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名無しの書~悪魔フレェストさんは語りたい~  作者: 師失人 
第一の章『僕と悪魔と永遠の夏休み』
6/9

糞ゲー

「でっなにで遊ぶ二人とも」


 「う~んどうするメグちゃん?」


 「この前言ったゲームしよ!」


 「あのゲーム? 面白いの?」


 たけし少年の不安な声それも無理はありません。

 メグのいうゲーム『おままごとファンタジー』とは、のちに糞ゲー中の糞ゲーと揶揄される世紀の駄作。

 当然、面白いわけがございません。


 「凄いつまんないよ!」


 しかし、メグは承知の上。


 「じゃあなんでやろうと言ったの?」


 「私はたけ君と遊べればなんでも楽しいよ?」


 困惑するたけし少年にメグは笑顔でそう返します。

 さすがのたけし少年も顔が熱くなるのを感じますが、それが何かはまだ理解できません。


 いやはや子供どうしの色恋とは初々しいものです。

 少し子供っぽいと両名は周りに言われておりますが、観測する身としてはこれぐらいが丁度いい。

 最近の可愛げなない子供よりも見ごたえがあるのでございます。

 しかし、この空気はメグに好意をいだく拓人少年には面白くない。

 そこで口を開き。


 「とりあえずやってみないそのゲーム?」

 

 「そうだね! やろうメグちゃん!」


 「うん! たけ君!」


 完全にメグの目にはたけし少年しか映っておりませんが、拓人も承知の上今年の夏こそわとその小さな胸に想いを秘めていたのでしょう。


 しかしそれが、お三方を命の危険に巻き込むとは運命とは皮肉にございます。

 しかし、それを語るのは後程、今しばらくこの語りをお楽しみいただければ幸いです。

 おやゲームの用意が出来たようですね。

 話を戻しましょう。


 「「これがおままごとファンタジー……」」


 余りの事に絶句する両名。

 それもしかたありません。

 CGを多用したゲームが溢れる中このゲームはOPからオールドット絵。

 そのドット絵は初期のバミコンのスパーマイオを彷彿とさせ。


 華やかさは欠片もなく。

 可愛らしいヒロインもカッコいい主人公も一切登場しません。

 恐ろしい事に中身も同じような物で、原点回帰と称しておりますが、原点に返りすぎてむしろ退化。


 最初期のトルグエのような飾り気のない質素な作りの戦闘シーンのRPGかと思えば、唐突に突入するシューテング、格闘、クイズ、レース様々な理不尽な難易度のミニゲーム達。

 まさに製作者の悪意さえひしひしと感じ取れるモノでございます。

 無言でPSB4のコントローラのボタンを押すたけし少年。


 高画質がうりのPSB4で、5本バミコンのソフトがあれば4本糞で1本超糞とさえいわれた時代を再現するとは。

 人間とは変わった生き物でございますね。

 しかし、その無駄こそ人間の娯楽であり最高の作品。

 無駄を含めて平らげるのが強欲なる悪魔というモノ。


 しかし、無駄を楽しむにはお二方は若すぎるのでございました。


 『つまんないなこれ』


 たけし少年はメグに視線を飛ばします。


 「ね! 凄いつまらないでしょ!」


 完全に笑顔で言う事で張りませんが、これがメグという者。

 ただ想い人といるだけで幸せとは実に可愛らしいものです。

 たけし少年は掛ける言葉に迷います。

 内容はどうあれここまで嬉しそうなメグにどういったらいいのか。

 しかし、先に声を出したのは拓人少年。


 「じゃあ違うのやろうよ! ソフトは持ってきてるから!」


 拓人少年は少しばかり配慮が足りませんね。

 この満面の笑みを見て自分の意見を言えるのですから。

 こうした女性に対する自然な気遣いこそ多くのメスは好むのです。

 やはり気遣いは人間関係の胆でございますからね。

 

 「後たけ君……」

  

 「なにメグちゃん」


 「あのね……」


 顔を赤らめなにやらうじうじとし出すメグ。

 

 「こ……今年の夏休みも一緒にお祭りいかない?」

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