ホラー無いと
――ハァハァ
とある学校の倉庫に2人の少年少女が息を切らせ、隠れていた。
2人は何かに追われて、なんとか振り切った様子だった。
「くそっ……なんて日だ……。変な奴に追い回されて、学校から出る事すらできねぇなんてよ……」
『そんなのわたしだって、同じ気持ちよ! 訳が分からないわよ……。いきなり、チェーンソーのようなもので襲いかかってくるんだもの……。パニックにならないはずがないわよ!』
「しっ! 声がでけぇっての! 奴に気付かれるだろうがっ!」
『ご、ごめんなさい……。わたし、パニックになるとつい声が出ちゃうタイプだから……』
「それは個人的なものだからよ。致し方ねぇことだ……。とりあえず、深呼吸しろ……?」
そう言われ、少女は深く息を吸い込んで、咽せた……。
『げっほげほっ! ごほっ!』
「お、おぃっ!? 何やってんだよ!? 奴にバレんだろ!?」
少年は背中を擦りながら、焦っていた。
『ご、ごめん……。なんだか、すごく埃っぽくって……。』
「あぁ……そういやぁ、ここってあまり管理されてない倉庫だったっけなぁ……。くそ……。とんでもない所に逃げ込んだもんだよ……」
そんな会話をしている時だった、外から原動機の大きな音が聞こえた。
『ひっ!? き、来たぁっ!?』
「お、おぃっ! 落ち着けっての! 奴が通り過ぎるまで静かにしてろよ……」
『っん……っんぅ……』
少年の指示に従って、少女は自らの口を押えた。しかし、原動機の音は少しずつ、倉庫へ近づいてくる。
2人の緊張感は徐々に高まっていった。