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異世界へ自分探しの旅  作者: 二枚重ね
プロローグ
1/7

別れと出会い1

都内某所

とぼとぼとギターを背負って歩く青年が居た。


「はあ・・・・・これからどうすっかな・・・」


俺は佐伯悠斗さえきゆうと売れないアマチュアバンドのリーダーだった。

だったというのはつい先ほど行われたライブが解散ライブだったのだ。


数時間前 某居酒屋


「あのさ・・・俺、仕事決まったんだ。」


居酒屋でライブの打ち上げをしていると神妙な面持ちでドラムの直樹が口を開いた。

なぜか他のメンバーも同じ顔をしている。


「まじか!でもバンドは続けられそうな仕事なの?」


そう、俺達は音楽でプロになるという目標の元に集まったメンバーだ。

みんなバンド中心の生活をする為に日雇いや派遣の仕事をしながらなんとかやってきた。

インディーズレーベルから声をかけてもらった事もあるし手ごたえは多少はあった。

だがこのままでプロになれるという自信は心の奥底では不安しかなかったが

メンバーにはそういった事は言わなかったし態度にも出してきていないつもりだ。


「実はさ・・・悠斗以外とはもう話し合ってるんだけど、俺達音楽辞めようと思ってるんだ。」


いきなりの事で何がなんだか分からない。

狐につままれた顔をして返事が出来ないでいると

ベースの拓哉とボーカルの千枝が口を開く


「悠斗には本当にすまないと思うけどもうまともな人生に戻れるギリギリの年齢だと思うんだ。」

「わ、私も実は彼氏にプロポーズされて結婚しようと思うの。」


(なにこの展開、意味わかんないんですけど。)

(今まで頑張ってきたのに急展開すぎない?俺なんか悪い事した?)


状況の把握も返事も出来ないままでいると


「俺達には才能がなかったんだよ。そろそろ現実を見ていかないと取り返しがつかなくなるぜ。」

「千枝の結婚も決まった様なもんだしキリも良いと思うしさ。俺達は頑張ったよ。うん。」

「悠斗ならさ、音楽以外でも器用なんだし大丈夫だよ〜。」


やっと状況の把握が出来た瞬間怒りがこみ上げてきた。


「お前らさ、こんな所で終わって満足なのかよ!普通の人生じゃ満足できないから音楽やってきたんじゃねえの!」

「俺が知らない所で話し合って決めたとかなんなの?」


怒りに任せていると直樹が口を開いた


「悠斗は音楽に対して真面目で真っ直ぐで俺らの中じゃ一番才能もあると思うよ。でも・・・」


「俺達もう25だろ?先が見えないっていうのは怖いんだ。分かってくれよ。」


みんなすまなそうな顔をしている。

そして俺が大きい声を出した為、周りがざわついてきてしまった。

怒りと周囲の目の恥ずかしさが相まってここから居なくなってしまいたくなった。


「分かったよ。このバンドは今日で解散!もう好きにしてくれ!じゃあな!」

「悠斗!」


俺は金をテーブルに叩きつけて店を出た。


携帯がバンバン鳴っているが今は見る気にはならないので電源を切った。

そして冒頭に戻るのである。


「はあ・・・・・これからどうすっかな・・・」


怒りが静まってくると今度は悲しさと喪失感が生まれてきた。

酒が入っていたのもあり多少おぼつかない足取りで人通りの少ない道を歩いていると

ビルとビルの間、人一人通れるかどうかの隙間に何かある事に気がついた。


(ぬいぐるみ?それにしては少し大きいか。)


普段なら気にも留めないのだが酔っているせいなのか不思議と興味が湧いた。

ちゃんと見て見ようと思い近づいてみると。


(小さい女の子?しかもなんかコスプレしてるし。)


白と緑の変な服を着た少女がビルに背をつけ座り込んでいた。

ゲームによくでてくるローブの様な服だろうか。


(迷子かなにかかな。とりあえず声をかけて警察へ連れて行こう。)


「おーい、大丈夫か?生きてるか〜?」


気を失っているみたいだけどまさか死んでないよな・・・と思った瞬間少女の目が開いた


「お主はワシが見えるのかえ?」


え?厨二病?なにこれこわいんですけど。

おまわりさんこいつです、などと思っていると


「ようやく見つけたわい。ワシはカロルと言ってパルジャスカ王国からこの星に来たのじゃが・・・」

「こらー!ワシの話を聞かんか!」


俺は面倒事になりそうなので少女の話を途中で見限って帰る事にした。

ただでさえ今日は色々あったというのに心配事を増やしたくないと思ったからだ。


ガブッ!

頭に激痛が走る。


「うぎゃああああああ!」


謎の少女が頭に噛み付いてきた。

余りの痛みで道路を転げ回る。


バキッ!

ん?バキッ?まさか・・・


「ああああああっ!俺のギターが・・・どうしてくれるんだよ・・・」


バンドは解散するし変な少女には噛み付かれるしギターは折れるし

今日は一体なんなの?死ぬの?と思っていると


「お主が人の話を聞かんからじゃろうて。どれちょっと見せてみろ。」


そう言うと謎の少女は背中から杖の様な物を出して

ギターへ振りかざした。


「んしょ。んしょっと。ふー、ではいくぞい、それ。」


杖の先が光るとギターが見る見る修復されていく。

なにそれこわい。


「これで良いじゃろ。では話を聞く気になったかえ?」

「ハイ」

「ワシはカロルと言ってじゃな」

「ハイ」

「人の話をちゃんと聞いとるか?」

「ハイ」

「まったくこの星の人間という者は・・・」

「ハイ」


たった今起こった事が受け入れられずに

ハイハイマシーンと化していた。


そっか、酔っているから幻が見えてるんだな

早く家に帰って寝よう。

そう自分に言い聞かせた矢先、現実へと戻された。


ガブッ!

再び頭に激痛が走る。


「あんぎゃああああああ!」


再び謎の少女が頭に噛み付いてきた。


「いたたた・・・って事は現実に起こった事なのか?」

「だからちゃんとワシの話を聞けと言うとろうが。まったく。」

「お前は一体なんなんだ?」


グゥー!

「腹が減ったからとりあえず何か食わせろ!話はそれからじゃ。」

「じゃあ俺の家が近いから来るか?簡単な物でいいなら用意できるけど・・・」

「うむ。では行くぞい。案内せい。」


これからどうなるんだろうか・・・

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