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異世界へ自分探しの旅  作者: 二枚重ね
プロローグ
2/7

別れと出会い2

「とりあえず適当に座ってくれ。今用意するから。」


謎の少女はめずらしそうに部屋中を見ている。


しかしこいつはなんなんだろう。

格好といいなんとか王国から来たとか言ってたし

ただのかわいそうな子なのか?

でもギターの件はなんだったのだろう。

とりあえず飯食わせて話を聞いてみるか。

最悪危なかったら国家権力に電話しよう。


冷蔵庫と戸棚を見てすぐに用意出来そうなのはラーメンくらいしかないな。

貧乏ってつらい!


「もうすぐ出来るからな~。」


味噌味の袋麺にキャベツを切ったのと食べるラー油を投入。

これがたまらないのだ。


「ほら。出来たぞ。食え。」

「これはなんという食べ物なのじゃ?」

「お前ラーメンも知らないのか。」

「らあめん?」

「とりあえず食ってみろ。」

「どうやって食せばよいのじゃ?」

「箸が使えないか・・・。じゃあこれで食え。」


そう言ってフォークを渡した。


「ずるずる・・おお・・・ずるずる・・・これは・・・うまい!」

「こんなうまい食べ物がこの星にはあるのか!」


フォークを使ってラーメンを食べている姿を見ていると

ただの幼女にしか見えません。本当にありがとうございました。


「・・・ぷはっー!いやーうまかったぞ。この星も良いものじゃな。」

「・・・で、お前は何者なんだ?さっきのギターの件といい聞きたい事が山ほどあるんだが。」

「まあ待て、順序だてて話をしていく。」


「まずワシはカロルと言う。ユスティアデス大陸のパルジャスカ王国からこの星に来たのじゃ。」

「この星に来たのは我が国を救ってもらえる素質がある者を探しに来たのじゃよ。」

「そのなんとか大陸のなんとか王国っていうのはどこにあるんだ?お前の脳内とか言わないよな?」

「失礼なやつじゃのう。お主にも分かる様に説明するとじゃな。遠く離れた星から来たんじゃよ。」

「こりん星とか?」

「聞いた事がない星じゃがそこではない。」


ギャグを華麗にスルーされたが宇宙人という設定になるのか?


「・・・で、俺のギターはどうやったんだ?」

「あれか。あれはじゃな、この星でも分かる様に説明すると、素材を原子レベルで解析してくっつけただけじゃ。」

「ただあれを使うとかなりエネルギーを使うのでな、腹が減るのじゃよ。」

「魔法・・・みたいなもんなのか?」

「正確にはワシらは『陣』と呼んでおるがそんな所じゃ。」


なぜかドヤ顔をされてしまった。

ゲームは大好きで子供の頃から色々と遊んではいるが

ゲームみたいな世界観で現実の話とは思えないのだが

目の前で起こったギターの件がある。

少し話を合わせてみるか。


「国を救ってもらえる素質がある者を探しに来たとか言っていたけど・・・」

「それじゃ!お主にはその素質がある。なので我が国へ来て欲しいのじゃ。」

「は?意味分かんないんですけど。」

「素質がなければワシの姿を認識する事がこの星の人間には出来ないのじゃよ。」

「すまんがさすがにそれは信じられない。」

「試してみるかえ?」


そうだ、このまま警察へ連れて行こう。

宗教か何かの勧誘みたいになってきたし、飯も食わせたからもういいだろう。

幸い家から交番が近いし。


「じゃあちょっとついてこい。」


うまいことこのカロルとかいう幼女を交番まで連れてくる事に成功した。


「あの~すいません。迷子を連れてきたのですが。」

「はいはい。・・・その迷子はどこですか?」

「私の隣に居る子です。」

「・・・もしかして酔ってらっしゃいます?どこにもいませんが・・・。」

「えっ。そんなはずは・・・」


俺の隣でカロルはニヤニヤしている。


「お兄さん。いたずらは困るんだよ。見なかった事にしてあげるから家に帰りなさい。」

「・・・はい。すいませんでした。」


俺は警察官に頭を下げてカロルと家へ戻る。


「だから言ったじゃろ?」


家に戻ってきて再びカロルはドヤ顔をしていた。


「降参だ。全部信じよう。」

「で、来てくれるのかえ?」

「そもそもなんで俺なんだ?俺になんの素質があるっていうんだ?」

「そこまではワシでも分からん。ただ言えるのはワシを認識出来ているから何かの素質があるという事じゃ。」

「何かって言われてもなぁ・・・」

「では一つ質問をしよう。この星でうまくいっておるか?」


ドキッとした。

今までこれしかないと思っていたバンドが解散して未来が曇っていたからだ。

定職にも就かず日雇いや派遣でしのぎながらいつの日かプロになって

音楽で身をたてようと思っていたのが数時間前に音を立てて崩れていった。

正直これからどうしていいのか分からない。

そして自分には何がやれるのかも分からない。

俺には音楽しかやれないし、才能も他にないと思っていた。

いや、音楽の才能もなかったんだろうな。

そんな事を考えていると。


「もしうまくいってないのであればワシの国へ来い。お主なら必要とされ活躍出来る世界じゃぞ?」

「・・・・本当か?」


今の自分には何もない。

現実離れした話ではあるが実際に交番に居た警察官はこいつが見えなかったし

ギターの件もある。

こうなったら死んだつもりで飛び込んでみようと思った。

後から考えてみれば自暴自棄になっていたのかもしれない。


「案ずるな。お主が我が国に慣れるまではワシがついてやるゆえ。」

「・・・分かった。じゃあ連れて行ってくれ。」

「よし!ではすぐに行くかの。ついてくるのじゃ。」

「え?どうやって?」

「星間転移の陣を書きそれで転移する。丁度良い広さの場所を先ほど見つけたからそこへ移動するぞい。」


そうカロルは言い俺の手を引っ張り外へと出た。


「ここじゃここじゃ。ちとそこで待っておれ。」


連れてこられたのは都内ではめずらしい所謂空き地だった。

住宅街の中にあるので周りは暗い。

だがその暗さのおかげというべきなのか星空は綺麗に見えた。


「うんしょ・・・うんしょ・・・」


背中から取り出した杖の様な物でカロルは一生懸命地面に何かを書いている。

ゲーム的発想で言えば魔方陣の様な物だろうか。

しかしこの光景はどう見ても幼女が砂遊びをしている様にしか見えない。


「・・・ふーっ。出来たぞい。この中に入れ。」

「あ、ああ・・・」

「ではいくぞい。ちと初めはしんどいかもしれんがのう。」

「え?」


そうカロルは言うと俺の手を握り杖を天に掲げると目の前が真っ白な光に覆われていく。


「うわあああああああああ!」

「手は絶対に離すんじゃないぞ。どうなってもしらんからのう。」


真っ白な空間をまるで水の中を高速移動しているかの様だった。

そして俺の意識は遠くなった・・・。

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