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第68話 ヒサオ育成計画

https://twitter.com/sudounnikuman

ツイッターアドレスです

 大部屋になったのはいいが、困ることもある。


 実はイルマの前で携帯つかいたくないんだよ。

 こいつ今は大人しくしているけど、ある程度落ち着いたら、何しでかすかわからない。だから、できるだけ、こっちのカードは伏せておきたいんだ。

 ベッドに横になり、携帯をパタパタしながらそんなことを考えていた。

 バァちゃんと話できて、覚悟が決まった感じがする。それで色々考えたんだけど、できればコタと相談したかった。あいつ頭いいから。

 うーん……外で電話してもいいけど、その前に色々まとめておくか。


「ちょっと下いってきます」


「ん? ああ、気をつけてな」


「なんだガキ、便所か?」


「ちがうよ。ペンと紙もらってこようかと思ってさ」


「ああ、わかった」


 と、ここまではよかった。

 下いってモーリスさんっていうオーガさんに聞いたら、羽ペンとインク液のはいった瓶。それに紙をいくつかくれた。


「どうした?」


「いえ、この羽ペンですか? 使ったことないので、どうしたらいいのかと」


「そうか。これはこうして使う」


「あ、なるほど」


 何度か液にひたしながら書くのか。けっこう手間かかりそう。


「紙はたりるか?」


「ええ。それは大丈夫です。すこし整理したいだけなんで」


「そうか。紙ならまだある。必用ならこい」


「ありがとうございます」


 上にもどり、一台しかない机をかり、早速試してみる。


「……うわ」


 自分で自分の字にびっくりした。

 なにこの汚さ。

 紙の質が悪いっていうのもあるんだけど、羽ペンってここまで使い勝手わるいのか。


「どうした?」


 俺の様子をみにフェルマンさんが声をかけてきた。ついでにいうと、イルマは俺が戻ってきたときには、ぐっすり眠ってた。


「いえ、これ初めてつかったんですけど、使いにくくて」


「ヒサオの世界にはなかったのか?」


「いえ、見たことはあるんですけど、俺が生まれる頃にはもっと別のものが主流になっていて、こういうのは使ったことなかったんですよ」


「なるほど。ならコツをつかむまで少しかかるかもな。本当なら刃物をつかってペン先を整えつかうものだが、少し書くくらいなら大丈夫だろ」


「はい、ちょっとやってみます」


 何事も慣れだしなと、紙に自分の考えをまとめていく。


 俺が考えたいのは、帰還をするためにまず必要な事。つまりは俺の成長だ。

 なぜ、俺の成長が大事だって?

 色々考えた結果、俺にそもそもの覚悟が足りないと知ったからだ。


 この世界の人間たちは勇者召喚したやつらを元の世界にかえすためにも、魔王を倒せという。

 さらに、その勇者たちですら、事を成したあと帰れているかどうか不明。

 ということは、帰還する方法というのは、生半可なことでは手に入らない可能性が高い。

 イルマがいった帰還魔法の研究を早く進めたいなら、国を動かせといった言葉。あれは、俺の胸にストンとはいってきている。


 その後に、バァちゃと話をして、自分が何も考えずにいたのがよく分かった。

 だから、まずは自分を成長させようと思う。

 ここに手記があり、そこに帰還方法がかかれていたと仮定しても、今のままだとその手段を手に入れられない気がしてならないんだ。


 レベルあげを考えたのは、その一環だ。

 俺個人の強さがほしい。と思い、やってはみたが思ったより厳しい。だけど、持続はしないと駄目だ。でも、やり方は考慮しよう。


 次に、スキル。

 いままで、実験をしながらどういったものなのか調べてきたけど、もっと具体的に突き詰めていった方がいいと思う。

 交渉術実験はしたけど、鑑定や通訳にも何かありそうなんだ。

 以前、オッサンを探そうとしたら、文字入力画面がでてきたことがあったけど、あれはきっと鑑定スキルの一つだろう。まだ何か俺の知らない何かがあるかもしれない。

 通訳だって、真通訳になって、何かできることが増えたに違いない。それも調べ上げたい。

 スキルに関して、もう一つ。

 『等』という文字。

 これ絶対、まだ何かあるんだろう。

 たぶんレベルをあげれば表示されると思う。そのためにもレベルあげがんばらないとな。


 次に、この世界の情報。

 この羽ペンにしたって、俺は知らなかった。

 単純に種族勢力状況だけを知ればいいってわけではない。

 俺のしらない常識は多くあるだろう。そういう点をみつけて常識修正したほうがいい。でないと行動を起こした時に大チョンボをしかねない。

 そういえば、味噌汁のことも気になるな。もし作れるなら、飲みたいぞ。

 さて、次に……と、色々書いたんだけど…‥


「読めない。いや読めるけど汚い」


 あまりの汚さに俺自身驚いた。

 これもしかして、解読スキルが発動していて読めているだけじゃ? っていうレベルの汚さだった。

 でも書くしかないか。こうやって書くことで頭が整理されるしな。


「次は金かな……」


 ボソっとつぶやくと、横になりかけていたフェルマンさんが反応した。


「金? すまないが、私もそう持っていないぞ」


「違う違う。俺の独り事だから気にしないで」


「独り事で金と口にする時点で気になる」


「……そうですよね」


 全くその通りだと頷いた。

 イルマも眠っているし、フェルマンさんに側にきてもらって少し話をしてみた。

 カクカクシカジカで、帰還手段を手にいれるのに金がいる場面もでてくるかもしれないからと説明すると、


「ふーむ。なるほど。なら何か金策手段を考えねばな」


「うん。それともう一つ」


「なんだ?」


「俺って、交渉スキルあるじゃないですか。これって、金を使って取引することもできるんですよ」


「それは、そうだろうな。取引交渉なのだし」


「はい。それもあって、できるだけお金を貯めておきたいんです」


「悪くない。というより、今まで考えなかったほうがおかしい話だ」


「ですね。まぁ、それは俺が悪かったっていうのもあります」


 だらだら周りの状況に流されていたってのが一番悪い。


「レベル、スキル、金、情報、か。まぁ、情報だけなら協力はできると思う」


「それだけでも助かります。ここまでくるのだって、かなり助かっているんだし」


「それに関していえば、この世界の事情が関係しているのだ。気にすることはない」


 渋面な顔をするフェルマンさん。最初にあったときから、けっこう厳しい顔しているのを見るから慣れたけど、この人の素ってたぶん違うんだろうな。

 やっぱり責任ある立場になると難しいんだろうか。


「魔王様との謁見がいつになるのか分からないし、数日の間、この世界の事を教えてあげよう。俺も手持無沙汰になりそうだしな」


「お願いします!」


 こうして、俺の行動スケジュールは決まっていった。

ヒサオ:俺の詰め込み育成計画はじまった。

フェルマン:色々つめこんでやる。

イルマ:色々叩き込んでやる。

作者:色々どん底におとしてやりたい。

3人:「「「えっ!?」」」

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