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第28話

 ドライブしてたら剣聖の息子とか言うやつに軽トラ破壊されて歩いて帰ってるんだけど…


「出たなゴブリン!この剣聖の息子ユナン・ジール・クラインが貴様を屠る!」


 帰ってるんだけど…


「出たな!オークめ!この剣聖の息子ユナン・ジール・クラインが貴様を屠る!」


 うん。


「出たな!ボーンレス・ハムスターめ!この剣聖の息子ユナン・ジール・クラインが貴様を屠る!」


 こいつ…


「出たな!」

「アホかぁああああ!!」


 こいつかなりのアホだ…いや…薄々気付いてたんだけど…車見て、魔物は…まぁ良しとしよう。見たことないからな。 でもね? なんで魔物に名乗ってるの? 剣聖の息子アピールすごいし!


「ユナンくんユナンくん…どーして君はそんなにバカなんだい?」

「なっ!何を言うんだソーマ!僕のどこがバカだって言うんだ!」

「んー…全部? ねぇ?なんで魔物に名乗るの? ねぇ…なんで剣聖の息子って一々言うの?」

「そっ…それは! その…僕が剣聖の息子だからだ!」

「意味分かんねー…親の名で相手ビビらせたいだけじゃん。 でも魔物に言っても…まさか!それすらもわからなかったのか…」

「うぅ…僕は…僕は父みたいに強くないし頭も良くないし何やっても失敗するし、そう! 虚勢を張りたいんだ!」


「あーちゃんあーちゃん。あの人に人差指むけてー。ばーかばーかってやってごらん」

「ばーかばーか。しねー」

「!! あーちゃんどこで死ねとか覚えたの!? 誰だ教えたやつは!」

「おにーちゃんがいつもいってるよー?」

「!! ゴメンネあーちゃん…死ねって言ったらダメなんだよ?ねっ?」

「あ…あの…虚勢が…はりたいんだー。聞いてます?」



 バカは無視してテクテク歩いていく。 んー…魔物倒してるの見る限り…強いと思うんだけど…バカすぎる。勘当されたって言ってたが…バカすぎてなのか?


「出たな!ウルフ」

「それもういいから…てかやめろバカ」


 

 パチパチパチ…



 夕方になり野営の準備…俺がストーンウォールで簡易の小屋作ったんだけど。まぁ野営の準備して焚火をしている。

 やっぱ焚火はいいねー。旅って感じで。 旅の予定は無かったんだけど!


「で、なんでそんなにバカなの?」

「ばーかばーか」

「あぁ…あーちゃんが言葉を覚えて使いたい病にかかってしまった。でもユナン相手ならいいか」

「止めてよ! うぅ…そんなに…バカかな?」

「うん。かなり」

「ばーかばーか」

「僕には…2人の兄が居るんだ」

「あ、やべ。語りだしちゃった」

「ばーかばーか」

「一番上の兄は父の才能を受け継いでる人で剣の腕もすごくて頭もいい。次期剣聖とまで言われているんだ。 そして次男も才能があって若くして騎士団の副団長をやっている。 だけど…だけど僕は…才能が受け継がれて無いのかどれもパッとしない…頭も…ソーマに言われたように…よくない。 でも!でもね!僕だって努力してるんだ! 模擬戦もいっぱいして腕を磨こうとした! ああ!勘当された話だったね? この見聞の旅に出る前に試合をしたんだけれど、相手の攻撃を喰らう度にちょっと…気持ちよくなってね。 うっとりした顔を…試合を見に来てた人に見られたんだ…そしたら父が…お前のような奴は儂の息子などでは無いって…ひどいと思わないか!?」

「ぐー…」

「くー…くー…」

「寝てるぅうう!!」


 うん。 寝たふりだよ…やだよ…この人変態だよ。ドMじゃないですか…剣聖の息子は変態。 …バカで変態…うわぁ。 剣聖に同情するわ…




☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 なんとかシルバードの街に到着してギルドへ。 あー…魔物出るたびに名乗るので直させました。 毎回言うので殴ったらウットリしてたのは…キモかったけど…



「へぇ…剣聖の息子さんねぇ…車を破壊して…あーちゃんを殺しかけた…ねぇ…」


 ゴゴゴゴゴゴゴ!!


