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第95話 理解

 思いついたことを確認しようと、携帯に登録されている一人を検索してみる。


「よし出た。やっぱりアルツの兵だ」


「やっぱりって、どうしてアルツ兵と連絡がつくのよ?」


「まって、もうちょっと試す」


 ミリアの質問をいったんとめて、次の名前を検索。

 ……うん間違いない。これもアルツ兵か。

 自分の推測が間違っていないことを理解し、ミリアとケイコの2人会心の笑みをみせてやった。


「これマジで凄いぞ」


 なにがなんだかと、分からない2人が、説明を求めるような顔をみせてきた。


「結論からいうと、携帯に登録された人たちって、俺が鑑定しかどうかで決まっていると思う」


「……じゃあ、アルツ兵の名前が登録されているのって、私達が捕まった時の?」


「そうそう。オッサンを助けようと森の出口にもどった時、たくさん兵がいただろ。あの時、何人か鑑定しているんだよ」


 これを確かめるために、検索鑑定をかけてみた。

 そうしたら案の定、前に見た事があるようなレベルと称号が出てきたんだよ。

 コリンやアグニスさんも鑑定すれば登録されるはず。

 お試しターイム。コリンちゃんどうぞ!


 レベル47 コリン 

 称   号 オリジンに愛されし弓使い

 アイテム  オルマリンの肘当て ミスリルの弓 アグロの衣服

 ステータス 一流弓使い

 ス キ ル ドワ―フの加護 連続矢 的中矢 貫きの矢 弓戦闘


 あれ? コリンってこんなに強くなってたの?

 称号も意味が……オリジンって何? ヒガンちゃんのこと? 称号にまで出てくるって……ちょっとバラさない方がいい感じか?


 武具はオッサンに作ってもらったやつか。

 オルマリンってのが聞き覚えがないけど、いい鉱石なんだろうな。


 ……おもったけど、これ馬野郎並みの弓使いになっている気がするな。

 あの2人いきなり強くなって帰ってきた感じだけど、どこにいってたんだろう?


 まあこれでコリンも登録されただろう。

 携帯のアドレス帳をみてみると――よし、予想どおりコリンのアドレスをゲット!

 いいね~ これでコリンとも連絡がつけられる。順調すぎて怖いね。


「なに一人でブツブツいってんのよ」


「ヒサ君、こっちにきて、ますますボッチに?」


「誰がボッチだ!」


 そこは断然否定させてもらうぞ!


「まあ、鑑定したから登録されたってのはわかったわ。それとは別に赤い名前ってのはなに?」


「ああ、これか……」


 前から気にはなっていたんだが、特に話をする相手もいないしな~と、後回しにしていた。


「ついでだし試すか」


 ものはついでだと、見知らぬ方に通話。たぶんこの人もアルツ兵だろ。


 ………音がならねぇ。


「どうしたの?」


「う、うん。つながらない感じ?」


「連絡とれないの?」


「ヒサ君、それどういう音? ツーツーって感じ?」


「話中とは違うな。そもそもの音がでない」


「かけ間違いとかじゃないの?」


「なにそれ?」


 ミリアはあんまり知らないから、話についてこれていない。


「もう一回試してみる。今度は……ああ、テレサで試すか」


「誰それ?」


「私もしらない」


「……ケイコは知らないだろうけど、ミリアは知ってるんじゃないか? 前に牢でぶっ飛ばした看守で、俺たちを追撃してきたやつ。ほらいただろ。指示っぽいのをテラーと一緒に出してたやつが」


