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第20話 ゲームの登場人物達

 華やかなパーティ会場で粛々と手続きは済まされていった。陛下からの会場にいる貴族全員への報告。それに合わせた私とアレクサンドの登場に沸き立つ会場。次期国王夫妻である私達には、身分の高い人から順にお祝いの言葉をかけるための列が設けられた。それを笑顔で相手し続けるのが婚約者となった私の初仕事。


「お祝い申し上げます」


 そう最初に挨拶に来たのは、陛下の側室。ゲームの攻略対象その2である、第二王子の生みの親だ。

 意志の強そうなアップルグリーンの瞳と真っ直ぐ伸びたストレートヘアが特徴的な美人さん。その後ろには例の攻略対象である第二王子が控えていた。

 レオナルド・リヒハイム。リリアンナと同い年になる男の子だ。陛下似の焦げ茶色の髪は母親に似た真っ直ぐなストレート。それを顎のあたりで真っすぐ切りそろえられており、子供らしく可愛らしい顔立ちをしていた。その瞳は母によく似た意志の強いアップルグリーン。

 挨拶の最中にこにこと笑ってはいるが、ゲームの設定を知っている私からすると侮ることが出来ずなかなかに恐ろしい。彼のルートは一回しか周回したことがないが、とんでもない女たらしの遊び人なのだ。ヒロインに好意を寄せその本心を暴かれてからは彼女一筋になるのだが、それまではとにかく遊びまくる。あまり近寄りたくない人物だ。


 その次に知っている顔を見つけたのは、サンスリード公爵家からの挨拶の時。そこの三男が攻略対象その4、ステファン・サンスリードだ。父に息子三人が連れられてきており、その一番後ろに続く彼とは言葉は交わさないものの姿だけは確認できた。

 由緒正しい騎士団長の息子である彼も、後に兄達を追い越すような優秀な騎士へと成長を遂げる。綺麗な黒髪に朱色の瞳。他の兄弟とは違った容姿に異質さを感じるが、その表情と瞳はどこか虚空を見ているようで大人しい印象を受ける。まあ、眠っている獅子なだけですが。


 最後に見かけたのはナンニーニ侯爵家の次女、イザベラ・ナンニーニ。彼女は、ゲームでは誰にでも分かりやすい悪役令嬢だった。高飛車な言動で常にあらゆることに対し文句を言っており、周囲から嫌われている。

 リリアンナ率いる令嬢グループとはいつも一人で対立し、ヒロインに対する当たりもなかなかに強い物だった。だが、ただのおじゃま虫と思わせてそのステータスは軒並み平均以上で、彼女を超えるステータスを出せるか出せないかで攻略ルートが変わるという結構大切な役回りの子なのだ。

 蜂蜜色の柔らかく長い髪を一本のおさげにして垂らした幼い姿はなかなかに可愛らしい。彼女は杜若色の釣り目でキョロキョロ辺りを見渡していたが、壇上のアレクサンドを見て顔を真っ赤にしていた。


 おやおや?


 あれだけリリアンナにつっかかっていたのは、アレクサンドが好きだったからだと考えると本当に可愛く思えてくるのだから不思議だ。




 そうこうして一通りの挨拶が終わったが、結局他の攻略対象やその婚約者を目にすることは出来なかった。大概まだ幼かったり、表に出るのを嫌がったり、病弱キャラだったりするのがその原因だろう。

 それでも三人も見れただけで儲けものだ。さすがゲームの登場キャラ、揃いも揃って美形ばかり。女性の中ではその筆頭がリリアンナなのだから、私が言えたことではないが。


 【英雄の学園と鎮魂の歌】の攻略対象は4人。

 一人目が私の婚約者である第一王子、アレクサンド・リヒハイム。

 二人目は第二王子であるレオナルド・リヒハイム。

 三人目は魔法の天才なのだが、今日は不在。

 四人目は騎士のステファン・サンスリード。


 ほとんどのキャラクターがリアルで見られて少し満足する。これだけでここに来た甲斐があったというものだ。


「お手をどうぞ」


 挨拶は終わりダンスに混ざることになると、アレクサンドが私に手を差し出す。沢山練習はしたが、正直そこまで自信はない。それでもまさか断るわけにはいかず、私は彼の手を取った。

 大勢の人に見られながらのダンスは緊張し、アレクサンドの足を二回ほど踏んでしまった。そのたびに小声で謝り許してもらったことは、お父様には内緒にしておこう。




 ダンスが終わり、最後にお辞儀をし合って私とアレクサンドは分かれた。これからは二人ではなく各々で貴族の子息令嬢と交流をしていく。さすがもう話す相手の目星は付いていたのか、気付けば彼は別の方々と話を始めていた。

 人前に出て話をして、苦手なダンスまでしたのだ。すっかり疲れてしまった私にそんな余力などない。一度下がろうと軽食が用意されたコーナーへと歩き出そうとすると、すぐに声がかけられた。


「モンリーズ嬢、どうか一曲踊って下さい」


 相手は同い年くらいの男の子だが、一度にたくさん挨拶されたせいで誰だったか思い出せない。


「私、疲れてしまったので少し休憩を……」


「モンリーズ嬢、その次は僕と」


 さすが社交場。私と交流することを狙っていたのか、あちこちから少年達がわらわらと集まって来る。悪い気はしないけど、もう疲れちゃってるんだよね。それに、他の人と踊って足を踏んだら赤っ恥だ。

 断るために色々と言い訳するも、喉が渇いたと言えば水やジュースが差し出され、小腹がすいているのでと言えば軽食が運ばれる。断る隙も無く人に揉まれてしまい、完全に立ち往生していた時だった。

 人混みの中から小さな手が伸びて、私の腕を掴む。勢いよく引っ張られると後ろに転びそうになるが、それを相手はしっかり支えてくれた。振り返れば蜂蜜色の髪が視界に入る。


「何をしておいでですの?」


 その声はゲーム内ボイスの物よりも高く幼い。

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