ゴール トゥ イン
歩き続けて、15分が経った。徐々に目標の門が見えてきた。
「おっ? ようやく、門が見えてきたぞ!」
『ほんとにようやくね……。ここまで来るのに苦労したわ……』
2人は安著の息を付いた。そして、さらに歩み続けた。
「あの物騒なやつもいないし、このまま出られそうだな?」
『まぁ、パッと見はそんな感じだけど……。警戒は解かないでよね……?』
「あぁ、すまねぇ」
『ふぅ……ほら、さっさと出ましょ?』
ペースは変えないまま、門へ進んでいった。
「んっ? 門の上に何かないか?」
『何かって何よ……? 確かにあるけど……』
「何か大量の棒がいっぱいで……よくよく見ると先っぽが鋭い様な……?」
『それって……針山じゃないの……?』
「マジすか……! どこまで妨害するつもりなんだよ! あんにゃろぉ!」
『とにかく、門を開ければいいのよ! ゆっくり急ぐわよ!』
「応よ! あんな針山ぶっ潰してやる!」
2人は門へ向かって、ゆっくりと急いだ。少年は常備していた金属バットを装備し、ようやく、門へ辿り着いた。
「はぁはぁ……やっと着いたな……」
『はぁ……ふぅ……そうね……。でも、まだ終わりじゃない……』
「そうだな……。さて、針山つぶしをしますかねぇ」
『わたしも手伝うわ……』
少女も常備していた金属バットを装備して、針山を見つめた。
「どう潰す? 横に折り曲げるか? それとも縦に潰して、先を丸くするか?」
『わたしの身長じゃ、先を潰せないわ……。横でも縦でもいいから、折り曲げるわよ!』
「よっし、まかせろ! おりゃっ!」
ガンッ! ガンッ!
少年が大きく振りかぶり、針山に攻撃する。
大きな打音が辺りに響き渡る。しかし、予想以上に針山は堅かった。
「ちっ……ダメか……。潰れやしない……。それどころか、バットが穴だらけだ……」
『じゃぁ、門を持ち上げて、押し倒すなんてどう?』
「それはいいんだが……」
少年は言葉に悩む様に黙り込む。
『何よ? 早くするわよ?』
少女が門の下を持ち上げようとした時だった。
「ちょっと待て……! そこに触るな!」
『えっ……? な、何……?』
少女は手を止めた。いきなりの事で驚く少女は戸惑った。
『な、なんで、止めるのよ……?』
「よく見てみろ……。剃刀がびっしり貼り付けられてる……。もし、そこを持ったら、大怪我してたぞ……」
『ほ、ほんとだ……。よく気付いたわね……?』
「バットを振り下ろした時に何か見えたんだよ……。刃物の様なものがな……」
『それをもっと早く言いなさいよ……』
「仕方ないだろ……。確証はなかったんだから……」
『とりあえず、助かったわ……。でも、どうしよう……』
悩む少女に少年は言った。
「テコの原理を使えばどうだ? それなら、危なくないし、楽に倒せるぞ」
『よく思いついたわね……。その発想まで辿り着かなかったわ……』
「冷静に考えた結果だよ。物は試しだ。やるぞ!」
2人はバットを門の下に入れ込んで、持っていたボールを使い、テコの原理を利用して、脱出する事を試みる。