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クイックとスロー

 倉庫から抜け出し、2人はボールを抱えた状態で辺りを警戒しながら、門へと向かっていた。


 だが、既に原動機の狂犬は倒れているので、今のところは襲われる心配はない。


『あのさ、闇雲に進んでる様に見えるだけどさ……? 合ってるんだよね……? この道で……?』

「さぁ……? 出口の門なんて、どこにあるかほんとにさっぱりさらっさらだぜ?」

『ち、ちょっ!? 何考えてんの!? わたしはあんたに着いて行ってんのよ!? ほんとに迷子じゃないのよ!』

「知らねぇよ……。俺だって、訳が分からないんだから……。ていうかさ……学校にこんな道なかったはずだぞ……?」


 2人が進んでいる所はまさに迷路そのものだった。右に行っても、左に行っても、分かれ道だらけ。たまに曲がり角がある。難易度を10で例えるなら7の難易度であろう。

 割と壁が高い為、上ることは困難で行く先も暗い。


『あぁんっ! もぉっ! わたしは早く帰って、お風呂に入りたいのよ! そこそこ歩いたし、汗かいちゃったわ……』

「ま、まぁまぁ……落ち着けって……? そう焦っても、道は見えないぞ……?」

『何言ってんの? 進むからこそ、道は切り開けるものでしょ!』

「先走ると死ぬかも知れないんだぞ……? 死に急ぐつもりか……?」

『し、死ぬのはごめんだけど……。早く帰りたいの! それだけ!』

「わかった、わぁかったから……。とりあえず、落ち着いてくれよな……? 少しぐらい、遅くても問題はないだろ? 奴は今、来てる様子はない様だしな……?」

『あんたが落ち着き過ぎなのよ……。確かに原動機の音は聞こえないけどさ……。さっきも聞こえなかったじゃん……? わざと止めて、尾行してるのかもしれないわよ……?』

「どっちもどっちなんだよなぁ……。お互い、正しいかなんてわからないし……」

『まぁ、もうゆっくりでもいいわ……。尾行されてない事だけを祈って、進みましょ……』

「そ、そうだな……! ゆ、ゆっくり急ごうぜ!?」

『そうね……。ゆっくり急ぎましょ……』


 そんな会話をしながら、2人は迷路の出口を探していた。そして、原動機の狂犬はまだ倒れているのであった。

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