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第41話

「からあげ揚がったぞー」

「はぁーい」


 今日は祭りだ。審査員は昼からなので俺は屋台で唐揚げを揚げている。 アリスとマリアさんとタバサさんが売り子をしてくれてるんだが…メイド服を着ているから可愛いねぇ…

 ミナは屋台で手伝ってくれてるんだな。 身長足りないから揚げ物は俺だけでやってるんだけど。


「だー! 暑い! 揚げ物は熱いし暑い!」

「ソーマ兄ちゃん頑張って揚げないとお客さん待ってるよ」

「ミナ…暑いんだよー!」


 料理人すげーな…俺は少しだけ揚げただけで暑くてやってらんないぞ…




☆★☆★☆★☆★☆★☆




「んじゃ審査員に行ってくるかなー」

「お疲れ様。片付けはしとくから言っておいで」


 客を捌いて屋台は何とかやり遂げて、片付けはマリアさん達に任せて俺は一人で会場へと向かう。

 みんなはきっと後から来るだろう。


「あー…人多いなぁ…」


 ザワザワと賑やかな街中を俺はのんびりと歩いて行く。 あ!カップルとか居るな…爆ぜろ! 魔法使ったら物理的に爆ぜるので心の中だけに留めておこう。


 んで会場に何とか到着。 審査員は俺含めて5人だ。 領主の変態隊長の兄と…他は知らん。

 適当に挨拶して俺は席に着いた。

 ふふふふ…この日の為に会場にとある仕掛けをしたのだよ。 変態隊長の兄には許可を貰ってるから大丈夫。


 だらだらとカッコいい選手権が始まるまで待つ。 人見知りするから知らない人とあんまり話さないから…待ち時間は暇だ… ゾロゾロと人が入り始めてカッコいい選手権が始まる…


「それではこれよりカッコいい選手権を始める! 審査員はここに居る5人だ」


 一人ずつ観客に向かって挨拶をする。娯楽の少ないこの世界…アホらしい企画だが十分楽しめるだろう。

 うんたらかんたら話してからいよいよ始まる! 

 さあ! 一人目の入場だ!

 


「それでは一人目! 風神のエリックぅうう!!」

「「わー!」」


 ノリノリで領主さんがマイクパフォーマンスをする。いや、マイクないよ?言い方知らんし!そして最初は変態隊長だ…ふふふふ。


「ふははははは!」


 シャー


 変態隊長が舞台の右からスケボーに乗って腕組んで仁王立ちしてからやってくる。


 シャー


 そのまま舞台の左に消えていく…あれがカッコいいと思ってるのかアイツは…


「ふははははは!」


 シャー


 今度は舞台の左から右へ消えていく…そしてまた右からスケボーで出てくる。


「ふぅぅうじんのぉおおお…」


 奴が舞台の中央に近付いて来たので俺は横にあるレバーを倒す。


 ガコン…


 レバーを倒すと同時に舞台中央がパックリと割れてそこに変態隊長が落ちていく…


「まぁあああああああああーー」


 バシャーン


「はいっ!っというわけでカッコよくない場合は落とし穴に落ちてもらいます」

「ふうじんのまーってなんだよ!」

「ひひひ! 落ちる瞬間の顔おもしれーな!」

「ままー…あの滑る板ほしー」

「えりっくぅううううーー」


 最後のマリアさんだな…

 落ちた瞬間から笑い声とか聞こえたから落とし穴は成功だな!

 あれ?カッコいい選手権だったよなこれ…お笑い選手権じゃないのか…


「それでは2人目! 切り裂きサックぅうう!」


 中央に肉を置いて両手に持った包丁で瞬く間に肉を解体していく…おぉ…すげー腕だな。

 この人は落とし穴には落とさないぞー!


