表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界へ自分探しの旅  作者: 二枚重ね
パルジャスカ王国
5/7

異世界で家を借りる

「さて、まずはどうするのかのう。」


城を出るとカロルが聞いてきた。


「そうだなぁ。まずは家かな。家を借りるにはどうしたらいいんだ?」

「家か。それじゃ城に戻るぞい。」

「え?なんで?」

「城の1階で貸家の受付と手続きをやっとるんじゃ。」

「うそーん。」


こうして城へ戻る事となった。

城を出て3分の出来事である。


住居受付


「あのーすいません。家を借りたいんですけど。」

「どういった家をお探しでしょうか?」


受付には眼鏡をかけたとても真面目そうな女性が居た。


「とりあえず二人住めて安いのだとどのくらいでしょうか?」

「ああ。ワシの事は考えなくて良いぞ。朝迎えに行って夜帰るからのう。」

「あ、そうなのか。じゃあ一人でお願いします。」

「お一人でお安い家ですね。少々お待ちください。」


受付の女性は奥へと行ってしまった。

ふと疑問に思った事があるので待ち時間を使って

カロルに聞いてみる事にした。


「なあカロル、なんで借家の案内が城の中にあるんだ?」

「それはじゃな、パルジャスカ王国内の家は全て国で管理しておるからじゃ。」


こいつはドヤ顔にならないと説明が出来ないらしい。


「土地という物は元来、誰の物でもないじゃろ?でも人は雨風凌げる場所が欲しくなる。それが家じゃな。」

「それは分かる。」

「家を作るには材料も人手もかかる。そして出来上がった家には人が住む。」

「それなら一括で国が管理してしまった方が楽じゃろ?そういうことじゃ。」


なるほど。言われてみれば確かにそうだ。

地球では土地も売買の対象だがその発想自体がおかしいのかもな。

そうこうしている内に受付の女性が数枚紙を持って戻ってきた。


「お一人でお安いとなりますとこちらが候補となります。」


差し出された紙を見るとどう見ても日本語ではない。

だがなぜか読める。


「読めるか?」

「ああ、なぜか読める。」

「お主がこの国に着いて寝ている間にこの国の言葉、文字の読み書きが出来る様に陣で情報を詰め込んでおいたからのう。」

「なにそれこわい。てか人の頭の中を勝手にいじくるな!」

「案ずるな、ワシが持っている情報の一部を詰め込んだだけじゃ、記憶操作までは出来んから安心せい。」

「へー。ってこの国の情報を一緒に詰め込んでくれればいちいち覚えなくて済むじゃないか。」

「あっ、あーまーこういう事はー・・・じゃな、ちゃんと一つ一つ体験していったほうが良いじゃろ。」

「お前・・・忘れてただろ。」


あちこちきょろきょろしながら全身冷や汗をかいている。

こいつは嘘がつけないんだろうな。


「今はそれよりも家を決めるのじゃよ。ほれ!」

「まったくもう。」


改めて家の情報が書いてある紙を見てみると

間取りっぽい物と値段しか書いていない。

とりあえず見に行った方が早そうだ。

俺は一番安い月300パルの家の紙を選んだ。


「あのー、この家を見てみたいんですけど。」

「こちらですか。では現地へ行きましょうか。」


そう言うと書類とランプを持って外へ歩き出したのでついて行った。


城から外へ出るとこの国の一番外側にある

城壁から外へ出る城門までまっすぐな大きい道が伸びている。

この道から家と家の間に細い道が伸びていたり

少し大きい道が左右に伸びていたりするので

比較的規則正しく整備されている感じだ。


家はレンガ作りの家がほとんどで

民家と商業施設が区画別で整理されている印象を受けた。


商業施設の区域に来ると中々賑わっている。

市場というか商店街みたいな感じだろうか。


人が沢山いるのでよく見てみると

耳が尖っている人もいれば犬のたれた耳みたいなのが頭から生えている人もいる。

色々な人種がいるみたいだな。


そうこうしていると城門までやってきてしまった。


「もうすぐです。」


そう言うと細い路地へ入っていった。


「こちらになります。」


道中に見たレンガ作りの家と同じ感じで一階建ての家だ。

高い城壁のせいで光が当たらないからだろうか

所々苔が生えている。


「おじゃましまーす。」


ギーッ

古く少し建て付けが悪い木製のドアを開けて中へ入ると真っ暗だ。


「灯り点けますね。」


受付の女性が持ってきたランプに火が灯る。

それも陣なのかな。


ランプに照らされた部屋を見てみると

床は板張りだが所々穴があいていて腐ってる可能性がありそうだ。

壁は一面レンガになっていて天井は木で出来ている。

室内には小さい木製のテーブルと椅子とベッドが置いてある。


「ちょっと環境が悪くはないかえ。」

「まあ安いからなぁ。」

「ちなみに日当たりを考慮すると600パルは家賃がかかります。」


ここの倍かー。まだ稼ぐ手段を得てないから

今は安い方がいいな。


「ここにします。具体的な契約内容はどんな感じになりますか?」

「ここでしたら今日から入居できます。退去の場合は最低でも一週間前には受付で手続きをお願いします。」

「分かりました。宜しくお願いします。」

「では今月分の250パルとこの契約書にサインを下さい。」

「・・・っと、これで大丈夫ですか?」

「はい。確かに頂きました。それでは私は戻りますので、失礼します。」


俺達へ一礼し受け付けの女性は戻って行った。


気がつけばもう夕方になっていた。

この国を見て回るのは明日にしたほうが良さそうだ。


「さてと、後はもう明日だな。」

「そうじゃな、ではワシは今日は戻るかのう。」

「そうそう、先ほど通った商売街へ行けば大体の物は揃うからのう。食事もそこで出来るぞえ。」

「ああ、ありがとう。これから行ってみるよ。また明日な。」


カロルも城へと戻って行った。

とりあえず食事だけして今日は寝よう。

商売街へ行ってみるか。


商売街


とりあえず簡単な物でいいんだけど俺が食える物ってあるのだろうか。

きょろきょろしていると屋台みたいな店が見えた。

何かの肉を串に刺して焼いてある様だ。

焼ける肉の匂いはどの世界でもやはりうまそうだ。

今日はこれを食べてみよう。


「1本いくらですか?」

「3パルだよ。」

「安っ!じゃあ3本頂戴。」

「あいよ!9パルね。また来てよ兄ちゃん!」


俺は屋台の親父に手を振りながら家へと戻った。


家に着くなり日が暮れたのもあり真っ暗だった。

ランプがないと何も見えない。失敗した。

今日はこれを食べてすぐ寝よう。そう思い串焼きの肉を食べてみた。

少し硬い鶏肉の様な味だった。悪くない。

腹もふくれたので明日に備えて今日は寝よう。

ベッドのシーツと掛け布団は新しいみたいで助かった。

明日からが本番だな。そう思いベッドへ入り眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