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ワンライフ

フルダイブ型VR技術が確立されてはや5年。世間では遂にフルダイブ型ゲームが開発された。


「ライフゲーム」


このゲームはフルダイブ型ゲームの先駆者と呼ばれるゲームであり、簡素な名前からも分かる通り完全な試験的なゲームであった。


しかし革新的な技術を盛り込んだゲームであり、痛覚はもちろん味覚、嗅覚なども感じることができるというVRゲームのパイオニアと呼べるゲームであった。


今ではこのゲームの技術を流用したゲームが蔓延っている。


そんな中、この「ライフゲーム」を開発したアルファゲームコーポレーションから待望の新作ゲームが開発された。




「ワンライフ」




この物語はこのゲームをプレイするだけの物語である。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


一面水色の空間に、頭に直接響くように機械音声のような、どこか女性的な声が響く。



ーこんにちは。


ーようこそ。「ワンライフ」の世界へ。あなたの名前を教えてください。


「ーーー。」


ーこの世界はもう一つの人生…、何をするにも自由。農業をしても、モンスターを狩っても、家を建てても良いです。しかし、ワンライフ。ライフは一つのみです。

一度命が尽きてしまえばそこで終了。つまりゲームオーバーとなります。ゲームオーバーとなれば、二度とこのゲームを遊ぶことはできません。どのようにもう一つの人生を歩むか。それはあなた次第です。

それでは、もう一つの人生へ。レッツワンライフ!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


気がつくと、ここは森だろうか?木漏れ日の光で目が痛い…。


どうやら噂は本当だったようだ。風の吹き抜ける感覚、森独特のじめっとした感覚、全てが本物の感覚だ。


このゲーム、インベントリというものは存在せず、初期装備は空のポーチと最低限の装備だけである。物は全て素手で運んだり、道具を作ったりしなければいけない。鬼畜もいいところだ。


しかしこのリアルさ、前評判通りだ。


このゲームは文明というものも存在せず完全にまっさらな状態から文明を作らないといけないわけだが…


とりあえず探索をしつつ、他のプレイヤーを探すとしよう。




それから数時間ほどだろうか。森を彷徨っていると、青々とした草が広がる広大な草原に辿り着いた。


近くには川もあり、文明を築くにはもってこいだろう。ひとまず俺はここでプレイヤーを待つことにした。


川辺で森から集めてきた枝を薪にし、火を炊く。ここまでリアルにする必要があるだろうか。めちゃくちゃに時間がかかった。


やっとの思いで火種ができ火がついた頃にはすでに火が沈みかけていた。


初日にしては上出来だろう。しかし食糧がない。これではいつか飢え死にしてしまうだろう。


俺は夕日を背に急いでしなる枝やツタをかき集め簡易的な罠を作る。これは川に設置する。不思議なことに作り方は自然と浮かんできて実際に作れてしまう。ここはゲームだなと感じる。


ものの30分ほどで罠を作り終えた俺は川の入り組んだ場所を探し、大きめの石などで水の流れを調節。罠の方へと魚が入っていくようにした。


川に魚がいるのは先ほど確認した。食えるかどうかは定かではないが食うものがないよりかはマシだろう。


そうこうしているうちに陽は沈み、すっかり暗くなってしまった。このゲームは睡眠欲もちゃんと存在する。まあ徹夜しても問題はないが2日以上眠らないと気絶するらしい。まあリアルとほぼ一緒だな。その日の疲労状態にもよるらしいが。


さて、夜には昼にはいなかった存在が出現する。モンスターはもちろん、夜行性の動物も出てくる。実際先ほど川を超えた先の丘の中腹ほどに狼のようなものを見た。


流石にまだ死にたくはない。そこで俺は焚火の薪を足しつつ、丈夫な細長い枝に、少し石同士を打ち付け鋭く尖らせた石を先端にツタで括り付け、槍を作成した。


うん。なかなかいい出来だ。護身用の武器もできたところで俺は眠ることにした。流石に一人で怖いので眠りは浅く、大体1〜2時間ごとに起きて焚火に薪を足しながら夜を過ごす。


2回目あたりだったろうか。草むらから何か気配を感じた。


そこで眠気は一気に覚め、背中からぞぞー…と、血の気が引いていくのがわかった。


就寝前に作った槍を手に持ち一気に臨戦体制に入る。


しかし、その心配は杞憂に終わる。


「ちょ、ちょっと待ってくれ!明かりが見えたから来ただけだ!別に襲いに来たわけじゃない!だからその物騒なもん置いてくれ!!」


数時間ぶりに聴く人間の声だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


彼はハルマというらしい。さっきゲームを始めたばかりらしく、まさかの初っ端から夜で路頭に迷っていたところ、遠くで明かりが見えてここまで来たそうだ。


ハルマはまさに好青年という感じで、年は高校生から大学生といったところだろうか。髪は少し赤みがかっており、シャツにベスト…、まさにザ・ゲームキャラといった見た目だ。まあもちろんそういうキャラクリなのだろうが。


そこから雑談や情報交換をしているうちに西の方から陽が登り始めた。


そこで行動開始。ハルマは薪集め、俺はこれからの計画を立てる。




ひとまずは最低限の持続可能な文明にまで発展させることが第一だろう。衣食住、これを最低限揃えればこの世界で生き抜いていけるだろう。


衣食住のうち、今一番手をつけられていないのは

「住」である。人手も増えたので俺は拠点を作ることにした。


まずは拠点をどのようなものにするかだが…、ひとまず小屋のようなものを作ることにした。


しかし、どうやら小屋は必要なくなったようだ。ハルマが洞穴を見つけたそうだ。ここから川を下り数キロ進んだところに森が広がっているのだが川沿いに開けた場所があり、ちょうど良い感じの洞穴があるそうだ。


俺は出発の準備を始めた。まず昨夜作ったトラップを回収。魚はかかっていなかったがエビのような生き物がかかっていた。ラッキーだ。すぐさま調理し、串焼きにしてハルマと共に食べた。6匹ほどであったため3匹ずつであり、少し物足りなく感じたがなかなか美味しかった。


そして初の食事の後、トラップを改造。カゴのようになっているため蓋を作り、背負えるように改造してバッグにした。


さらに今更ながらナイフを作った。槍を使った時とは違い磨製石器、石を研いでナイフの完成だ。


バッグの中に薪、火種にできる素材を入れ慣れないようバッグに木の皮を巻き、防水対策をした。無いよりはマシだろう。




それから2時間ほど歩いた末、例の洞穴に辿り着いた。道中きのみを発見した。齧ってみたがひとまず大丈夫そうだ。たくさん取ってきてしまい、かなり荷物が重くなってしまったがしばらく食糧には困らないだろう。


洞穴はどうやら洞窟のようで、中はなかなか深かった。拠点にするなら十分だろう。地下資源も取れるかもしれない。


さあ、そんなこんなで2日目も終了した。ハルマという戦力も増え、きのみは大量にあり食糧には困っていない。日が暮れてきてしまったので洞窟の前の広場に焚火スペースを作り、動物が寄り付くのを防ぐ。


さらにハルマは洞窟の入り口に岩を積み上げていき、拠点の入り口を作り上げてもらった。なかなかハルマはセンスがあるようで岩を絶妙なバランスで積み上げ、入り口として素晴らしい出来栄えとなっていた。




ーワンライフ。それはもう一つの人生。ゲームオーバーになってしまえば二度とプレイすることはできない、まさにもう一つの生活。ワンライフである。

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