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名無しの書~悪魔フレェストさんは語りたい~  作者: 師失人 
第一の章『僕と悪魔と永遠の夏休み』
8/9

最終日一回目

さて、夏休みの最終日。

 これに悪い記憶の無い方は何と勤勉な方である事でしょう。

 そして多くの勤勉ならざる方々は、良い思い出が無い方が多いかと存じ上げます。

 そのそも休日に宿題など休日を楽しみにはいらない不純物。


 だからこそ勤勉な方々は最初にそれを終わらせるわけでございますが。

 どこの世界にも勤勉とほど遠い自堕落な方がいるもので、そのような人になればなるほど問題を後回し。


 我ら悪魔でさえそんな者が多くいるのです。

 それが下等な人間ともなればそれはもう星の数ほどいる物でございます。

 しかしながら、問題を後廻しにした所で問題が消えるなど。

 そのような僥倖は残念ながら滅多にございません。

 当然、後回しにした問題はいずれ向き合わねばならないのが世の常。


 そして今宵、たけし少年もその理従うしかないでざいます。

 前日一日をかけ宿題の中で時間のかかる読書感想文以外を処理したたけし少年ですが読書感想文に四苦八苦。

 学業の性というべきでしょうか。


 読書感想のお題となる書物はお堅いものばかり、若人が読む夢も希望に溢れたモノではなくあるものは辛い現実。

 そしてその多くが、娯楽性は薄い。

 さらに常用しない漢字もふんだんに使われており、国語の苦手な方は辞書が手放せない。


 全く人間とはよくわからない事をするのでございますね。

 せめて若人への拝領が感じられればいいのですが、たけし少年が今必死に読んでいるのは、「少年F」一二昔前若くして殺人に手を染めた.著者の半生と後悔を綴った書物。


 好き嫌いがはっきり出る内容でございます。

 眠気眼を擦りたけし少年は読んでいた課題の書物を閉じ、時間は午前3時。

 眠気眼では無ければ十分間にあう時間ですが、この状態ではギリギリのライン。


 さて間に合うのでしょうか?

 最初に語った事をとぼけるとは少しふざけが過ぎましたね。

 そして、私の出番が近づいてまいりました。


 「終わった……」


 安堵の表情のたけし少年。

 終わった感想文を畳んで鞄に入れようとするとふらついて、鞄を倒してしまいます。

 中から飛び出してきた物は一冊書物。

 眠気でもうろうとする意識。

 その書物を認識が終わるまで1分ほど。


 「えっ……これって」


 でてきたモノはたけし少年が予期しない存在。

 そう最初に語った下巻なのです。

 そもそも、表紙に上下と記載してありますが、あの飾り気のない表紙はさして興味のない人間が目視しがたい不思議な力があるのかもしれません。


 「まじかよ……」


 時計はすでに午前6時を回っております。

 当然やり直す時間などない。

 たけし少年の心は絶望に染まり始めます。

 たかが宿題でとお思いの方もいらっしゃるでしょうが。

 終わらせるつもりで集中して行った事柄にこのようなミスがあればだれしも心が一時、心に何とも言いえない絶望感に染まるというモノ。


 たったそれだけのミスで全てが台無しになった気分のままたけし少年の頭は加速度的に回転。

 だったら正直に言えばいいと思いかと思いますが。正直にそのよううなこと言えたら苦労しません。

 子供心は複雑なのです。


 次々に現れる代替案。

 それを一つ消し二つ消し三つ消しと繰り返し、それが十近くになった時に浮かんだものは確かな絶望。

 考えに考えた頭はネガティブの方へ落ちていったのです。

 

 「どうしよう……どうしよう」


 たけし少年が頭を抱え何度も何度も。

 そこで私が。


 【おこまりですか、そこの少年】

 

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