「「わー!」」


 うんうん。最初の1人目の事はきっとみんなも無かった事にしてるな。んー…何点つけようかな…審査員1人の持ち点は20点だし…15点くらいにしておこう。これを基準に点つけてこっと。


「素晴らしい包丁捌きだった! 3人目! 港町からやって来た!3枚卸のバークぅうう!」

「「わー!」」


 2年前に魔導通信というのが開発されて、各町のギルドに置かれて通信のやり取りができるようになってるんだな。

 個人用に欲しいけどまだ小型化できてない…あったら携帯電話みたいに便利だろう。

 バークって人は祭りの為に港町からやってきたらしい…ご苦労さんです。


 マグロみたいなでかい魚をでっかい包丁でズバッっと3枚に卸す。サクサクって感じじゃなくてズバッって感じに横一閃だ…17点にしておこう。


「4人目は裁縫のディアンヌぅううう!」

「「わー!」」


 次に出てきたのは綺麗な姉ちゃんだ。裁縫か… 布を2枚空中に投げてそれを…右手に持った針でスパパパパパっと縫って行く。 なんなの?右手が見えないんですけど…てか空中で縫えるってどんだけだよ…


「すごーい」

「おねーさまー」

「俺も縫ってくれー」


 マリアさんもおねーさまって呼ばれてたけど…多いのかそういうの?

 19点にしとこ。


「5人目は鳳凰のユナンーー!!」


 舞台の端から走って来てジャンプ!そのままクルクルと回転しながら舞台中央に着地! 

 …する前にレバーを引いた。


 ガコッ



 バシャーン!



 一言も発する事もなくユナンは落とし穴に落ちていった…ドッっと観客が沸く。

 うん。ユナンいい仕事したな! 俺…後で怒られそうだな…鳳凰落ちって名前つけてごまかせばいっかな…


 んで次々と人が入れ替わる。すんげー!ってのがないなぁ…あ、カッコいい選手権か…すごい選手権じゃないんだよな。


「残り3人となったが楽しんでもらえてるだろうか?」

「「わー!」」

「それでは14人目! 貴公子ナルシー!」


「きゃぁあ!」

「ナルシーさまー」

「こっち向いてー」


 金髪でふわふわな髪したイケメン兄ちゃんが出てきた。


「ふっ。騒がれている私…カッコいい」


「「きゃぁああ」」 


 髪をかきあげて…


「髪をかきあげる私…カッコいい」


 くるくるその場で回転して…


「回転している私…カッコいい」


 まだまだ回転して…


「ぐ…酔っている私…カッコいい」


 これは…アホだな。 レバーオン!


 ガコ!


 バシャーン!


「「ナルシーさまー」」


 キッとこっちを睨んでくる女たち…こええよ…だってダセーじゃんよー!


「落ちる私…カッコいい」


 落ちたのにこっちに聞こえるくらいの声量で言うとは…



「それでは15人目!仮面のクラインーー!」

「「わー!」」


 テクテクテクと舞台端から中央へと歩いてく。するとクラインは舞台に背を向けた。

 そして…振り返り…


「クライン…俺の名はクライン・マーラー」


 ガコン!


 

 バシャーン!



 イラっとした。 他の人はどうかは知らないけど、名前言って本名呼び…くそダセェよ。

 浸透しすぎてダサく聞こえるだけかもしれんが…とにかくダサい!

 ドッっと観客が沸いたから他の人もきっと同じ気持ちだったんだろう。

 

「最後は小さな妖精ミナぁああ!」


 !! え!?ミナが出るって聞いてないんですけど!


「わーははははは!」


 シャー


 舞台の右端からスケボーで滑ってくるミナ…


「わーははははは!」


 シャー


 今度は左端からスケボーで滑ってくるミナ…


 俺には…レバーを倒せない…チラッチラッっとこっちを見るミナ…


「スリ滑りぃぃいい!」


 こら! スリネタは直しなさい! くそ…


 ガコッ!


 バシャーン!


 めっちゃいい笑顔で落ちていったぞ…


「わーはははははは!」


 ミナ…どうして残念な子になってしまったんだ…

 変態隊長のせいだなきっと…




☆★☆★☆★☆★☆★☆



 優勝は裁縫のディアンヌ。うん。カッコよかったから妥当ですな。

 んで祭りは終わって家で打ち上げ中なのだ。


「「かんぱーい」」


「しかし変態隊長…あのスケボーで滑るのは…ないわぁ。うちのミナが真似してんじゃねーか」

「む。 あれはカッコいいではないか」

「あー!そう言えばソーマ! 僕は出落ちとかひどいじゃないか!」

「ユナン…あれウケてたぞ?」


 適当に話ながら、わいわい騒いで打ち上げを楽しんだ。



 取り敢えず言えることは…カッコいい選手権は…ないわぁ…



 おもろい選手権にしてほしかったなぁ…



 こうして何とも言えない祭りの日は終わった。





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