[第8話]大日本帝国憲法と日本国憲法
登場人物
謎さん···全てが謎
「皆さんこんにちは!現在大ブレイク中の大人気超絶美少女、謎さんです!今回はこの私が解説します!」
「本来は和輝さんが来るところなのですが、まぁ諸事情あると思って……ってかもう察してくださいお願いします!」
「そういうわけで!さぁ始めていきましょう!まずは、立憲主義とは何ぞや!」
「はいそこ!思いっきり目を逸らしましたね?答えは君主を憲法で縛る国家ですよ!現在、世界のほとんどの国で当てはまります。覚えておいてくださいね!」
「さて、一応詳しく説明しますと、立憲主義とは、国家権力に対してその権力行使を制限し、政治はあらかじめ定められた憲法の枠の中で行わなければならないものである。様々な法の中でも憲法は、他の法が作られる際の原則や手続きを定める点で、法の中の法という性格を持つ(このことを、最高法規性という)」
「つまり、法律は憲法が許す範囲でしか作ることができず、政治も憲法に従ってしか行えないということです」
「これだけでは解りづらいので例をあげますと……」
「そうですね。日本国憲法第9条、不戦条項が良いんじゃないでしょうか?」
「憲法の中身を詳しくやるのは置いといて、今の日本って、外国と戦争をしたり、首相の独断で戦争やらかしたりできませんよね?」
「それとか、法律の制定手順。国会の同意が要るってとこですかね。こんなのが書いてあったりするんです」
「お気づきですか?憲法って、国民を縛るものではなく、権力、この場合、政府を縛るものなんですよ♪」
「ここが良く解っていないからごちゃごちゃする人が多いので、覚えておいてくださいね♪」
「と、いうわけで。ここのことについて書いてある条文が、日本国憲法第99条、憲法擁護義務です」
日本国憲法第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ
「そして、先程も言った通り、法律とは憲法に基づいて制定されたものになります」
「では!日本国憲法は置いといて。大日本帝国憲法に行きましょう!」
「はいここ大事!1889年2月11日発布(効力を持つ前に、何年何日からこの憲法が有効になりますよ、と宣言した日。混乱が起きないようにするための猶予期間)、1890年11月29日施行(憲法が有効になった日)!」
「そして、最大の特徴は!何と言っても欽定憲法!天皇が国民に与える恩恵という形でした」
「ちなみに、ドイツの憲法を参考にした、ということもよく出ますよ♪理由は簡単、ドイツの憲法は君主の権限が強かったからです。当時1番民主主義が進んでいたイギリスやフランスは、国王なんてただのお飾りですからね。天皇を頂点にした政治をしたかった明治政府は、そんな都合の悪い国を参考にするわけにはいかなかったということです」
「さて、そんな大日本帝国憲法ですが!やっぱり権力は絶大です!正に、民主主義の名を借りた帝国主義です!絶対王制です!」
「例えば、天皇は主権を持つとされていました。第1条、大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス(訳 天皇になれるのは天皇の血をひいた者だけだ)、第3条、天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラズ(訳 天皇は神じゃ!革命なんざ許さねぇ!)等ですね♪」
「あ、あと天皇大権なんてものもありましたっけ。緊急勅令(緊急の天皇の命令 絶対服従)や条約締結、宣戦(戦争を始める権利)、戒厳令(緊急事態が起こった時に出される。主に、国民の自由を大幅に奪う)、統帥権(陸海軍の指揮権、当時空軍はなかった)などですね」
「さて、こんなに天皇に権利集めたらどうなるでしょう?」
「はい、正解♪色々な思惑に踊らされて国が滅びますね♪」
「っと、こんなとこまで解説してると、とんでもなく時間かかるので次行きましょう。表向きの三権分立です!」
「まずは立法権!第5条、天皇ハ帝国議会(現在の国会)ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ」
「要は、議会は天皇の意見、命令、議会に通さなければならない議題全てにYES!と答えて、憲法の要件を満たしたと主張できるようきしたということですね」
「あ、一応成立要件もありますよ。第33条、帝国議会ハ貴族院(現在の参議院 皇族と華族、国への貢献度が高かった者から成る)・衆議院ノ両院ヲ以テ成立ス」
「帝国議会は貴族院と衆議院がありますよってことですが、ここ割りと出るので注意です!」
「次は行政権!……と言っても、内閣は天皇が行う政策の責任を取る場所で、実際には分けられておりません!政策で何か問題があったときに、天皇のせいとなると困るから、表向きに責任を取らせるため内閣が作られました」
「第55条、国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼(補佐)シ其ノ責二任ス」
「国務大臣、宮内大臣(現在は廃止、当時は内大臣並みに力を持っていた)、内大臣(現在の内閣総理大臣)が天皇の権能行使に対して助言すること。内閣制度に基づき、天皇が内閣総理大臣と国務大臣を任命した」
「国務大臣まで天皇が任命していたのが、今と違うところですね。まぁ、それだけ政権の入れ替えとスキャンダルや失言で大臣辞めてく人がいなかったってことでしょうけど」
「はい、最後!司法権です!第57条、司法権ハ天皇ノ名二於テ法律二依リ裁判所之ヲ行フ」
「つまり、国権の最高者である天皇の名において置かれた裁判所は、最高の権威によって人々に判決を守らせる、ということです」
「こんな日本版絶対王制ですが、人権はどうなっているのでしょうか?」
「当然ながら、人権なんて法律の制定によっていくらでも制限できました!てか、憲法自体が天皇からの恩恵として与えられた、という扱いですからね」
「第22条、日本臣民ハ法律ノ範囲内二於テ居住及移転の自由ヲ有ス」
「日本臣民ですよ!日本国民ではないので注意です!日本臣民とは、日本国民は全員天皇の部下(持ち物)だという意味です」
「つまり、天皇の持ち物であるお前たちは、畏れ多くも天皇陛下より、法律の範囲内で居住と移転(引っ越し)の自由を得ることができたのだ。感謝し忠誠を誓え!という意味ですよ」
「あと、第29条、日本臣民ハ法律ノ範囲内二於テ言論著作印行集会及結社ノ自由ヲ有ス、ってのもありますね」
「これは、天皇や政治の批判は完全に弾圧してやるけど、違うのだったら許してやるよ、ってことです」
「天皇の持ち物であるお前らは、天皇の命令である法律に従えってことですね」
「さて、そんな日本臣民ですが!やっぱり義務がありますねー」
「納税と兵役、金を貢いで天皇のために命を差し出せ!ってことですので、覚えておいてくださいね♪」
「さて、今回はこれで終わりです♪閲覧ありがとうございました!」
「次回もよろしく「謎さん、お疲れさま!」お願い……って出たぁぁぁ!!!」
「酷いなぁ、俺を幽霊扱いとか」
「え、えーと、その、あのー」
「いやー、用事終わって様子見に来たら面白いことやってるじゃん!えーと、現在大ブレイク中の大人気超絶美少女……」
「いやぁぁー!!お家帰るぅー!!」
「あ……行っちゃった」
「……え、えーと!それでは次回、最終話!日本国憲法の基本原理です!」
このシリーズは、皆様の温かいご支援により成り立っています。
閲覧数が少なかったり反応が無かったりするとメンタルが折れてしまいますので、ブクマ、評価、感想などよろしくお願いします!