抜け殻
ぷつり、ぷつり
1本、また1本と髪を抜く。
ぷつり、ぷつり
痛すぎず、それなりに抜くのに力がいる髪は、抜くのにとても最適だった。
ぷつり、ぷつり
髪には力が宿ると、昔は考えられていたらしい。今でも髪を切ることで気分が変わると思われているのだ。髪には、何かしら籠っているに違いない。
ぷつり、ぷつり
だからこそ、抜くのに最適だった。
ぷつり、ぷつり
1本、1本、抜くごとに何かが抜けていく。自分の中の、何かずしりとしたものが、髪を抜く度に抜けていった。そしてだんだんと抜くことに集中していく。
ぷつり、ぷつり
ぷつり、ぷつり
ぷつり、ぷつり
ごみ箱が、髪だらけ。私の抜いた髪でいっぱいだ。
全て自分の中にあった、気持ち悪いものの塊。とても汚いものにしか見えない。
ぷつり、ぷつり
また、抜く。全て無くなるまで。
ぷつり、ぷつり
自分の中の、全ての自分を抜き出すまで。ずっと、ずっと、抜き続ける。
ぷつり、ぷつり
全部抜けた時、ハゲてないと良いな。
ぷつり、ぷつり
ぷつり、ぷつり
ぷつり、ぷつり
ぶちっ