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名無しの書~悪魔フレェストさんは語りたい~  作者: 師失人 
第一の章『僕と悪魔と永遠の夏休み』
4/9

メグの家

夏休み1日目。


 天気は快晴風もなく夏らしい陽気。

 じりじりと太陽は夜店の鉄板のようにアスファルトを焼き、命短しセミの亡骸を誰に頼まれるとなく淡々と炙り続ける。

 相も変わらずセミ達の合唱は続き留まる事を知らず。

 そんな夏の日。

 全くもってセミという生き物は煩わしい限りでございます。

 しかし、これが夏というモノ。

 夏の風物詩と言えば聞こえだけはいい物です。

 豊富な活力を湛え若人にはセミの鳴き声は最高のBGM。

 夏はセミの盛りの時期であり、若人たち盛りの時期でもあるのです。

 そしてまたたけし少年もその一人。

 自宅で昨日の残りの適度に伸びたそうめんを食べ。

 冷蔵庫のミルクアイスを咥えて、家を出発目的地のメグの家は歩いて10分自転車に乗ればその半分もかかりません。

 親同士が知人という間柄もありお二方が親密な関になるのは自然な流れといった所。

 たかが10分と言えど、熱の熱波は確実にたけし少年の肌を焼き、頭に被る麦わら帽子の作り出すわずかな影をTシャツに落とし、気づけば加えたアイスは、唾液と熱に溶けメグの家に到着。

 残ったアイスの棒をポケットにいれインターフォンを押すたけし少年。


 「メグちゃん! あそーぼ!」


 元気よく言葉を一言。

 するとどたどた騒がしい音が。

 想い人が自宅を訪ねてきた事で興奮しているのでしょう。


 ガチャ! 勢いよく扉が開かれます。


 「うん! 入ってたけ君!」


 「メグちゃん! おはよ! タク君は?」


 「まだ来てないよ! お父さんお母さんは出かけてるし、えっと……えっとね……」


 もじもじと言葉を詰まらせるメグを眺め。、不思議そうなたけし少年。


 「い……今はたけ君と二人きりだね……」

 

 たけし少年に意を決して頬をほんのり染めながら言葉を放つメグでございますが。


 「? そうだね」


 たけし少年のような朴念仁に気づいてもらうことができないのでございます。

 いやはや色恋をしらぬ少年といえ、中々の朴念仁ぶりまさに物語の主役に相応しい。

 そんなたけし少年に不満そうな表情を浮かべるメグでありますが。

 これで通算75回目のアプローチ失敗。

 たけし少年の記憶を辿って明らかな物でもこれだけあるのでございますから。

 見えないレベルの物はいかほどあるか想像にかたいモノで。

 これはたけし少年に好意を気づいてもらうのは大変でございましょう。

 ただ、たけし少年とメグが結ばれる事はあり得ないわけですが。

 少々意地の悪い表現になりましたね。

 メグは不満そうな表情を笑顔に変え。


 「じゃあ入ってたけ君! ジュースとお菓子用意するから!」


 「うん! お邪魔します」


 玄関で靴を脱ぎそれを綺麗に整えると、たけし少年はポケットからアイスの棒を取り出し玄関先のゴミ箱へ。

 もう何回目かになるかわからないほど共にうに遊んだお二方はお互いの家の構造を熟知しておりました。

 このまま順当に成長すれば自然と魅かれ合っていた事でしょう。

 それだけお二方は互いを理解しあっていたのでございます。

 しかし、運命とは残酷な物で私めがたけし少年の前に現れなかったとしても、お二方は結ばれるとはないのです。

 この夏休みが二人が揃う最後の夏。

 夏が終われば消えてしまうひと夏の思い出。

 そのひと夏最初の一日目が二人が共に過ごす日とは運命を司る神も、中々無情な事をするものでございます。

 そうこう語っているうちにメグが戻ってきましたね。

 たくし少年はすでにリビングで胡坐をかき扇風機に夢中。

 少年らしく風に向かって「あー」と声を発しています。


 「たけ君。もってきたよ!」

 

 そういってお盆をテーブルの上に、上に載っているモノは、コップにいれた黄色いオレンジジュースと皿に盛られた不格好なクッキーの山。

 ……そういうことでございます。

 たけし少年はメグの熱視線に気づきもせず、遠慮なく不格好なクッキーを一口。


 「どうたけ君?」

暫く日常回です

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