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【空軍戦争小説】ランウェイ  作者: プーギー
1st period〜部隊〜
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4th flightー日常

パパパパーッパパパパーッパパパパッパパッパパ〜


起床ラッパがけたたましく鳴り響いた。


軍に入ってはや10年、この起床ラッパの音にもとっくに慣れ、体が勝手に動き出す。


おそらく一般人が見たら衝撃を受けるであろうスピードでベットから跳ね起き、ベットとシーツを整え、ハンガーにかけてあった濃緑のフライトスーツに着替え、編上靴の紐を結び上げる。


部隊に配属されたら、教育課程でもない一般隊員となるのだから、本当はここまで慌てて行う必要もない。


だが入隊し、飛行要員全課程含め5年間の教育課程生活をこのスタイルでやってきたのだから、課程を終えて8年が経った今になって、普通に起床する方が難しい。


だから俺は、部隊に配属された後もこのスタイルを続けていた…もとい、続けてしまったし、2人部屋の同室のタイタンも同じだ。


食堂に行こうと部屋を出ると、他の部屋の隊員もぞろぞろ出てきて、皆一様に隊員食堂に足を運ぶ。


「うぇぇぇぇ、昨日酒やりすぎたわ…」


普段のダミ声にさらに拍車をかけた声をかけつつ、ガルが俺の方にしがみついてきた。


「勘弁してくださいよ小隊長ぉ、今日もフライト2回でしょー?」


「そうか今日は1分隊とかぁ」


そんな話をしながら、隊員食堂に到着した。


「おっ、カリカリ梅あんじゃんラッキー」


タイタンが、明らかに塩分過多だろ、という程にカリカリ梅を山盛りに盛った皿をトレイにのせ、席に着いた。

こいつは士官学校時代から変わらず、塩気のあるものが好きだ。成人病になるぞこいつ。


「いただきます!」


教育課程を出たばかりのジャックは、まだこの癖が抜けないらしい。


国民の皆様の税金で賄われてる飯だ!いただきますとごちそうさまは大声で感謝を込めて!


これは入隊したら叩き込まれることの1つで、ベットメイク、靴磨き、アイロンとともにエルガン空軍四大新人教育のひとつとなっている。


飯を終えたら、国旗、軍旗、隊旗掲揚がある。


白地に縦二本の黒線が入ったエルガン王国旗、鷲が羽ばたく姿を斜め前から捉えたエルガン空軍旗、そして、ライン空軍基地に所属する全飛行隊、部隊のエンブレムが描かれた旗が掲げられた。


俺たちの204飛行隊旗は、4つの合同な不等辺三角形が、対応する1つの頂点のみ重ねて並ぶ、翼を模したものだ。

丁度、トランプのカードを手札の様に持つ感じで不等辺三角形を並べるイメージだ。

そして、その1番上に重なる不等辺三角形だけ、上端に黒い帯状のマーキングがある。

これは、「4枚の翼=四機編隊」を模した隊旗の、四機編隊長を表す。


この隊旗は俗に4枚羽と呼ばれ、冬になるとライン空軍基地近くにやってくるエルガン特有の大きな渡り鳥の翼が元となっている。

北方の小さな島々とライン空軍基地の、およそ800キロを飛んでくる、勇猛な渡り鳥は、冬のライン空軍基地の風物詩となっていた。


4枚羽ワッペンとウイングマークを胸につけた濃緑のフライトスーツ集団は、今日のフライトのプリブリーフィング(飛行前の打ち合わせ)をするために、これまたぞろぞろとブリーフィングルームへと歩いて行った。


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