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強すぎるおねえちゃんと一緒!~立てば剣聖 振るうは魔剣 共に行くのは俺の姉~  作者: ランドリ
第一部 力ある者は縛られない 第一章 戦友は強すぎる村娘
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【天翔ける】魔鎧の姉

 アテナには一泊金貨一枚する熟練戦士向けの高級宿があり、市民の給与四か月分と同等の料金を払う対価として相応のサービスを受けられる。


 魔道具がたくさんある便利な部屋で、装備の動作確認をしたり、大きく体を動かしたりと、普通の宿なら追い出されるような事を許可され、食事としてダンジョンドロップしない高級な食べ物を提供される。

 

 

 そして俺たちが泊まっているのは、一晩借りるのに金貨三枚という市民の年収並みの料金がかかる熟練戦士向け高級宿の三人部屋だ。


 朝食にローズの食べた瑞々しい果物はダンジョンではドロップしない高級品だし、おねえちゃんが食べていた干し果物や新鮮な野菜も全部が手作りの手間がかかった品だ。


 宿の従業員も感じがよく、男一人女二人の妙な構成に好奇の目を向けることもない。いい宿だ。


 三人で薄着の団子になっていた時は、流石に顔が引き攣っていたが……。

 

 俺達はこの特権で、学園長がお茶目にも巨大な魔導鎧で運んで来た新しい装備、魔導鎧の確認をしている。


 シールド氏が俺たちに与えた魔導鎧は3機。


 青っぽい黒色の標準機をおねえちゃんへ。


「チェルシー、その小椅子の部分に座って」


 おねえちゃんがローズに勧められるがままに、魔道具の照明に照らされた開放状態な魔導鎧の中心、装着席に座ると俺の愛しい人を抱きしめるように全身へ青っぽい黒色の装甲が展開されていき、お造り産装備の蒼いワンピースが包む、おねえちゃんの豊満な身体に絡まる。


 素直な魔導鎧が妬ましい。


 裏の空いたガントレットは上から補強され、そこに物騒な砲門が伸びて、黒いグリーブに追加装甲と機動補助の魔導スラスターが展開される。


 最後におねえちゃんの麗しき桃髪を隠すアンテナ付きの頭部装甲が降りると、青いバイザーが端正な顔も隠してしまう。


 バイザー越しで暗い緑目のおねえちゃんが、声をエコーさせローズに聞く。


「こぉれぇなぁにぃ~?」


 聞いて欲しかった質問へ、嬉しそうにローズが早口で答える。


「アテナの衛兵隊で使われているニクス二型魔導鎧ね。両手に伸びているアームキャノンの掃射は、ドラゴンパピー程度の装甲目標を貫通するわ。切り札である誘導弾は、複数の魔道具を組み込んで使い捨てる超高級品。攻撃力だけならドラゴン並よ。常識外に弾薬費が高いけど! この魔導鎧の特徴はバックユニットシステムで臨機応変に仕様を変えることが出来る事、仕様変更の為のバックユニットを買わせる気満々ね!」


「バイザー上げるわ」と、あんな夢を見ても魔導鎧に苦手意識が無いどころか好きらしいローズが、おねえちゃんの首後ろの装甲に指を押し込むと、カシャとバイザーが上がり、綺麗な緑の目が帰ってきた。


「ありがとう~、ローズ!」



 シールド氏の好意で特注の真っ赤なニクス2型に身を包むローズは、光り輝く金糸の髪を揺らし砲の可動範囲を確かめる様に、コンパクトな体ごと機体を捻り腕を動かしている。


 おねえちゃんも暗い青の機体をローズの真似をして動かす。


 正面装甲以外の魔導鎧の展開は薄いので、大きく動く二人の体のラインが確認できてしまう。

 ローズは赤い装甲の隙間から、きれいな肌が見えて艶めかしい。

 おねえちゃんは何を間違えたか、装甲が青いワンピースを捲り上げており黄緑をチラつかせる太ももを露出したまま、ローズの真似をしている。


 新装備に夢中な上、レベルアップ直後で輝いてみえる二人は目に毒だ。


 鋼の相棒の偵察停止司令で、自らに目を向ける。


「仕方ないが俺は武器なしか……」


 機械槍のマズルフラッシュで目を潰す俺には、ニクス2型の多目的バイザー越しでも至近のアームキャノンは辛いと言う事で、砲無しの代わりに機動力特化で丈夫な黒色の実験機を与えられた。

 

 この黒い色がナンバー20を想像させるが、今日の夢を思い出す。


「ナンバー20? 余裕じゃない。何かあったわね?」


 楽しげな調子の確認が終わったのか、待機状態であるバックパック型に魔導鎧を変形させて背負う才女が、目ざとく聞いてくる。


「今日はナンバー0、白い人型とゆっくり飛んで、レベルアップの雑談していただけだったんだ」


 俺の言葉へ理解を示したローズは赤い目に俺を映したまま、化粧を直した瑞々しいピンクの唇を開く。


「私達が悪夢に見るアレらの時代は多分、旧文明が終わっていない頃。資料によるとその頃には、レベルなんて無かったの。ナンバー0は、常識外を常識とする病気だったわ」


 現実と悪夢が繋がっている衝撃の話だが、おねえちゃんが俺の夢の長閑さに安心したのか、魔導鎧を待機状態にしてローズに絡みつく。


「病気なのに、強いの〜!?」


 おねえちゃんの攻勢にローズの威厳が崩れ始める。


「チェルシー!? ……残念だけどっナンバー20に次ぐっ実力者で……。漂白なんて……呼ばれてたわっ! ちょっと!」


 楽しそうに、金髪へ桃髪が絡んでいる。


 変な白い奴のナンバー0が、ナンバー20並の存在として追加されてしまった。


 俺達の悪夢に見る旧文明には、レベルが無い?


 あの天を埋める光の網、闇の砲撃、天翔ける黒い剣まで技術の産物。


 あんな力で何と戦ってたんだ旧文明。


 おねえちゃんが、ローズごと俺に飛びついてくる。


「クロ~、ローズぅ! レベル6の新しい冊子を見よう?」


 おねえちゃんが試練前に貰っていた冊子を3人で覗き込む。

  第一章完です。

 今章で心強い仲間と装備が揃い、レベルアップの回復によってクロも落ち着いたので、次章からはおねえちゃんが暴れ始めます……!


 ここまで読んでいただけて嬉しいです! ありがとうございます。


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