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ウワサの日常ジジョウ!  作者: 影林月菜
第6章 ~本物ですか!? Stars7降臨の事情 もう一度言いますが、本物ですか!?~
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事情17 真希と驚きの頼み

 Stars7の新曲をついフルで聴いてしまったあたし達は、さっさと用事を済ませるために本来の目的を戻すことにした。

 センターコートの3階にあるファンシーな雑貨屋で、亜希の修学旅行に持参する必需品を調べた。

 「お姉ちゃん、旅行用の歯ブラシってまだあったっけ?」

 亜希が黒のハイソックスを探りながらあたしに尋ねてきた。

 「あれ~…、どうだったかな…確かほとんどボロボロになってたような気がする…」

 「そう。後で買おうかしら。とりあえず会計済ませて来るわね」

 そう言って亜希はレジのある列へと並んだ。

 そう言えば全員分の所持金なんて聞いてなかったな。念のためレジの出口に行こう。

 あたしは亜希の所持金が気になってたので、一応レジの出口へと歩いた。着いてみると、ちょうど亜希が会計するところだった。

 「2900円です」

 2900円んんんんんんんんんんんん!?

 「ちょっとすいません!」

 聞き捨てならない店員の声を聞いたあたしは、急いで亜希が持っていたカゴの中身を探り始めた。

 「ちょっと何すんのよお姉ちゃん」

 亜希の言葉には耳を一切傾けず何が原因か探してみた。すると見つけた。




 阿弥陀如来のフィギュア…?




 「亜希!何だこれは!」

 「何って、阿弥陀如来のフィギュア」

 亜希は何の問題もなさそうにすんなりと返答した。

 「何でこんなもんがあんのよ!しかもこれ1900円もするし、高いじゃん!」

 「旅館に飾ろうと思って」

 「とっとと返してこい!」

 あーびっくりした!何で無意味なことをすんだよ亜希は!!

 亜希は言われた通りに阿弥陀如来のフィギュアを元の場所へと返しに行った。

 「真希姉ー、亜希姉これ買ってなかったけどいいの?」

 優汰に呼び止められて振り向くと、折り畳み式のコームを手にしていた。

 「あぁ、それ亜希に聞いて」

 と言うと、優汰はさっと亜希のいる方へ向かった。が、しばらくすると優汰は亜希を連れて戻って来た。

 「真希姉ー」

 「どうした?」

 「コーム集めてるから買いたいって」

 「お前はどこぞの小学生女子か!」

 すると亜希は一瞬の間をおいて反論し始めた。

 「お姉ちゃんだってやってたじゃん、ペンケース収集」

 「昔の話だ!今はもうやってねーよ!」

 そんなこんなで修学旅行の必需品を買い終えたあたし達は、別行動していた猫目君、晴汰、紗希、健汰と3階のフードコートで合流した。よく見ると、猫目君は健汰を背負いながらぐったりしていた。

 「どうしたの猫目君!?」

 あたしが聞くと、猫目君は力なく釈明し始めた。

 「聞いてよ真希…。紗希ちゃんと健汰君に…俺の所持金…全部持ってかれた…」

 「持ってかれたって…まさか!?」

 「そのまさかだよ…。お菓子買わされたんだ…」

 あ~何てこった!!2人にあれだけ注意したのに…!!

