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冬空

作者: 湯豆腐
掲載日:2025/11/21

冬って良いですよね。

冬の空が澄んで気持ちがいいのは僕だけでは無いことでしょう。実際に冬の季節となるまで気がつかないことではありますけれど、やはり夏の空の湿った感じとは決して同じものではないのです。こんな風に空が変わるのはいつも11月に入ってからだと思います。「最近寒いね」だとか、「乾燥してきたね」なんてことを話題にする人のなんて多いことでしょうか。空が澄んでいることを話題にあげる人はこの世に少なくて、僕の周りにはいないのです。そもそも四季は日本特有であると聞くので、母数が少ないというのが理由としてあるのでしょう。それか性別なんてものも関係があるかもしれません。やはり男の子っていうのは、あんまり季節なんていうものよりも部活動だとか、ゲームだとかの方が好きであることが一般的であるでしょうから。僕がこんな風に空の澄んでいるのを確かめるのは決まって学校に向かってチャリンコを漕いでいるときなんですが、電車なんかで学校へ向かう人には味わうことの無いチャリンコの利点なんじゃないかとこの季節になると思います。

学校へ着くと、なんとも言えない色めき立った様な空気が漂っていました。その気持ちが悪くて吐き気を誘うような空気が思い出されたのは、約一月後にクリスマスが控えているということです。僕の家ではクリスマスっていうのは、家族で、ピザとか、チキンとか、ケーキとかを食べて過ごすのがいつものことで、他のことには興味も関わりもありませんでした。それでも一般的学生にとってクリスマスの主な議題というのは恋愛に収束するのでした。女の子はキャアキャア、ウフフなんてやかましくもいとおしい恋を出しています。男の子は誰とデートしたいかなんてのをコソコソと話し合っているのでした。僕としてはそんなクリスマスなんていうものをきっかけにした突発的な恋なんてあまり好むべきものでは無いと常々思っているんですが、実際、それで上手くいっている例もあるので、そんな思いは、心の端っこの方で座っていてもらうことにしました。ところで、僕の友達に西川くんって子がいるんですけどもその子がどうやらこの流行りに乗って恋人をつくろうと画策してるようでして、ああ、こいつもそういう嫌なやつなのかなんて思ってしまったけれど、実際はそうでは無いらしいのです。どうやら彼には三ヶ月ほど前から気にしている女の子がいるようで、それならば私が嫌う理由にはなり得ないのでした。応援したいと思ってなにかしてあげようと考えてこそいたのですが、なかなか役に立てる訳もなく結局僕は成り行きを見守るだけに決めました。

学校からの帰り道は今度は枯れた木が気になります。他の人は青々と生い茂った夏の木々や色鮮やかな春の花々、赤く染まった秋の葉っぱなんかをこのみとするんでしょうが僕に関しては違います。まるで痩せてしまったかのように弱々しく、刺々しく、地味な枯れ木はなんだかスマートに感じられて僕好きなんです。主張は少ないけれど、この季節にしか見れないなんていうのが、謙虚なの感じられるのです。

家に着くとリビングにこたつがありました。そっか、お母さん出しといてくれたんだな。なんて思いながら手を洗って、ガラガラとうがいをしてすぐこたつに入り込みました。暖かくてなんだかだんだん眠くなってきて寝てしまいました。起きたらもう一時間程経っていて、「あ、いけない」とおもわず口に出しながら、こたつから這い出ました。いけないなんて言ったけれども、特別やらなくてはならないこともないので、とりあえずこたつの電源を切って自室のお布団に潜り込みました。結局くつろぐ場所を移しただけでしたけど、冬なんだからいいんです。冬の間のお布団といったら格別です。僕は冬のお布団にだったら何時間でも入っていられる自信があります。乾燥した空気が足と布団との摩擦を減らし、夏に比べてずいぶんすべすべとした心地よい感触をつくってくれるんです。片足外に出て冷たい空気に当たるのもまたいいものです。寒くは無いけれど、ひんやりして気持ちいいと言った具合で、ちょうどいいのです。この素晴らしい体験を皆できているのでしょうか。出来てないのなら独り占めの様な感じがして気分がいいものです。また、出来ているのならそれはそれでこの気持ちを共有出来ることが嬉しい限りです。

夜になるとご飯の用意が出来たとお母さんが言うので、リビングに戻りました。今夜はおでんがメインになったようでこころが踊りました。おでんっていうのは素晴らしいものです。冬くらいでしか食べないのに、その存在はずっと頭に入ってる。しみた大根なんかはもちろん僕は昆布なんかも好きです。おでんを食べた日は心がホッとしてどんなに辛いことがあってもまあいいかなんてことを思わせてくれるのです。冬には温かいものが増えますね。外が寒いと内側をあっためようとするのかも知れません。

寝るときなんかは明日について想いを馳せます。雪が降っていたりしないかな、今日より寒くなるのかな、なんてことばっかり考えるんです。そんなのも冬には欠かせない楽しみなんです。他の季節にあるでしょうか。寒いのが喜ばしい人はいても暑いのが好きな人はいないんじゃないですか。それとも僕が物好きなだけですか。それでもやっぱり雪っていうのがあります。朝起きて外が真っ白になるほど雪が積もっていたときのあのワクワクした気持ちは、なかなか経験できるもんじゃありません。僕の住んでいるところは一年に一回雪が降るかどうかっていう場所なので、雪なんかは積もれば積もるだけいいんじゃないかなと思うのです。

雪が降ってきた日はまず友達をあるだけ集めて雪遊びをします。雪合戦もいいし、雪だるまもいいでしょう。僕、思うんですけれど、こんな遊びを毎日できるならゲームなんかなくても人生を謳歌出来でしょう。

僕はクリスマス自体は結構好きです。クリスマスに雪が降ると、ホワイトクリスマスって言うらしいんですが、ぜひ経験してみたいなと思います。そんでそんな日をゆっくり育んだ関係の恋人と過ごせたらいいななんて思うのです。きっとイルミネーションなんかを見て笑いあって過ごすんじゃないかと思います。

春の訪れを感じると悲しくなります。枯れていた木もだんだん青い葉っぱをつけて、気温が暖かくなっていきます。

そんな状態から冬が終わるのは一瞬のことで、澄んでいた空はゆっくりとその綺麗さを失っていきます。

次にあの空を見れるのはいつでしょう。また11月くらいになりますか。それとももっと早く見れませんか。

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― 新着の感想 ―
冬の良さがじんわりと伝わってくる、そんなお話で良かったです まだこちらは外に出ても白い息は出ませんが、何だか今なら出せそうな 冷える冬の時間、感覚が体に伝わってきました
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