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異世界へ自分探しの旅  作者: 二枚重ね
パルジャスカ王国
7/7

異世界でラーメンを作る1

朝起きるとカロルはすでに起きていた。

ちびっこの朝は早い。


「お、起きたか。まずは何からやるのじゃ?」

「んー!そうだな。ラーメン作りには大きく分けて四つの重要な工程があるんだ。」

「スープ、タレ、麺、具材を作らないといけないんだ。そこでいくつか聞きたいんだが。」

「なんじゃ?」

「スープには鳥や豚や牛の骨や魚なんかを使うんだ。」

「タレには醤油や塩、味噌もあるといいな。後はみりんなんかも欲しい。」

「麺は小麦粉が欲しい。」

「具材はそうだな・・・これは後でいいか。今言ったのって手に入るのはどれくらいある?」

「そうじゃなー。醤油とみりんという物はよく分からんが、他は手に入るのう。」


大半が無いと言われたらどうしようと思ったが

なんとかなりそうだな。

ただ金が足りるだろうか。

数えてみると2600パル。おそらく1パル100円程度相当だとは思うのだが

まだまだこの世界の物価が分からない。


「なあカロル。材料だけでどのくらいかかるか分かるか?」

「そうじゃなあ。もちろん量にもよるが、骨なんかは肉屋でタダでもらえるじゃろう。」

「まじか!。」

「魚はこの国を出て海の方へ行けば港町があるからそこなら安く買えるはずじゃ。」

「塩も港町の方が安いかのう。大体一袋5パルくらいかのう。」

「味噌と小麦粉は商売街へ行けばあるはずじゃ。味噌は1箱5パル前後、小麦粉は1袋3~4パルと言った所かのう。」

「結構安いんだな。じゃあ早速材料調達だな。それと鍋やボウルとかの細かい物もだな。」

「では先に商売街じゃな。行くぞい。」


カロルと共に商売街へ行く事にした。


商売街


ここはいつ来てもにぎわっている。

俺達は鍋や食器、小麦粉と味噌を購入した。

なんだかんだで400パル使った。

さすがに荷物が多いので一度家へ置きに帰り

商売街にある肉屋へと向かった。


「こんにちはー。」

「こんにちは。ここらじゃ見ない顔だね。」

(遠い国から来たと言うのじゃ)

「あ、えっと・・・ちょっと遠い国からこちらへ来ました。」

「そうかい、わざわざご苦労さんな事だな。そうそうこの肉は今日屠殺したばっかだから新鮮だぜ。」


肉屋の主人は並んでいる肉を指差す。


「あ、今日は肉じゃなくて骨を譲って頂けないかと思いまして。」

「骨?そりゃあ使い道もないからあるにはあるけど、そんなもんでいいのかい?」

「はい!お願いします。」

「何の骨がいいんだい?」

「出来れば鳥、豚、牛なんかがあるといいんですけど・・・」

「ちょっとまってな。」


そう言うと主人は店の奥へと向かった。

少し待っていると三つの袋一杯の骨を持ってきた。


「これが鳥。これが豚。これが牛だ。本当にこんなもんでいいのかい?」

「はい!ありがとうございます。おいくらになりますか?」

「こんなもんに金なんて取れないよ。むしろ持っていってくれるのならこちらも大助かりだ。」


主人は笑っている。


「本当ですか!ありがとうございます。今度はちゃんとお肉を買いに来ますね。」

「その時は頼むよ。もしまた必要になったら来てくれて構わないからな。」


こうして3種類の骨を手に入れる事に成功した。

チャーシューはこの店の肉にしよう、そう思い家へと戻った。


「ふーっさすがに疲れたな。」

「港町へは明日かのう。」

「そうだなあ、これから出来そうな事と言えば・・・」


俺は今日揃えた調理器具と材料を眺めた。

魚と塩がないからスープはまだ出来ないか。

小麦粉があるから麺が打てるかもしれない。


「麺を試作してみようか。」

「おお!第一歩じゃな。」


木のボウルに小麦粉と水を入れてよく練る。

しかしいくら練ってもベトベトした塊にしかならない。

どう見ても粘土である。


「なんでだあああああ!」

「どうしたんじゃ?」

「ベトベトしてまったく麺の生地になる気配がないんだ。」

「ふむ、では少し待っておれ。」


そう言うとカロルは外へと出かけて行った。

こんな事になるならちゃんと勉強しておけば良かった。そう思うのと同時に

ラーメンを麺やスープから作る事になるなんて想定しないよな、と自ら突っ込んでしまった。

そう簡単にはいかないよな、と落胆していると

カロルが何か持って帰ってきた。


「久しぶりにやってみるかのう。」


カロルは木のボウルに小麦粉と持ってきた卵、そして謎の緑色の液体を入れて練り始めた。


「うんしょ。うんしょ。」

「お前麺を作った事があるのか?」

「パスタならあるぞ。クレリーとよく作っておったからのう。」

「なんだそうなのか。その緑色の液体はなんだ?」

「これはオリーブから取れた油じゃ。」

「へー、カロルはすごいんだな。」

「ワシはすごいのじゃ。もっと褒めると良いぞ。」


ドヤ顔で嬉しそうである。

カロルが練った生地を少し寝かし少量に切り分け

小麦粉を少し振って生地を伸ばす。

伸ばした生地を麺棒にぶら下げ10分程度干した。

そして干した生地を麺状に切り完成した。


「ほれ、出来たぞい。」

「すごいな。後はこの麺がラーメンに合うかだなあ。」

「大丈夫じゃろう。なんせワシが作ったのじゃからな。」


ドヤ顔で話をしているがそういう問題じゃないんだけど・・・まあいいか。

気がつけばもう夜になっていた。


「今日はカロルが作ったパスタを食べて明日に備えて寝ようか。」

「もうそんな時間か。では茹でてやろう。」


カロルは空き箱を踏み台にして麺を茹でている。

どう見てもお母さんのお手伝いをしている様にしか見えない。


「ほれ、出来たぞい。」

「いただきまーす。・・・んっ!うまいじゃないか。」


ほのかに香るオリーブの香りとほどよい塩辛さだ。


「生地に塩って入れてなかったよな?」

「湯に塩を入れて茹でたのじゃよ。」


見た目とは裏腹にこやつやりおる。

塩を入れなければラーメンにも合うかもしれない。


「ふーっうまかった。ご馳走様。」

「では明日行く港町は少し歩くからのう、明日は早めに家を出るぞい。」

「分かった。じゃあ今日はもう寝ようか。」


やはり背中から布団が出てくる。

あいつの背中はどこに繋がっているのだろうか。

そんな事を考えながら明日に向けて就寝した。

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