 ギルドでマリアさんに報告しとこうと思い…言ったんだけど…怖い!

 アリスの事可愛がってるから当然だけど…怖いっ!


「すすす…すいません!ぼ…僕が全面的に悪いです!」

「とか言いながら威圧されてウットリしてんじゃねー!」


 叩かない。叩いたら奴の思う壺だ!!


「あー…まぁ…初めて車みたら魔物に間違えても…仕方ないかなー?一応助けてくれようとしたみたいだし。弁償と迷惑料で手打ちって事にしといたんで、マリアさん威圧収めてください。 逆に喜びますよ」

「ふぅ…仕方ないわね。 車の事は…口止めしたのかしら?」

「ええ。 バラすなとは言いましたよ」

「そうねぇ…バラしたら消し炭にしましょうか。うふふ」

「ひゃいっ!いいましぇん!」

「だからウットリすんなお前!」


「じゃ、明日の朝ギルド前に集合な!俺もダンジョンに行くわ」

「ソーマ。僕だけでダンジョン行くよ?」

「んー…どうやって素材とか持って帰るの?」

「僕はこの収納袋があるよ」

「何キロ入るの?」

「え?100キロだけど…」

「俺は1000キロだ。素材は俺が回収するわ。でも返済までは7対3な。 それでもかなり違うだろ?」

「うぅ…わかったよ。それじゃ朝に」



 ギルドでユナンと別れて家に帰る。アリスを抱っこしてクンカクンカして寝ました。ふー…ユナンがドMの変態とか…変態ってやだねー。 あーちゃんクンカクンカ。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




「はぁああ!!せいっ!」

「おつかれー。ユナン十分強いじゃん」

「ふぅー。ありがとうソーマ。でもそれならなんで勘当されたんだろ?」

「いや、明らかにお前が変態だからだろ」


 俺達は今20層に居る。 ユナンが強いのだ…俺は素材を回収してるだけ…。これで7割貰える俺…何て楽に稼げるんだ…


「キツいなら俺も手をだすけど?でも俺弱いからねー」

「じゃあ次の階層から手伝ってよ。 ソーマが弱い? 魔闘気使ってたじゃないか」

「あー…使えるだけさ。 俺Hランクだし」

「Hランク!?」

「上げてないだけなんだけどねー」

「上げてないだけ…何で上げないの?Aランクとかになったら有名になれるよ?」

「あー…そういうのマジ勘弁なのさ。過度な期待されて精神ガリガリ削られるとか最悪…ユナンなら…わかるんじゃないか?」

「…過度な期待…か。そうだね。剣聖の息子だからできるだろ?剣聖の息子だから…剣聖の息子だからって…言われてきたよ」

「だろ? 高ランクなったら…Aランクだからやってよ!とか嫌だよ。だらーんとしたい。 ユナンは剣聖の息子ってのに囚われ過ぎ。 ユナンはユナンでいいじゃん。勘当はキツイだろうけど…今の立場はすげー楽なんじゃないの?気楽にいきなー」

「…うん。 僕も…気楽にやってみるよ」

「あ、でも借金返すまではキリキリ働け」

「あはは…わかってるって」



 ドッタッドッタッ!


「ねぇ…ソーマ。下降りる度に言ってるそれ…なんなんだい?」

「これは階段を上り下りしてますよー!って合図だ!」

「へ…へぇー。変わってるねー」

「…次からユナンもやれよ!」


 只今21層。 単独で20層まで降りれるユナン…すげーな。俺…ゴブリンとキャピキャピしてただけなのに…

 まぁ、今なら魔槍もあるし魔闘気も短時間なら使えるし…行けた…んじゃないかなー?


「ん? この層は…ゴブリンソルジャーだな」

「言ってた索敵ってやつかい?」

「ああ。 言うなよ?マジで消し炭なるぞ」

「あはは…言わないよ。しかし便利だね」

「ウットリしながら言うと説得力ないぞ」

「マリアさん? の威圧を思い出したんだ…いいなぁ…」

「キモイッ!」




「雷光! ちっ! さすがにゴブリンソルジャーだと弱い魔法は雲散するか!」

「ソーマ!そっちに1匹行ったよ!」

「わかってる! 炎槍!!」

「ゴブホォオオオ!」


 ゴブ太郎の兄貴分には弱い魔法は効かない…魔力を多めに使えばいけるんだろうけど、継続戦闘に難が出るしなー。魔力ポーション高いし! ナビレットで何かないか探しとこう!!