 「健汰!紗希!お菓子は1人1つだけって言ったでしょ!」

 すると紗希がすかさず言い放った。

 「だってせーたお兄ちゃんが『真里兄さんは可愛くおねだりされると許しちゃう』って言ってたもん」

 「カモン晴汰。猫目君の目くじらを立てた罪で1ヶ月お小遣いあげないことにする。あと後で屋上の駐車場な」

 「冗談だろ!?」






 屋上に来るという冗談はさておき、昼食を摂ることにしたあたし達は席を確保してから人数を半分にしてから某ファーストフード店にて注文した。

 「そう言えばさっきのステージさ、結構いい曲だったよね~」

 猫目君がコーラを飲みながら呟いた。

 「あぁ、それ新曲らしいよ。確か…あい…何だっけ?」

 「『I believe in tomorrow』よ」

 「そう!それだよ亜希姉!あれってリーダーが作曲したんだよ」

 優汰が自慢げに説明すると、紗希が突然口を押えて苦しそうな表情を見せた。

 「どうしたの紗希ちゃん!?何か変なもの食べたの!?」

 紗希の隣にいた猫目君が慌てて様子を見た。それに応じた紗希はふるふると首を横に振った。

 「…ハンバーガーの中の辛子が辛いから残り食べて」

 それを聞いた一同はしーんと静まってしまった。

 「紗希!いつもハンバーガー全部食べてるでしょ!?何猫目君に好き嫌い見せつけてんの!」

 「だって辛子嫌いなんだもん」

 「…じゃあ残りは俺が全部食べるよ」

 苦笑いで紗希のハンバーガーを受け取る猫目君を見て、あたしはすぐに彼の右手を止めた。

 「猫目君!なるべく紗希を甘やかさないでくれるかな?」

 「わ…わかった…。紗希ちゃんごめん、真希が全部食べてだって」

 「やだやだ!真里パパ全部食べて!」

 紗希の我儘に困り果ててしまった猫目君は、助けを求めるようにちらっとあたし達を見た。それに察した晴汰が猫目君にそっと耳打ちをし始めた。

 「紗希に『言うことを聞かないとハッ●ーセットのおもちゃを没収する』と言えば大人しくなりまスよ」

 晴汰のアドバイス通りに言い放った猫目君に対し、紗希はむすっとした表情で黙って一口食べ始めた。




 「真里パパ、おもちゃつまんなさそうだからあげるよ。その代わりハンバーガー(これ)食べて」




 「それ自分で選んだでしょーが!!」

 猫目君が紗希の突然の発言にとうとう突っ込んでしまった。その後紗希は猫目君に軽く説教を受けたという。






 食後、午後にStars7のミニライブが始まると聞いてステージへと向かった。その時、健汰があたしの服の裾を引っ張って答えた。

 「真希ママ、おしっこ行きたい」

 どうしよう…。早くしないとミニライブが始まっちゃうし、良い席が取れなくなっちゃう…

 「真希、俺らは先に席確保してくるから健汰君と一緒に行きなよ」

 「ありがとう。そうさせてもらうわ」

 こうしてあたしと健汰は化粧室に向かった。

 用を足したあたしと健汰は急いで1階へと降りた。3階の化粧室から1階のセンターコートまでの距離は地味に長く感じたが、気づいてみたらステージは目と鼻の先だった。

 「もう少しだ!健汰急ぐよ!」

 その時誰かにぶつかって後ろに倒れてしまった。

 「真希ママ、だいじょーぶ?」

 幸い健汰に怪我はなかったものの、あたしは酷く頭を打ってしまった。

 「ごめんなさい!ちゃんと見てなくて」

 「こちらこそすいません」

 どこかで聞いたことのある男性の声がした。あたしとぶつかった男性はずり落ちたサングラスを掛け直しし、すくっと立ち上がった。

 見上げると、見たことのある顔があたしの目に映った。




 もしかして…




 「あれ!?お前理夏か!?」




 Stars7のリーダー・葉宮一憲だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!




 どうしてこんな所にいるの!?…ってそんな場合じゃなかった!!

 「ち…違います!人違いです!」

 そう言うと、リーダーはあたしの顔を覗き込んだ。

 「な…何ですか…?」

 近い!とにかく近すぎる!

 するとリーダーがぼそっと呟いた。

 「…似てんな」

 似てる…?一体何のことだ?

 「君、さっきは勘違いしてすまなかった」

 「いえ、あたしの方こそすいません」

 何だこの緊迫感は…?何かが起ころうとしてる…






 「厚かましい話かもしれないが、俺の頼みを聞いてくれるか?」

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