エピローグ
「よっしゃー遊ぶぞー!」
「お、おー…!」
葉月の言葉に続いたのは郁弥だけだった。
「宗兵衛、イカ焼きとか食べる?」
「え!?宗兵衛さんって猫ですよね!?イカって…」
「あぁ…気持ちだけもらっておくよ」
「んじゃあ、人形焼にしよう!そしたら、ホムラちゃんと射的してくるか!」
「射的?」
コルク銃で景品を撃って落とすゲームだと言えば、やるといった。
「そっ!あ、でも、A賞とかB賞は狙っても多分落ちないからダメだよ?」
「なんで?」
「あー…多分重りが入ってて、落ちないようになってるんだよ」
「そうなんだ…」
睦月が苦笑いで、説明を付け足した。
魂礼祭はいつも以上に人が来ていた。急ピッチで用意しただけのことはある。やはり、みんな、つい先日までの危機を終わったことを、はっきりとした形で祝いたいのだろう。
ここにいる葉月に関しては、ただ遊びたいだけだろうが。
「でも、僕たちだけ遊んででいいんですかね?」
玲香や美優はこの急ピッチでの準備を可能にした中心人物だった。
「よいではないか!よいではないか!どうせ、お前があそこにいたところで、仕事を増やすだけだろう?」
「さすがに、増やすだけじゃないよ」
ベリアルの言葉に少しムッとしながら返しながら、先に行ってしまった3人を追いかけた。
その頃、事務用のテントは忙しかった。
「あわわっ!えっと、ステージの入場者が予想よりも多いみたいです」
「じゃあ、やよいちゃんに分担で公演できないか聞いてきて。ダメだったら、本堂を借りられるか聞いてみるから」
「はいっ!」
美優は会長だからか慣れたように指示を飛ばし、玲香も事後収集も祭の処理も行なっていた。
そして、横で座っている少女を見て
「貴方も遊んできていいわよ?」
「…責任不問になんてして、どうなっても知らないわよ」
「事実よ。貴方はあのエネミーに操られてたわ。まぁ、責任を感じてるなら、これから頑張って頂戴」
変わらない余裕の表情で、玲香は立ち上がるとちょうど名前を呼ばれた。
「お嬢様~会長さ~ん」
葉月たちだった。
「あれ?もう帰ってきたの?」
「葉月にしては、随分利口ね」
「いや~もちろんまだ遊んでくるよ?人形焼と、射的で取ったお菓子あげる」
どう見ても荷物を一時的においておくようにしか見えないが、美優も玲香も礼を言っていた。
「このあとのステージは行くの?」
「もちろんっ!どうせなら遊び尽くす!」
「少しは手伝うってことをしたらどうだ?」
「あら、気にしなくて結構よ。今に始まったことではないわ。それに、差し入れをしただけ、いつもよりましってことにしてあげるわ」
「やったね☆」
「いつも姉がすみません…」
相変わらず睦月が申し訳なさそうに玲香に謝るが、もう慣れてしまっているらしい。
「神奈ちゃんも行こ」
郁弥が誘えば、神奈は困ったように目を泳がせていたが、玲香に背中を押された。
「いいじゃない。行ってきなさい。チケットなしで入れるなんて、今日くらいよ」
「そういえば、前にファンだって言ってなかったっけ?」
「あ、あれは…!」
郁弥にそう言われては、もう逃げ場はなかった。
結局、神奈は立ち上がり、一緒に祭り会場へと歩いていった。




