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スウィートとビター

 少年の爆笑がようやく治まると再び、元の静けさが戻った。

「す、すまねぇ……。突拍子とっぴょうしも無い事でつい……ぷふっ……」

『笑ってんじゃないわよ。ばか。今のわたしたちの状況を考えなさいよ……』

「そ、そういや、隠れてるんだったな……。この雰囲気ですっかり忘れてたな……」

『しっかりしてよね……。それじゃぁ、そろそろ、外に出る方法を考えましょ?』

「そうだな! 何か武器になりそうな物が欲しいよな。金属バットとかドッジボールでもいいかもしれねぇな?」


 少年はウキウキしながら、辺りを探し始めた。まるで甘いものを探す女子の様であった。


『あのさ、1つ聞いていい……? 金属バットは分かるけど……。なんで、ドッジボールなの……? 野球ボールとかじゃないの? 普通は……』

「ば~か、こんな暗いのに野球ボールなんて使ってたら、全球ストライクゾーン外すだろが! 程よく大きいドッジボールの方が当てやすいだろ?」

『それはそうだけど……。そんなにたくさんは持てないわよ……? 1人3、4個程度しか持てないし、バットはどうするのよ……?』


 少女が不安そうに少年に問い詰める。その表情は苦いお菓子を食べて、必死に堪える様であった。しかし、少年はちゃんとした計画を持っていた。


「心配すんなって! 紐でバットをくくり付けて、ボールはいくつかは障害物代わりにするんだよ。そんでもって、いくつか転がしたら、反撃に投げるんだ。遠距離なら手持ち武器なんか怖くないだろ?」

『な、なるほど……。意外と冴えてるわね……』

「だろ~? バットは4本持っておけば、二刀流だってできるぞ~!?」


 少年が徐々にはしゃぎ始めた。求めていた甘いスイーツ店に入ったかの如く。少女はそれを見て再び、苦い抹茶を飲んだ様な顔で察した。


(あぁ、それがしたかったのね……)

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