14話「タクティカルシスターズの本部…そしていきなりの勧誘」
五人は街の手前で野宿し街中で諸用を済ませ、やっと目的地である本部ビルへと到達。
そこで少し驚く言葉を受けるのでした。
五人の目指す街。
直に夕方を迎えるものの、その街の一歩手前で一旦野宿する事にした。
今から街に入ってもロクに街の中を見れないので、夜明けを待つことにしたのだ。
そんな街のビル街、高い建物が並ぶその中でも一際高いビルが目を引いた。
「何だあ?あそこだけ突出して高いビルがあるんだけど。」
「ああ、アレは私達の本部です。」
「え?じゃあオマエらアソコに勤めてるとか?」
「いえ、私達は外部委託と申しますか。」
「まあ、アソコの連中が仕事の実権持ってるから似たようなもんかな。」
「まあ私達は雇われというか現場の使いっパシリみたいなものですから。」
(そんなもんなのか。)
街の手前にある公園内。
その東屋とクルマに別れて五人は野宿した。
女子三人は車中泊、男子二人は東屋に寝袋で寝転がる。
「何でオレのクルマなのに俺が追い出されるんだ?」
「女子の中に男のオマエ一人交じって車中泊はマズイだろう?」
「それにあのクルマはシートアレンジが完全なフルフラットにならないし四人で寝るにはキツイだろう?」
そうなのだ。
だから運転席と助手席と後部座席に三人を分け、
前の席はある程度シートを倒し後部座席は足を折り曲げ横に寝るしか無かった。
「久里亜さん、後は狭くないですか?」
「大丈夫よ聖姫ちゃん、こっちより二人の方がちゃんと横になれない分ちゃんと寝られ無いんじゃない?」
「まあ今晩だけなら大丈夫だと思いますよ。」
「早理華こそ運転席はあの銃吾の席で大丈夫か?アイツの匂いとか。」
「というかアイツ、後で早理華の匂いとか温もりとかをシートから感じてニヤケたりするんじゃ…」
「…変な想像しないでください!」
(ううう…考えないようにしてたのにい〜)
キャンプ場と違い公園内では正式にテントを張れる場所が無いし、大きな街の近くでそんな事したら何処で監視カメラに撮られてるかわかったもんじゃない。
(俺がバイクじゃなくて車だったら良かったんだけど…まさか女のコ交えてこんな大所帯で野宿するなんて想定外だしなあ。)
まだ暗くなったばかりの時間に早寝して寝苦しい夜を過ごした五人はまだ薄暗闇の時間には起きた。
「少し寝た気があまりしないというか。」
「今夜はちゃんとした寝床で早寝したいね。」
「というかお風呂!せめてシャワーくらい浴びたいわ。」
「ランドリーで着てるもんの洗濯もしたいよな。」
「あとはなるべく安い宿…となると全部の条件にあった宿って限られてきそうだ。」
「大丈夫ですよ、コインランドリーもコインシャワーも別々の店使えば。」
「結構大きい街だから探せば何軒かは該当する宿もあるだろうしね。」
「じゃあ先に目星付けてから本部に行く?」
「それと案外事情話せば本部に泊めて貰えたりして。」
「それってタダって事か?」
「だがそう上手く行くかねえ、キミらはともかく俺らは全く無縁な外部の人間だからな。」
「私達から口利きしてみましょうか?モノは試しです♪」
(久里亜先輩、必死ですねえ。)
(そんなに剣護と一緒にいたいのかねえ?)
