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【空軍戦争小説】ランウェイ  作者: プーギー
2nd period〜配備〜
11/55

10th flightー初飛行

梅雨も明け、真夏の日差しが肌に刺さる今日は、いよいよF−40の実戦部隊での初飛行の日だ。


「なぁパットン、なかなか駐機中の野郎、様になってると思わねぇか?」


「そうねぇ、新型機らしからぬ風格、つや消しのグレー、素晴らしいわ」


2小隊長のパットンは、オネエ口調で知られる人だが、隊の中では隊長、副隊長に次ぐ操縦の巧さである。

本人はオネエ疑惑を断固否定しており、現に既婚なのだが、隊内では疑惑と謎の噂が絶えない。


「なんでテメェも選ばれてんだよクソッタレェ」


タイタンが特徴的なつり目で俺に声をかけてきた。


「まぁ至極当然の判断だろう?お前こそなんでいるんだよゴルァ」


「まぁまぁあんたたち、落ち着きなさいって」


うかうかしていると喧嘩がおっ始まりかねない空気を察したのか、パットンが割り込んできた。


「いいじゃない、記念すべき初飛行、楽しみましょう、ね?」


「えー、わかりましたって」

「へいへーい」


まぁ正直、隊内で1番絡みやすいのは副隊長かパットンで、パットンの方はオネエなのに妙に人気が高い。


「さぁ皆さん、無駄口はやめて、飛びますよ」


副隊長のブリッジがそう声をかけたのを境に、パイロット待機室にいた俺たちはソファから立ち上がって、装備室に向かった。


装備室で濃緑の耐Gスーツを身につけた後、グレーのヘルメットとサブバッグを手に、エプロンへと出た。


程よく風の吹くエプロンには、既に整備員の手によって整備され、磨き上げられたF−40の巨体が佇んでいた。


「立派だな」

「おう」

「そうねぇ」

「ですね」

「だなぁ」


5人が揃ってひとしきり感激した後、それぞれがそれぞれに割り当てられた機体に乗った。


俺は並ぶ5機の左端の機体に乗り、自分の右の機に乗るタイタンの方を見た。


奴はピースサインをかましてきたので、俺も親指を立てて応じた。


整備員の兵長が、いつも通りベルトを締めてくれた。俺は酸素マスクを装着し、キャノピーを閉めた。


離陸の準備が整った。

全機、エンジンを始動させた。


いつも以上に胸が高鳴る。武者震いだろうか、微かに操縦桿を握る手が震えていた。


「皆さん、落ち着いていきましょうか」


「そうね、楽しみましょうよ」


「へっ、わくわくすんなぁこりゃあ」


「ですね、頑張ります」


「うっし、行きますかぁ」


「おいこらメイ、それは俺が言おうとしてたんだぞこの野郎!」


「あたしが言おうとしたのにぃ」


『リゲル01トゥ05、ラインタワー、ボイスチェック』


無駄口を叩くなと言わんばかりの勢いで、管制塔から無線が入った。


「リゲル01、ボイスクリア」

「ツー」

「スリー」

「フォー」

「ファイブ」


ちなみに今日は、01がブリッジ、02がガル、03がパットン、04がタイタン、05が俺だ。


「ラインタワー、リゲル01トゥ05、リクエストタクシー、トゥランウェイ42」


編隊長のブリッジが管制塔に呼びかけた。


『リゲル01トゥ05、ラインタワー、タクシートゥランウェイ42』


5機はタクシーを始め、ランウェイの端についた。

タキシング中、格納庫前には多くのパイロット、整備員、基地幹部の方や、更には地対空ミサイルの部隊や警衛隊の人々までもが見物に来ていた。

ここで5機は最終確認を終えた。


「ラインタワー、リゲル01トゥ05、ウインド210、アット5、ランウェイ42、クリアドフォーテイクオフ」


今日は、まずブリッジとパットンが離陸し、その後残りの3名が離陸する。


俺たちは既に4ヶ月前から何度も講義やシミュレータで訓練は積んできた。ブリッジとパットンに至っては、技実団に出向いて実際に何度も乗っている。


「レッツゴウ」


ブリッジの少し弾んだ声とともに、先行の2機が滑走を開始した。


「行くぜぇ!」


ガルの声で、俺もスロットルレバーを押し込み、ブレーキを離して滑走をした。


数秒の滑走の後、操縦桿を引くと、イーグルより軽い感じでふわりと機体が浮き上がった。

俺はシミュレータとは全然違う離陸の感覚に戸惑いと興奮を覚えながら、高度を上げて行った。








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