第1話 囲碁部の部長さんはとても笑顔
それは突然のこと。
*
いつも早めに登校するため誰もいないであろう教室に入ると、見慣れた顔の4人がそこに居た。
「早いね!おは……。」
「ねえどういうこと?」
仲の良い”いつメン”である玲奈、美咲、里緒、香奈。
……が、今私の目の前ですごく不機嫌そうに腕を組んでいる。
「え?あの……私何かしたっけ?」
いつメン――いつものメンバーと称した仲良しグループ。私たちのグループはクラスの中でもかなり目立つ、どちらかといえば華やかなクラス中心グループだった。ただ私は彼女達のように社交的で『何も怖くない!』みたいな性格ではないため、格好や話だけ合わせているだけだった。それが一番平和でいられる方法。校則は決して緩いわけではないが、スカートを上げて好みでもないピンクのカーディガンを着て華のJKを気取る。勿論好きでやっているわけではない。あくまで浮かないため、ぼっちにならないため。
特別目立つ場面もなく彼女達を不機嫌にさせるような言葉を吐く勇気もないというのに、一体何が起こったというのだ。
「うわ、知らないフリ?」
「嘘つきはドロボーの始まりでーす。」
「マジでありえないし。」
玲奈に加えて美咲や莉緒も口を挟んできた。
「いや、本当に分かんないって……。」
「なんで?自分が一番分かることでしょ。影で私らの悪口言ってたクセにさ。」
そこで香奈が一番鋭く冷たい口調で言葉を投げてきた。同じ仲良しグループだがなんとなく私のことをあまり好いてなさそうで話しかけづらいし特に接点も無いが……。
ていうか、悪口って何のことだろう。いや、ちょっと待て。悪口って何。
「何かの間違いでは……?」
「だーかーらぁ、」
玲奈が大声を上げようとした瞬間、教室のドアが開いた。
長い髪の――大和撫子の