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【空軍戦争小説】ランウェイ  作者: プーギー
3rd period〜開戦〜
21/55

20th flightー激戦と削られる戦力

離陸しておよそ10分、俺たちはピレッツ本島の東5マイルにいた。

既に街は赤い炎に包まれていた。夜だからかやけに鮮やかに見える。


『敵機群まで約5マイル。304、被撃墜3。支援急げ。』


「ガル、行きましょう!」


『よし。行くぞてめぇら!1匹たりとも逃しはするな!』


全員がアフターバーナーに点火し、一気に敵機群との距離を詰めた。


戦闘管制官によると、203の10機は交戦を始めたばかりだそうだ。


『ゴーセパレート!2分隊、爆撃機を狙え!他の奴らは俺に続け!』


俺たちは一気に散開し、護衛のフランカーに襲いかかった。


気づいたフランカーの1機がこちらを向いた。距離およそ2マイル。


俺は即座に短射程ミサイルをロックし、発射しようとしたが…



震えてピックルボタンが押せなかった。



『おいメイ!何やってやがる!躊躇うと死ぬぞ!』


タイタンの絶叫が聞こえた。


そうだ、やらなきゃやられる。

生き残る為に、躊躇うな。


俺は即座にブレイクし、敵機のケツを追った。

そのまま強烈なドッグファイトに入る。


「レース、上から来い!」


僚機のレースに指示を飛ばしながら、1旋転、2旋転と旋転を重ねるうちに、俺の機は失速してきた。

敵機の垂直尾翼に描かれたエンブレム、一見可愛らしいゴーストのマークが見えた。

こいつを早く落とさないと…

速度計は500キロを割っていた。


マズい、400キロ切る…!


ふと、俺たちの旋転の輪のすぐ上に、グレーの機体が見えたような気がした。


『メイ!離脱して!』


反射的に機を反対方向にバンクさせ、旋転の軌道の輪から抜け出した刹那…


キャノピーにオレンジ色の炎の光が反射したなと思って背後を見ると、さっきのフランカーが機体の倍はあろうかという大きさの火球に変わっていた。



落としたのはレースだった。


あれ?フランカーにも人って乗ってたよな…


そいつって人生どうなるんだっけ…


あ、死ぬのか。死んだら終わるのか、人生。


『4時方向!』


脳内で至極当然の事を自問自答していた俺は、弾かれたように4時方向を向いた。


別のフランカーがこちらに向かってくる。

かなりの速度で突っ込んできたフランカーを、バーティカルローリングシザースでかわし、前に押し出した。


そして、短射程ミサイルをロックオンし、今度は容赦なくピックルボタンを押した。



発射してすぐに離脱したが、フランカーが火球に変わる瞬間だけは見た。



撃墜シャットダウン!」



無線に叫び、戦闘管制官に戦況を聞いた。


「カペラ!敵機残数!」


『戦闘機6、爆撃機3!こちらは被撃墜5!304は全滅!203の1機が緊急脱出ベイルアウト!』


304は全滅だと?


ダメだ考えるな!

目の前の敵機に集中を!


「レース、2時方向!サポートしろ!」


俺は1人、2時方向の敵を追った。


そのまま俺が追う形となり、小刻みにフェイントを入れるフランカーをロックオン距離に入れようと距離を詰めた。

フランカーの垂直尾翼のゴーストのエンブレム、ニヤッと笑うエンブレムが、まるでこちらを挑発しているようだった。


あと50メートルで射程に入る距離になった時、フランカーがふわりとした…気がした。


刹那、脳裏を大臣との格闘戦の時の状況が映像となってよぎった。


コブラが来る!


思うより先に右にブレイクし、フランカーのコブラで前に押し出されるのだけは回避できた。


すると…


『乱戦中に空中で静止なんてよ、実射訓練の的より当てるの簡単だってもんだ』


バァァァァァァン!


爆音と火球の閃光がキャノピーを抜けて俺を襲った。


距離が近かっただけに、かなりの音と光が来た。

機体もキャノピーもビリビリと震えるのが直に伝わってきた。

すると左側をガル機が抜けて行った。


『撃墜1ぃ!どや!』


「あーもう、せっかく俺がコブラに気づいてかわしたのにー、いいとこ取りしないでくださいよぉー」


『とっとと墜とさないお前が悪い!』


「まぁいいや!カペラ、戦況を!」


『敵戦闘機3、爆撃機全機撃墜!被撃墜6!』


被撃墜が1機増えていたことが気掛かりだったが、あと一押しだった。


「よし!あと少し!」


しかし、それ以上の戦闘は残燃料が許さなかった。


ドッグファイトとアフターバーナーの使用を重ね、気づけばかなりの燃料を消費していたのだ。


更に、急で同時多数の発進により、燃料の手配が追いつかなかったのが災いした。本来なら翼下に2本搭載する筈の増槽を、今回の出撃では胴体下の1本しか積めなかったのだ。


しかもピレッツ諸島はグランバル基地よりもライン基地の方が少し遠い。帰りの燃料を考えると、これ以上の飛行は危険だった。


動きの少ない爆撃機群を相手にしていたタイタンたち2分隊はまだ余裕があっただろうが、格闘戦を続けていた俺たちには限界が来た。


「ガル!マズいです残燃料が!」


『自分もあと僅かです!』


1分隊の全員が残燃料不足を申告した。


『わかった!お前らは帰投しろ!』


「どうかご無事で!生きて帰ってください!」


『誰に向かって言ってやがるてめぇ!気にせず戻れ!』


さすがガルは、飛行に無駄がないから燃料の消費も抑えられるのだろう。

そんな人だ。腕がある。だから気にしなくていい。


俺たちは4機で編隊を組んで空域を離脱し、基地の方に向かった。




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