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エスケープ トゥ ザ ゲート

 2人は剃刀と針だらけの門をテコの原理で持ち上げて、倒そうと試みる。


「準備はいいか? 一気に押さえつけるぞ?」

『いつでもいいから、早くしなさいよ……! 来ちゃうじゃない……!』

「それもそうだな……。よし、行くぞ? いっち……にぃの……さんっ!!」


 強くバットを押さえつけて、2人は門を持ち上げた。しかし、予想以上に門が重く、少ししか持ちあがらなかった。

 それどころか、金属のバットが剃刀に食い込み、今にも折れてしまいそう。これはかなりの苦戦を強いられた状態であった。


「くっそ……! バットがまるで歯が立たない! 逆に刃が立ってるから太刀打ちできないぞ……!」

『食い込む一方ね……。どうしようかしら……』

「このバットはもうダメだな……。もう3/4は切れ目が入ってるぞ……?」

『持ち上げる程、刃が出てくる仕組みなのかしら……? とりあえず、考えましょ……?』

「そうだな……」


 2人は一度、その場に座り、何か良い案は無いかを探していた。


『ここまでくると……お手上げって感じがするわ……』

「諦めんなよ! 考えてみろ! 持ち上げた時に何か下に入れるんだよ!」

『な、何かって……バットくらいしかないじゃないの……。ボールじゃ、真っ二つよ……?』

「じゃぁ、バットでいいじゃんか! それ以外に今は方法がないだろ!? こんなの木だって、すぐに切れるっての!」

『はぁ……猪突猛進に言ってくるけど……。それしか、今はなさそうね……』

「そうだろ? たぶん、この剃刀も3/4までなら切れるみたいだし、積んでいけば、いずれは倒れるさ!」

『どうやって、そこまで見抜いたのかしらね……。ちょっとは良いとこあんじゃん……』

「へんっ! あったりまえだっての! こっから、2人で出る為に精一杯考えたんだからな?」


 少年の頭の回転に正直、驚きを隠せない少女。また少し、心が少年の方へ向いていった。


「どうした? ボーっとしてるが疲れたか?」


 少年は少女を心配して、声をかけた。その問いかけに少女は少し驚き、


『ひぇっ……!? な、なんでもなぃ……』

「そうか? ならいいんだが……? じゃぁ、始めるぞ!」

『ぅ、ぅん……頑張って出ようね……?』

「当たり前だろ? 出るってもう言ってんだからさ!」


 少年はニカッと笑い、笑顔を見せ、少女を安心させた。


「そうと決まれば、早くスタンバイするぞ? バットを門の下に突っ込んでくれ」

『あっ……ぅ、ぅん……!』


 少女は金属バットを門の下に先端より少し奥に入れた。それを少年が持ち上げ、ドッジボールの上に乗せて、スタンバイが完了した。


「さて、テコの原理が完了したぞ! ここからは1発勝負だ……。1本ずつ、バットの先端を最初のバットの下に置いてくれな? 徐々に持ち上げていく寸法だ」

『崩れない様に積めばいいのね……? バランス感覚はある方よ! まかせて!』

「ふっ、頼りになるな……! よし、行くぞ? いっ……にっの……さんぅっ!!」


 少年がテコの原理で持ち上げる。そのかんに少女がバットを下に入れる。そして、また持ち上げて、またバットを違う方向から入れる。その繰り返しであった。

 バットはおうぎ状に入れて、崩れない様に考えて入れいく。バットの高さが高くなるとボールを土台にして、バットを追加していった。


「もう……少し……!」

『わ、わたしも手伝う!』



「『せぇーーっのぉっ!!』」



 2人が協力して、テコのバットを押し、ついにバットから門の脚が離れた。そのまま、校門の出口に向かって倒れた。



 ガタァーーーンッ!!!



 物凄い金属音に2人は思わず、耳を塞いでしまった。


「うわっ! うるせぇなぁ……! でも……ようやく、開いたな……」

『はぁ……はぁ……、やっと開いたわね……。これで出られるのね……!』


 その時、後ろから原動機の音が聞こえてきた。ドルゥンドゥルンッと音が門に近づいてくるのが分かった。


「やっべ!? あいつに気付かれたんだ! 急ぐぞ!」


 少年は必死に少女の手を掴んで、門を飛び越えて、脱出した。


『わ、わかったから……! そんなに急がないでよ……!』


 逆に少女は引っ張られ、体勢を維持するので精一杯。しかし、少女の顔はどこか嬉しそうであった。



 なんだかんだとありながらも、なんとか脱出することが出来た2人は近くの公園へ休む事にした。

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