 あとゴブリンソルジャーの死に方が…カッコいい…穴に落ちる悲しい顔しか想像できなかったから尚更だ!


「はぁあああ!!光刃斬!」

「くらえ! 風槍!!」

「ゴブッシャァアアーー」

「ゴファァアアアアーー」


 うん…死に方が…カッコいい…


「ふぅ…今日はこのくらいにしとくか」

「そうだね。無理して怪我したら稼げなくなっちゃうよ」




「おぉぉ…一日でこんなに稼げるのかぁぁ…」

「僕も3割だけど…ソーマの収納あるから、かなりの稼ぎだよ。これならすぐ返済できるね」

「おぉぉ…」

「あれ? 聞いてる?ソーマ?」


 ふふふふふ…一日で…60万マニですよ奥さん…薬草ちまちま採ってた頃が懐かしい…高ランク冒険者はどれだけ稼いでるんだ? …その分、武器とかベラボーに高そうだけど。ユナンいるから魔物殺るのも楽だし…魔物単体が強いから魔力吸収もいいから肉体強化いい感じだろうし… 魔石の魔力吸収も…やりたいなぁ…換金分が無くなるけど…



 そんな事を考えながら乗合馬車でパッカパッカと帰っていく。


「あー…そうだユナン。家で飯食ってくか?」

「…いいのかい?」

「ああ。 一時だけかもだけど相棒だしな。予想以上の稼ぎだし…まぁ、家で風呂入りな。 拭くだけじゃ…臭いよ?」

「えっ!? 僕臭いの!? 確かにお風呂入ってないけど…ってお風呂あるの!?」

「作ったんだよ。 拭くだけとか耐えれないし。頭痒いし。臭いし」

「くっ…臭いのか…自分では分からないからなぁ…じゃあ行くよ!」


 そうして俺の家にユナンを誘い帰る。今日はマリアさんにアリスを見て貰ってるから家にマリアさん居るな…




「「わーい」」

「ふははは!我のけん玉裁きはどうだ子供達よ!」

「「すごーい」」


 うん。あいつも普通に居るのね? 領主の弟よ…それでいいのか…


「む? ソーマ氏。帰って来たか。遊ばして貰ってるぞ」

「怖いよ。俺は変態隊長が怖いよ」

「む? そちらの少年は?」

「あ、コイツ無視しやがった」


「初めまして。僕は剣聖…いや、僕はユナンと言います」


 おぉ…成長したなユナン。 それでいいんだ。


「我はエリックだ。マリアさん見守り隊隊長だ」

「お前もっと違う紹介の仕方あるだろーが!!」

「あ…あの! マリアさん見守り隊というのは?」

「フッ。 コッソリマリアさんを見たり、罵られたい者、踏まれたい者の集まりだ」

「しまった! 本物のバカがここに居たの忘れてた!!」

「ぼ…僕も入れてください! あの威圧を受けた時僕は…僕は…」

「フッ。 よかろう。それではユナン。会員番号777を授ける!」

「増えてるぅう! しかも縁起いぃいい!!」

「これでっ…僕も威圧を受けられる…」

「ないからね? そんな権利、会員にないからね?」



「うふふふふふ…何か外が騒がしいと思って家から出てきて見れば…碌でもない話をしてるわねぇ…」


 やべっ! 本物登場だ…逃げろっ!


「ままま…マリアしゃん!わわ…我は…」

「ひゃっ!」


「エリックに至ってはソーマ君が前に良い様に言ってたから見方を変えようとしたけれど…それで…ユナン君だったわね…あなたも…そうなのね?」



 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!



「「わー地面が揺れてるよー?」」


 逃げなさい!遊んでる子供達よ!


「ちょっと…お仕置きが必要みたいねぇ?」

「わわわ…我は…」

「ひゃひゃっ…しゅごいっ!」


「逝きなさい!」


 もの凄いプレッシャーがマリアさんから放たれ…変態隊長とユナンは…よだれ垂らしながら気絶した…幸せそうな顔してる…  てかお前ら魔闘気で防げよ!!








 ソーマは変態を仲間にした。 ってね…







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