「さ、それじゃ取りあえず行くか。」
公園内にバイクと車のエンジン音が響いた。
…………。
それから先ず五人は話しあった通り、コインシャワーとコインランドリー、それと銭湯と食品を買えそうな店を本部の付近に見繕った。
「車や人の少ない時間で助かった、ユックリ店を探せる。」
「あとは安宿だな。」
「宿となると本部よりライナーのステーションかなあ。」
この街には三つのライナー発着場がある。
一つはいわゆる電車であるグランドライナー。
線路上を走る列車。
小さな街にも停車するタイプと都市内だけを移動するタイプがあり、どちらも生活の足だ。
そして、スカイライナー。
高空に真空トンネルを発生させて大都市間を結ぶ超高速移動用列車。
飛行する為に精々二、三車両で編成されており、移動時には各車両は車両の外部と内部は完全固定で連結される。
最後はマリンライナー。
海底と海上に作られたチューブトンネルで国内の島々や海外とを結ぶ長距離移動型。
主に海外移動に用いられる。
「俺、ライナーとか公共交通機関ってあんまり好きじゃない。」
「自由に好き勝手に移動出来ないからな。」
「はあ…そうかも知れませんね。」
「だから剣護はバイク乗ってんのか。」
「まあそれは個人の趣旨があるでしょうけど。」
「取りあえず宿の場所を把握しておきましょうか。」
コインランドリーで洗濯してる間に五人はアプリで街中の店を選ぶ。
そして実際に足を運ぶ。
途中のコインシャワーでチャチャっと身体も洗い、乾燥済みの洗濯物を取り込んでから軽く買い物を済ませる。
「宿は別々にするか?」
「元々俺らはキミらにくっついてるだけだし、ヤロー共とは別宿の方がいいよな?」
「そ、そんな、事ありません!」
久里亜が懸命に否定した。
「や、宿の部屋に空きがあれば、その…」
「お、おう…」
久里亜の剣幕に剣護はあっとされた。
「まあそれは本部に顔出してからでいいんじゃね?チェックインはどうせ午後からだし、本部での話しもそんな時間取らないだろうから。」
「ですね聖姫さん、なので先に本部に参りましょう?」
「じゃ、そういう事でいいよな久里亜さん?」
「は、はい…」
言い忘れたが、久里亜はまたも剣護のバイクの後…タンデムシートに乗っていた。
そしてやたら身体を密着させているのだった。
(う〜、距離!距離近すぎだよ久里亜さんたら!)
(が…我慢よ早理華、もうすぐ本部に着くからそれまでの、辛抱…!)
後部座席で「う〜っ」と唸ってる二人をルームミラー越しに見た銃吾は「?」と頭を捻るのだった。
………。
五人は本部ビルの前に立つ。
「ここがそうか。」
「い、いよいよだな…」
「そんなに緊張する事ありませんよ。」
早理華は緊張する男二人に苦笑した。
そう言いながらも三人のシスターズもまた次の任務内容が気がかりなのだろう、引き締まった顔付きだ。
五人は少しピリピリしながら建物へと入って行くのだった。
…。
「ここです。」
シスターズが受け付けに顔を出してから全員エレベーターに乗る。
「意外だな、俺と銃吾は成り行きでタマタマ仲間に加わっただけなのに通されるなんて。」
「前もって貴方達の事は本部に連絡してあるので許可済みなんだと思います。」
ガーッ。
扉が自動で開くと広い部屋の窓の手前、テーブル席に一人の男性が座っていた。
「ようこそ諸君、まずはかけてくれ。」
「そちらのソファーにお腰掛け下さいと本部長は申しております。」
本部長の言葉を秘書らしき女性が付け足した。
一礼するや言われるがまま席に着く五人。
「男性二人は初めましてだな、私がここの本部長だ。」
「君達にはウチのシスターズが世話になったそうだね、ありがとう。」
「いえこちらこそ勝手に同行してすみません。」
「そうです、俺達こそ世話になってます。」
五人の席に秘書が紅茶が置く。
「ところで君達男性諸君に一つ話しがあるんだが…」
「キミら、このまま我々の組織に所属せんかね?」
「「いっ?!」」
ガチャッ!
男達は手に取ろうとしたカップの中身を零しそうになった。
((あっぶねー、お茶飲んでたら吹き出すところだったわー!))
「よ、予想通りのお言葉ですね本部長?」
「まあ、あり得るかとは想像してましたけど…」
「でも本当に言うとさすがにね…」
この本部長の言葉にはシスターズの三人もちょっとだけ動揺を隠せなかった。
成り行き任せでこのまま剣護と銃吾の二人はシスターズの正式な仲間にされそうです。
そんなシスターズの次の任務の内容は次回にて明らかに。