変態は幼女に会った③
僕が夕食を作るのに悪戦苦闘しているとジェーンが手伝うと言い出した。
お母さんからの手紙には、料理や家事はできないと書いてあったし、7歳の幼女に僕だってそこまで期待してるわけじゃないから、断った。
台所は旧式で子供には使いにくい勝手になっているから、やめておこう、そう僕が言えば、
「お言葉ですが、神父さまが作るよりは早く、美味しく作る自信はあります。それにこれ以上神父さまが作ると、食べる物がなくなってしまいますよ。」
「いや、確かにそうだけど、幼…子供に刃物をもたす訳には…。」
するとジェーンは、僕の言葉を聞かず包丁を持って野菜を切り始めた。
普通の未婚男は、こういう子供が言うことを聞かないと苛々するんだろう。しかし僕は(幼女に限り)こんな我が儘も可愛くみえる。
大人に認めて欲しいんだよね。“もう私、お姉さんだからできるもん!”そう彼女に言ってほしい。ぜひ。
料理ができるとかじゃなくても、オトナの階段は他にあるのにね。そのうち僕が教えてあげるよ。楽しみだなぁ。
思ったより、いやずっと、ジェーンは料理が上手かった。
もし怪我でもしたら、治癒魔法を使おうと思っていたが、全く心配ない。背中を見ていると、何故か母親や祖母が料理をしてる姿を思い出した。そのくらい手慣れていた。
ジェーンのお母さんは、謙遜してたのだろうか。でもこんなに上手いなら、自慢してもいいと思うけど。
僕は、この教会に来て一週間、初めてまともな食事をした。
ジャガイモほくほくだー!!この肉美味しすぎる!!
ジェーンを誉めちぎると、照れた笑顔でも返ってくると思ったのだが、返事は冷たいものだった。
食卓が静まり返る。
おかしいな。こんな空気になるとは予想外だ…。
ジェーンという幼女は、普通の幼女とは違う、そう感じ始めた。
まず、僕に対してずっと敬語を使っている。家の躾がいいのかもしれないが、普通の7歳児ならそろそろ口調が幼くなるはずだ。
それに、言葉遣いも子供のものじゃあない。すごく丁寧で、大人と喋っている気分だ。
作ってくれた料理を見ても、大人向けの料理。栄養バランスもいいと思う。
こ、こんなことできる幼女なんて
もはや僕が好きな、『幼女』じゃない。
まるで、
嫁じゃないか!!!!
(…こ、これぞ、本当の幼妻…)
そう思うと、ニヤニヤしてしまう。僕、一生結婚はしないと決めていたけど、この子となら…!
そう思って、ジェーンの方に顔を向けると、彼女は妖艶な笑みを浮かべていた。
「ジェーン…?」
幼女ができるような表情じゃない。しかし、僕はそんな表情にすら興奮してしまう。
顔に出さないように、我慢していると
「何でしょう、神父さま。」
と、先ほどの表情とはうって変わって、凍えるような冷たい目で僕を見てきた。今まで、こんな冷たい視線を幼女から浴びたことはない…!
神学校時代は、同級生はもちろん先生からもビシビシ浴びていたが、それとは全く違う。むしろ快感だ。
…快感?
僕は、この子の冷たい視線、冷たい態度に快感を覚えているのか??
そう認識した途端、顔が赤くなるのを感じた。
食事もし終わったので、ジェーンにはお祈りをしてくる、と言ってから急いで教会に向かう。神の前に跪き、お祈りをしていると気持ちも鎮まってきた。
主よ、やはりこれは試練なのでしょうか。
今まで感じたことのない気持ちに戸惑っています。
幼女に冷たくされて、快感だなんて、僕は変態なのでしょうか…。
しかし、仮に変態だとしても、この気持ちは止められません。初めてなんです。
幼女と一線を越えていい、なんて思えるのは。
あの子となら、結婚してもいいとも思えます。
(ただ、15歳を超えたらどうなるかは解りませんが…)
主よ、もしこの僕の気持ちを応援してくれるのならば、証をください。
彼女を5分以内に、僕の元に遣わしてください。
そうすれば、僕は頑張れます。
僕は時間を数え始めた。
すると、10秒もしないうちに、裏口の門がゆっくりと開く音がした。まさか、と思いこっそりと目を開けて音がした方向を見てみる。
彼女だった。彼女は、僕の様子をそっと伺っている。
ああ、ああ!!!神さま!!
僕を応援してくださるんですね!!10秒でジェーンが来るなんて 、どんだけ応援してるんですか!!
そうと決まれば、もう遠慮はしません!!
あの、冷たくて大人な幼女を必ず僕は手に入れてみせる!!
そしてお風呂に一緒に入って、一緒のベッドで寝て、〇〇〇〇〇〇だってしてやる!!!
背中に向けられていた、彼女の蔑んだ視線がいつの間にか消えているのに気づいた。もっと見てくれていいのに。
これから彼女と僕の、愛に溢れた生活がはじまるのだ!!
変態編、おわりました(*^^*)
ある一言を言わせたくて、書かせていただきました。ww
次話は
20日に更新します!