神崎弥生
「ストーカーか…、ストーカーって聞いてもピンとこないなぁ…。
ストーカーって精神が異常な人しかやらないでしょ、僕は精神状態サイコーだからね~。
でも……、好きな人が居たらそんな風になるのもわかんないね。
――狂うように好きになるのが恋愛だから……ね。」
朝の電車は混んでいる。
これは毎日通勤している会社員や学生はもちろん知っているであろう。初めて朝に電車を利用する人は驚くことだろう。そして思うはずだ、もう一生朝には乗りたくない、と。
だが、俺が乗る電車はいつも空いている。この地域は都会じゃないのでもっと田舎に向かう電車に乗る人は少ないのだ。逆に都会側に向かう電車……ちょうど今結衣が乗っているであろう電車は人がいっぱいなはずだ。
だから俺が今乗っている電車にはあまり人が乗っていない。毎日のことだがあまり人がいない電車に乗るというのは気持ちが悪い。昔、一度だけだが電車に俺しか乗っていないことがあった。あのときのことは思い出したくもない…。
そんなことを考えていると、一人の女の子が俺のほうに歩いて来て俺の隣に座った。
「……電車の中をウロウロしたらダメだろ」
「いいじゃん! あんまり人も居ないんだし!」
「朝からテンション高いな、弥生」
――その女は神崎弥生。茶髪で髪が短くて僕っ子である美少女。
「そうゆう蓮斗も相変わらずテンション低いね~、どしたの?」
神崎弥生は俺と同じ高校に通っている高校生。隣の市に住んでいる元気な女の子だ。
「俺はいつもどうりだ。いつもどうり弥生のテンションの高さを目障りに思ってるぞ」
ちなみに、弥生は高校のアイドル。去年の学園祭で行われたミスコンでは一年生ながらも優勝。美少女という言葉が似合う女だ。
ま、俺の敬愛する妹のほうが可愛いんだがな
「いつもそうだね~、蓮斗がテンション上がるのは妹さんの話をしているときだけだもん。僕も嫉妬しちゃうよ~」
「バカなこというな、俺ら付き合ってもないんだし嫉妬なんか」
「えっ?あ、違うよ! 友達としての嫉妬だよ!」
「そか、ならいいんだが…」
……てか友達としての嫉妬ってなんだよ。
――嫉妬に狂い、嫉妬に巻き込まれ、嫉妬に狂わされる。
それが人間だ。
その事実は変えられないだろう。現に俺も嫉妬に巻き込まれて妹が傷つけられた。
早く犯人を見つけねぇーとな…
「あぁぁぁぁぁぁーー!!」
弥生が叫んだ。自慢のアニメ声が電車内に響く
「おいっ!! 電車の中で叫ぶなって」
「だってだってだって!! 今思い出したけど今日朝礼だよ!!」
「はっ!? それ早く言えよ!! 時間ねーじゃねーか!! …弥生、駅に着いたら走るぞ!」
「わかった!!」
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