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2人は日にちも曜日もわからない時を倉庫でを過ごしていた。しかし、互いに協力し合い、無事に学校を脱出する事が出来た。そして、走って、逃げ込んだ先は町内の公園であった。


 辺りは真っ暗で街灯だけが彼らを明るく照らしている。



『はぁ……はぁ……はぁ……ふぅ……。何とか逃げ切ったのね……?』


「どうやら……そうみたいだな……はぁ……」


 少年は安著の息を付くと近くのベンチに座った。



「ったく……とんだ1日だったなぁ……。日にちも曜日もわからねぇし、ジェイ……なんだっけ……? そんなやつが来るし……。門は刃物だらけだしよ……」


『ま、まぁ、出られたんだからいいんじゃない? あ、それより、何日か思い出せる様になった?』


「何日……あれ……? 金曜日って事なら思い出せるんだが……。ま、まさか、金曜日って……今日は……」


『はっ……! 何日か思い出したわ……!!』


「ま、マジかよ……!? 聞くのが怖いけど……何日だ……?」



『今日は……今日はね……』



 少女が発言を躊躇ためらう。それほど、恐ろしい事なのだろうかと少年は徐々に不安になっていく。




『今日はぁ……じゅう……』



「うわぁあああっ!! き、聞きたくねぇっ!」


『きゃっ!? び、びっくりするじゃないの!? いいから聞きなさい……! 今日は11日よ……』


「へっ……? 11日……? 13日じゃなくて……?」


『わたしもそう思ったんだけど……。今は9月よ……。13日の金曜日は11月だわ……』



 それを聞いて、少年は目を見開き、大声で吠えた。



「はぁあああああああああ!!!? じゃぁ、あのジェイ……何とかってやつは何なんだよ!?」


『いやっ……わたしに聞かれても……もともと、そのジェイ……何ちゃらって言うのかもわからないし……』




 脱力したのか、少年は座っていたベンチに寝転んだ。

 


「な~んか……あほらしくなってきたなぁ……。追いかけられて、喧嘩して、逃げて逃げまくって……。疲れたな……」


『それには同意するわ……。でも、なぜかしら……? 倉庫にいた時の記憶が薄れてるような……』


「日にちと曜日の次は恐怖の記憶かよ……。なぁんか、どうでも良くなってきたなぁ……」


『ダメよ! 忘れちゃいけない事なんだから! 紙とペンある!?』



 少女は必死に問いかける。すると、しぶしぶだが、少年は胸ポケットを探り、何かを取り出した。


「あぁ、学生手帳ならあるが? ペンは……アンケートで使ったりするクリップで挟める鉛筆みたいなのがあるぞ?」


『学生手帳はともかく……なんで、そのクリップの使い捨て鉛筆があるのよ……。あるだけ助かるけど……』


 そういうと少女は忘れないうちにこれまであった事をとにかく、生徒手帳のメモにつづった。これ以上、あってはならないと思ったからである。




『出来たわ……! えっと……もう何の事かさっぱりわからなくなってしまったけど……。こんな事があったって、学園伝説になるわ……!』



「お疲れ~、今日は金曜日だよな? 明日は休みだし、もう暗いから、家に来るか?」


『は、はぁ……!? ほ、本気で言ってるの……!?』


「えっ……? 何か間違えた事言ったか……?」



 少年は疲れのあまり、考える事をやめていた。しかし、発言はかなり大胆なものであった。



『あ、あんたねぇ……彼女でもない女を軽々と呼ぶものじゃないわよ……。まだ逢って、半日も経ってないのよ……?』


「あぁ……まぁ、いいじゃん? 減るもんじゃないだろ? 逆に男が女の子の家に泊まりに行くってのが気が引けると思うがな……?」


『どっちもどっちよ……。はぁ……仕方ないわね……。今日は特別よ……』


「おっ? 来るか? そうと決まれば、さっさと行こうぜ? いつ、あいつが来るかわからねぇだろ?」


『それもそうねぇ……。じゃぁ、案内お願いね……?』



 そういうと、少女は少年の手を握った。


「んっ……? どうした?」


『べ、別に好きだとかじゃないわよ……? 道案内ではぐれない為対策よ!?』


「はいはい、じゃぁ、行くぞ」


『ぅ、ぅん……』



 少女は少年の背後で顔を真っ赤にしていた。



 その後、2人は無事に生還し、少年の家へ帰宅した。関係が深まるにつれて、いつしか恋人同士になっていた。そして、あの日以降、変な事も起きなくなり、今まで通りの平和な生活に戻った。

 少女がメモした紙を学校の掲示板にしっかりと貼り付けていたおかげであろう。抜かりはない。


 2人は「最愛カップル」と学校中で話題になる程、校内で有名な存在になった。いわば、リア充だ。





 そんな中で「最愛カップル」と呼ばれる2人を妬む生徒は多数いた。彼氏、彼女が出来ない生徒達にとっては妬みの的であった。

 少しずつ、その生徒が増えてゆき、2人の精神をじわじわと追い詰めていくのは、また別の話……


 ……リア充爆発しろ!(生徒達の思い)

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