「……思い出した。でもあの子」


 なんだよ? まあ、電話かけてみるわ。


 ……つながらんな。

 なんだろ? たしかあの人はここの地下に捕まって……


「もう死んでるらしいわよ。前に人間達に襲われたとき、大砲で地下牢がやられたらしいわ」


 ……すげぇ不憫なやつだな。

 家が没落して看守になって、俺達を追ってきて獣人に裏切られて、牢に閉じ込められて味方の攻撃で死亡とか……不運にもほどがあるだろう。


 ちょっと話かえたくなってきた。


「そ、そうだ。ケイコ。何かしたいっていってたよな?」


「え? さっきの話?」


「うん。なら、ちょっと俺と一緒に、近くの砦まで付き合わない?」


「砦……?」


「うん。まずはそこを攻め落としたいらしい」



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 このアグロの街付近には1つだけ砦がある。

 以前、イルマが隊長として詰めていた場所だ。

 そんなのほっといて、直接アルツを攻めようぜ! っていうわけにもいかないらしい。


 現在、この砦にはすでに人間たちの兵が待機しており、これを無視しアルツに攻め入ると、背後から襲われる危険性がある。

 もっと酷ければ、俺達がいなくなったアグロの街を好き放題やられかねない。


 と言うわけで、砦付近にきたんだけど……


「なんでフェルマンさんも?」


「君たち2人だけでは危ないと思ってな。護衛だ」


 っていうんだけどさ…


「弓。良い出来ですよね」


「……」


 普段ならキッっと睨み付けてくる銀の瞳をそらした。

 やっぱりか。

 試し打ちしてみたいんだろうな。


「ヒサ君。ここからだとマップの範囲外だよ」


「ああ、わかってるよ。もうちょっと、近づくつもりだ」


 すでに俺たちは、砦がみえる位置まできている。

 場所についてはイルマから聞いていたから問題なし。

 人間たちが詰めているっていっても、託宣がないと動くまで時間がかる相手だ。なんとかなるだろう。

 これが獣人だったら、俺だってこんなに近づかない。臭いでバレるからな。


 砦の建物は木材建築のようだけど、その砦の周囲にちょっとした石壁ができている。

 城壁ほどの高さも無く、突破は容易に思える。


「このへんで隠れてよ。フェルマンさん、ちょっと手ごろな壁つくれません?」


「わかった。与え守るもの、汝が名は《土の精霊(ノーム)》! 我が願いを具現せよ!」


 良しこれで……あれ?


「フェルマンさん?」


「……なぜだ?」


 何もおきない。本人も不思議がっている。これは一体…


「仕方がない。闇の霧でごまかそう。包み眠らせるもの、汝が名は《闇の精霊(シェイド)》! 我が願いを具現せよ」


 詠唱中からすでに、俺たちの周りに闇の霧が……暗い。


「フェルマンさん。これは隠れるというより、俺達も暗くて見えないんですが……」


「ここまでイメージした覚えはないんだが?」


 意図したものでは無いらしい。おまけに、


「こんなに暗いと地図かけない」


 目的の一つが達成できない。


「どうしちゃったんです?」


「俺もわからない。なんだこれは?」


「とにかくこのままだときた意味ないんで、この霧けしてもらえませんか?」


「わかった」


 フェルマンさんが、サッと軽く手をふると霧はきえていったけど、今度は俺達の姿がみやすくなる。

 こまったな……というか、なぜ急に?

 突然土精霊への声が届かなくなり、闇精霊との交感力がました?


 ……なんだ簡単じゃん。


「フェルマンさん、その武器ちょっと手放して、土精霊に頼んでみてください」


「これをか? いや、しかし…」


「いいからお願いします。見つかる前に」


 俺の指示に従い、土精霊へと声をかける。今度はうまくいったようで、周囲の土がわずかにもりあがった。


「よかった」


「これは――弓が原因なのか?」


「だと思います。交感力が高くなると、オッサンがいっていました。たぶん最初に交感できた闇精霊が強く反応したんじゃないですかね?」


「しかし、これほどの武器を手放すのは」


「たぶんオッサンがなんとかするんじゃないですかね? それ試作品だっていってましたし」


「こ、これでか!? オリハルコンとミスリルの合金製だといっていたが!」


「らしいですよ。豪気ですよね」


 さて、うまく隠れたし俺もやるか。

 俺がやることは、たった一つ。あの砦いる兵を鑑定することなんだ……けど。


(この距離でも駄目か)


 以前鑑定した兵については、見えてるんだけど、他の兵がまったく鑑定にひっかからない。

 どうやら直接鑑定して名前を知るには、わりと近づかないと駄目のようだ。

 少なくとも、大森林の時のように、姿形がしっかり見えるぐらい近づかないと駄目なんだろう。


「できたよ」


 ケイコのマッピングはできたらしい。

 これで砦内部の構造をしらない連中にも内部情報を渡せる。

 イルマに聞いてみたけど、そういう細かいのは部下任せにしていたから、大ざっぱすぎたんだよな。

 まあ、それでもいいかな? とは思ったけど、どうせならちゃんとした方がいいだろ。


「よし、では戻るぞ」


「「はい」」


 足早にも戻ろうとするフェルマンさん。

 そんなに弓のことが気になるのか。

 とりあえずオッサンは、徹夜決定かもな。

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