ビロースが矢を放つと同時に俺も三本目を放ち、九匹のビーアントは何もできないままに壊滅した。

 もっとも、相手は虫だ。急所を射抜かれてもしばらくは生きている。頭を射ぬかれ、もがいていたビーアントが力尽きたのは十分ほど後のことだった。


「アマネの速射はいつみてもすげぇな」

「師匠のジェインズなんて俺の倍は早い」


 冗談抜きで目にも留まらぬ速度で弦を引き、放っていくのだ。狙いをつける時間はコンマ何秒もないくらいだろう。コンマゼロ何秒の世界だ。

 ビロースがロープを取り出してビーアントの首に繋いでいく。体長一メートルと大きなアリだが、飛行できるくらいに軽い。三匹くらいなら俺でも引きずって行ける。


「アマネは三匹な。残りは全部引き受ける」

「相変わらずの馬鹿力だな」


 俺の倍を引きずる気だよ、こいつ。

 俺もロープでビーアントを三匹くくり、引きずりながら公民館に向かう。

 半壊した巣を横目に、午後の予定を考え、ビロースに声を掛ける。


「これを公民館に運び込んだら、バードイータースパイダー退治に行こう。あの半壊した巣も回収しておいた方がいいかな」

「了解だ、村長。これからよろしくな」

「こちらこそ、期待してるよ」


 魔虫狩人としての実力はビロースの方が上だろうし、有事の際で一番の戦力になってくれるのもビロースだ。

 なにより力がある。いまの村に力持ちの存在はかなりありがたい。

 俺たちはビーアントを引きずって無事に公民館に帰還し、土入れの最中だったリシェイやメルミー達に出迎えられた。



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